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「治療どこで」全国18万病院を一括検索、厚労省が情報サイト新設へ
読売新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
医療機関についての必要な情報が少ないと感じるのは、根源的には、医療法が定める医療機関への「広告規制」が極めて強いためでしょう。この規制によれば、医療機関の「質」に関する情報は提供できません。単なる医療機関のリストであれば、すでに民間がそのような趣旨の情報サイトを作成していますので、今後政府が作成してもコストに見合う効果があるかは疑問です。(実物を見ていないので、何とも言えない部分がありますが) 先に指摘したように法改正を伴わないと、受診を希望する方が欲しいと思う情報を十分に得ることはできませんが、一方で、広告を自由化すると、先端医療などと称して、エビデンスのない治療の宣伝が横行することになりますので、弊害も指摘されます。例えば、美容医療サービスに関する情報提供を契機として、消費者トラブルが発生していることなどが問題視されています。 ただ、医師会が主張する「医療に競争を持ち込まない」というポリシーが強い広告規制につながっているため、政府による情報サイトの新設は、競争を導入する方向性への転換(のごくわずかな第一歩)とみられます。 なお、医療機関が広告できる内容は、現状以下の通り、厳しく制限されています。(医療法第6条の5に基づく主要項目の要約) 病院若しくは診療所に関しては、いかなる方法によるを問わず、何人も次に掲げる事項を除くほか、これを広告してはならない。 ・医師又は歯科医師である旨、診療科名、連絡先、管理者名、診療日・時間 ・法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた事実 ・入院設備の有無、病床の種別ごとの数、医師その他の従業者の員数と設備又は従業者に関する事項 ・診療に従事する医師等、医療従事者の氏名、年齢、性別、役職、略歴 ・患者の平均的な入院日数、平均的な外来患者又は入院患者の数 ・その他前各号に掲げる事項に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項 関連資料 「医療法における病院等の広告規制について」(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/index.html
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【強制労働リスク調査】日本の食品系企業、26位〜38位と低評価続出。改善に向けた取り組みは?
ハフポスト日本版
高橋 義仁専修大学 商学部教授
(長時間の)強制労働の点で、日本の食品系企業の労働環境が悪いという記事ですが、理由は2つで、まず (1)日本の、次いで (2)食品系企業であること。後者に関しては、最終消費者に対し、(世界の労働慣行の標準的なレベルに比べ)過剰に対応している業界(企業)は、ほぼすべてが該当していると思います。 理由は、契約された労働時間に対してルーズなことであり、本来は時間単位で買われた労働時間であるはずなのに、フリーランス(自営業)であるかのような責任を非管理職に求めすぎることにあると思います。(なお、外国企業では、非管理職には時間管理が厳格ですが、マネージャーには当てはまりません。しかし、マネージャーも時間で業績を上げるというよりは、勉強して能力を獲得し、より条件の良い仕事に就いたほうがよいと考え、現勤務先に対し執着しない傾向があると思います。) 日本では、現場社員の評価が、いずれ同じ会社の管理職や企業幹部に登用されるときの重要な資料として使われることから手が抜けず、結果、企業が使いやすいように従業員に業務指示できることが理由だと思います。 ここに書かれている企業は、そのような業界に属する企業の大手企業に、単に食品関係が多いということだと思われ、実態的には、上記条件(2)に該当するほとんどの日本企業が(少なくとも従業員にとって)悪しき慣行から脱却できていないと思います。 おおむねこのような業界では、買い手の権利を高く評価する傾向があるため、買い手の法令順守意識も改善させないと、「強制(長時間)労働」のリスクスコアは下がりにくいでしょう。また、当記事のように、人権団体からの(労働者にとって)良い意味での「圧力」は、集団的な同調性を重視する日本企業には、効果的だと思います。 かねて、日本に来る有能な留学生が日本(企業)で働きたくないとする最大の理由は、「暗示的に実施されている本人のためにならない長時間労働」でした。日本でも、そう思い始めている方が増えているのではないでしょうか。有能人材の獲得へのハードルになり始めていると思います。
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エーザイ共同開発のアルツハイマー薬、米で画期的治療法に指定
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
この記事に書かれているアルツハイマー型認知症薬「レカネマブ」は、先日、米国FDAから承認を受けたアルツハイマー型認知症薬「アデュカヌマブ」と同じエーザイー米バイオジェンの企業チームによって研究開発されたものですが、異なる医薬品候補です。「レカネマブ」は、現在、臨床第3相試験が実施されています。 「アルツハイマー薬、米で承認=世界初、エーザイが共同開発」(共同通信 2021年6月8日) https://newspicks.com/news/5915122?ref=user_1310166 米国の医薬品承認制度が意味するところの「画期的治療薬」への指定は、画期的・新規の作用機序(基盤・基礎理論)をもつ「治験薬」に対して、実施する臨床試験のステータスを上げるというもので、米国における医薬品の研究開発促進政策に位置づけられます。(日本では対象を「希少疾患」とするものを除いて、このような制度はありません。) 指定されると、米国薬事審査でのファスト・トラック(優先承認審査制度)に乗ります。これにより、新薬承認申請の提出前や申請途中にも審査当局との協議が促進されますが、指定されても承認がなんら約束されるものではありません。 アルツハイマー型認知症は、アミロイドβが脳内に蓄積して引き起こされると考えられており、発症の約20年前から蓄積が始まると考えられています。従来は、脳脊髄液を採取する方法か、放射線を用いた陽電子放射断層撮影法がとられていましたが、血液を採取し、血液中にわずかに存在するアミロイドβを検出する方法も実用化されており、医薬品開発の基盤整備が進んでいます。 「島津製作所、アルツハイマー関連物質の検査装置発売」(時事ドットコム 2021年6月23日) https://newspicks.com/news/5956816?ref=user_1310166 しかしながら、原因であるとされる「アミロイドβ(仮説)」自体に不明な点が多いとされ、今後の研究の進行によって、ゲーム・チェンジが起こりやすい領域ではあります。
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ローソン、医薬品販売450店に倍増 規制緩和を機に
日本経済新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
もともと厚生労働省の省令で「営業時間の半分以上で登録販売者の有資格者を常駐させる」ルール(2分の1ルール)が定められていたことには違和感がありましたが、2021年3月26日に、2分の1ルールの廃止案を盛り込んだパブリック・コメントの募集が出されていたため、当ルールの廃止は時間の問題とみられていました。 今後は、「大衆薬を販売する時間のみ登録販売者が常駐する」という、理解しやすいルールを適用することになります。つまりは、24時間営業のコンビニエンス・ストアで大衆薬を販売する場合、12時間以下の大衆薬の販売時間帯を有するコンビニエンス・ストアに対して、「登録販売者」の常駐時間短縮のメリットが生まれることになり、短時間の大衆薬販売併設コンビニエンス・ストアが増加する可能性があります。 しかしながら、大衆薬は少量多品種販売の代表的業界であるため、売り場面積の広い「大規模薬局チェーン」の強みが失われることは少ないと思われますし、いくらコンビニ本部が「大衆薬を扱ってほしい」とコンビニ・オーナーに依頼しても、それほどの売り上げが見込めない医薬品の販売のために、資金を投じて登録販売者を雇用するケースは、それほどは多くないと思います。 また、記事にも書かれていますが、薬局チェーンが登録販売者を育成する社内研修プログラムを有しているのに対し、コンビニ・オーナーが育成することはほぼ不可能なため、雇用する場合は有資格者をリクルートするしかないでしょう。その場合、必要な人件費はさらに上がりますので、一気に普及することは考えにくいと思われます。
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“職場”新規受付を一時停止へ ワクチン接種 必要量を超える申請か
FNNプライムオンライン
高橋 義仁専修大学 商学部教授
政府では職域接種の実施者募集について、2021年6月8日から申請受付を開始しています。「同一の接種会場で2回接種を完了」でき、「最低2000回(1000人×2回接種)程度の接種を行う規模で実施する」ことなど、条件が整えば実施可能です。 職域接種に関するお知らせ(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_shokuiki.html?fbclid=IwAR0fA5B3uAJSoxPB_1j4mD3OCeYhZIXyj9BvvkY47LMH_cUjT1IUYVH5XU8 企業単位での実施は求められておらず、例えば、森ビルがビルのテナントの入居者や居住者に対して「職域接種」を申請していた例があります。企業は接種場所を提供する必要があり、医療従事者を見つけてくる必要がありますが、政府から職域接種の実施者に対し既定の接種費用が支払われることから、職域接種の実施者にとっては、「安い費用負担で従業員や関係する方に『サービス』できる」ことから、早々にブームになったものと思われます。 この状況においては、実施したいがために、接種対象(予定)者を十分に見込んだ数の申請するものと思われます。各地で多数の職域接種が実施されると、実質的な水増しや重複カウントされた職域接種者が発生すると思われ、その結果、全国レベルへのワクチンの供給計画にも支障が出ることになるため、いったん停止する必要があったものと思われます。また、ワクチン返品作業での温度管理のミスの発生も危惧されます。 申請が問われ、実績は問われない(後で返せばよい)システムの運用を見直す必要があり、また、エリア内での迅速な融通のシステム構築が望まれると思います。
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夫婦別姓、再び認めず 最高裁、民法規定「合憲」
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
日本の現行戸籍法は、前身の明治民法に採用された「家制度」からの流れを引き継いでいると思われます。「家制度」は、親族関係のある者のうち更に狭い範囲の者を戸主の家族として1つの家に属させ、戸主に家の統率権限を与えていた制度で、それぞれの個人は「平等ではない」ことを基本とした、相当に前時代的な制度です。 いまも、旧民法の規定にあった、「戸主が死亡・隠居などをした際、1人の相続人が戸主の身分・財産を相続する『家督制度』」を伝統的に引き継いでいる地域があり、長男だけに全財産を相続させようと、「墓を守る」などの名目で、長男と親族が結託し、遺産相続権をもつ他の方に対し「相続放棄」を迫ることも頻繁に行われています。 昔は、農耕に必要な「まとまった田畑」の分散を防ぐために必要な知恵だったのでしょうけれど、そもそも長男と他の兄弟、男女が平等でないことを前提にした文化(風習)です。夫婦別姓は、このような文化を主張する方々にはとりわけ不都合なのでしょう。したがって、国会の中での反対も根強く、前に進んでいかないのだと思います。 近年は、副業等、個人名で仕事をする機会が増え、特に業績等が記録されて積み重ねで個人の価値が決まってくるケースにおいて、改姓がなされると過去の業績記録との接続性に困難をきたすことがあるため、このようなケースでは改姓をせず通称名として使い続けることが多いと思います。例えば研究者は、結婚後も旧姓を使用する方が圧倒的に多いと思います。夫婦同姓にこだわる「戸籍」に関わらず、社会全体で旧姓を使用することを「標準」としていけば、少しは前向きに進んでいくと思います。
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最低賃金引き上げ労使の議論開始 コロナ影響の評価が焦点
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
コロナ禍の前には、欧州、米国、アジアにも多く出かけていました。その際(15年くらい前より)に気づいていたことですが、日本の物価に大きな変化がないところ、諸外国は継続的に物価が上昇し、アジアについては物価の差が縮小し(国によっては逆転し)、欧米主要国については、すでに生活コストのベースで日本の2倍くらいの感覚を受けます。日本はすでに物価の安い国になっていますので、海外旅行するにしても、留学するにしても、これからの実現は大変だと思われます。 日本の物価が安いことに関連しますが、「安い旅行先」日本ということで、海外から日本への旅行客については増加する環境が整っています。この点については、望ましいのかもしれません。一方、日本の不動産は、海外の方から見ると海外物価を考慮すると「格安」になっており、都心部を中心に外国人が不動産の買い手になりつつあります。もし、これらの消費者がいなければ、日本国内の旅行・レジャー産業が成立しなくなり、不動産の価格も維持できないだろうと思われます。 最低賃金の引き上げについては、雇用主からの反対が多いことは理解できますが、「賃金を抑制する→所得が低くなる→経済力がなくなる→売れなくなる→賃金を抑制する(以下、繰り返し)」が継続されるということは、日本が買われる(国内にいるなら気づかない)ということを意味しますので、この点をより強く踏まえた議論が必要だろうと思います。 長期的な雇用についても心配です。有望な国「外国」に出ていく能力の高い方が現れる一方、普通の方は「安い賃金」の日本で仕事を続けないといけないでしょう。そうすると賃金が安い仕事が残り、能力・技能を必要する高度な仕事は外国に流出するというシナリオが考えられると思います。 国内の人材市場の需給だけでなく、海外の状況を踏まえて賃金の水準を上げていくことは、長期的には必要不可欠だと思います。
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Appleのティム・クックCEOが「VivaTech 2021」で語った注目する技術と未来の方向性
ITmedia PC USER
高橋 義仁専修大学 商学部教授
ティム・クック氏への長いインタビュー記事ですが、Appleへの企業独占に対する考え方(対応)を読み解くために重要なワードが並んでいると思います。同社は他の巨大ITと同様、米国で厳しく運用される独占を禁ずる法律により、企業分割命令を受けるリスクを負っていることを考えての発言だと思います。 第1に、自らを「他のITとは違う」方向性である、「ものづくりの会社」であるということを強調しています(1ページ)。多方面にものづくりで多角化を進めることが示唆されています。企業分割を避け企業成長をするためには、多角化が最適の方法であると考えていることの裏返しでしょう。 第2に、多角化の方向性として、ヘルスケア重視であること(2,3ページ)。「パンデミックが発生した直後から、私たちは『どうすれば支援できるか』という問いを自分たちに投げかけてきました」との記述がある通り、また、記事にはありませんが、近年Appleが、健康関連のソフトウェアのみでなく、医学的基礎研究の分野への莫大な投資を行っていることがそれを裏付けています。また、医学領域の「消費者」からの支持を高めようとしています。 第3に、変わらないAppleについて(3ページ)。「袖の下に隠しもつ」との表現を使っていますが、常に秘密めいた部分をもち、ファンに何かのサプライズを期待してもらうということを常に大切にしていることがわかります。 第4に、社会性と、社会貢献。随所に見られていますが、社会の一員として役に立つ企業でないと生き残らせてもらえないことを強く意識していることがわかります。単に、借りてきたSDGsなどの用語をキャッチフレーズにしている企業とは次元が違います。リスクマネジメントにも言及しています。 コーポレート・ガバナンスの視点では、(記事にはありませんが)Appleの経営陣の課題は株主に事前公開され評価表も同様です。ここには、お手盛りのような記載は見られず、常に株主からの評価の中、経営がなされている印象を強く与えています。 今回はインタビューから、ティム氏自らが発するビジョンの深さに納得させられましたが、経営力が企業成長にもたらす影響が非常に大きいことを、あらためて理解させられました。
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アップル、独自の医療提供構想が停滞
The Wall Street Journal
高橋 義仁専修大学 商学部教授
米国での医療にアップルが参入するという構想について書かれています。アップルは従来、スマートウォッチに心電図計等の常時モニターする価値のある健康管理機能を追加しています。一方、記事に書かれている内容はその部分にとどまらず、オンライン診療のプラットフォーマーとして以上の役割である、オンライン診療事業の開設者になろうとしていることが書かれています。 そもそも米国の健康保険の制度は、基本的に公的な保険ではなく、民間保険が役割を担います。民間の医療保険は病院と提携しますが、高額な医療保険には制限がかからない一方で、低価格の医療保険では強い制限をかけています。例えば、保険適用の条件として、かかりつけ医(Primary Care Provider (PCP))で初診を受けることなどです。 MD (Medicine Doctor) のほかにも、特定の看護師である NP (Nurse Practitioner) が医院を開業しており、幅広い患者を専門医と比べて低料金で受け入れる一方、専門性が低く、当然にその病院では完結しないことがあります。その後の専門医受診でないと、保険金の支払いがなされないケースがあると聞きます。 アップルのいう医療領域への参入は、このようなセグメントに参入していくことであり、また、専門医の紹介サービスに参入することだと思われます。紹介サービスについてはすでに他社が事業化しており、一定の市場が形成されています。 しかし、オンライン医療機関開設については、アップルの得意領域であるはずの電子デバイスの部分に問題があり、データの信頼性が医療のレベルに達しないことを指摘され、アップル側の要員が退職することにより、計画が頓挫している実情が示唆されています。
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ワクチン 来月以降 供給量減少へ 自治体から困惑の声
NHKニュース
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事に書かれていることが全国レベルで問題になるのであれば、広範囲に医学的な問題が生じる可能性があります。ファイザー製ワクチンの用法・用量としては、「合計2回、通常、3週間の間隔で筋肉内に接種する。1回目の接種から3週間を超えた場合には、できる限り速やかに2回目の接種を実施すること。」との承認時の規定がありますので遵守する必要があります。1回目と3週間の間隔をあけた2回目の供給量が違うと、これが守られず、規定に沿って得られた臨床試験の成績と異なった臨床効果の低下や副反応の誘発が危惧されます(一般論です)。 このことを十分に考慮したうえで、1回目の接種を開始しているはずで、ここにきて初めて「供給不足」の心配が出てくることは考えにくいのですが、(その後状況が変わってしまい)事実なら1回目の接種者を早急に「絞って」対応すべきだと思います。 また、同じ会場で2種のワクチンを混在させて接種することはオペレーションが複雑になり、ヒューマンエラーを誘発させる環境を作りますので、望ましくないと思います。混在して接種することは、規定の間隔を遵守せずに投与するよりも大きな不確実性を生むと考えざるを得ません。
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創薬AI開発へ、製薬17社が「社外秘」データ提供…オールジャパンで候補絞り込み
読売新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
製薬企業が創薬を行う際、特に低分子化合物に対しては、理論的に医薬品としての有効性が認められそうな科学式や立体分子構造をもつ「候補」を大量にストックし、そこから絞り込んだり改変したりして、より適切な「候補」を絞り込んでいきます。この手法はすでに数十年の歴史を持ちます。候補は、製薬企業の金庫のようなところに保存されますが、研究の重点領域から外れるなどして「ほぼ死蔵」されているものも多くあります。 一方で当面使わなくなった「化合物」を、例えば人的つながりなどがあるベンチャー企業に導出したり、研究者がスピンアウトして医薬品として開発するビジネスモデルもありますが、日本では、このレベルでのオープン・イノベーションは盛んではありません。理由は、科学者に特化した業務をしている研究員ではそこからお金を稼ぐ仕組みをあまり知らないからであり、終身雇用の中で興味も生まれにくいこと。また、企業もそこから知財収入を得る仕組みを知らず、むしろ手の内が流出するとして、ネガティブにとらえていたからだと思います。 武田薬品工業は、日本国内での低分子化合物の創薬からはほぼ撤退し、生物学的製剤を主要対象とし、研究拠点を海外に移しました。現在国内では、リサーチパーク事業を通じて、他社にインフラを提供する側としての事業が主力になっています。武田薬品工業が数十年間にわたりストックしていたライブラリーは膨大にあり、一方で、これを使って自社が創薬につなげる可能性はほとんどないため、他社に利用価値を見つけてもらうことに価値を見出しているのだと思います。 今回の報道は、上記のような背景のなか、政府が呼びかけ他社も参加する計画があることだと思われます。創薬の場合は、ライブラリーの中から優れたものが出てくることがあるので、興味深い取り組みだと思います。医薬品候補のスクリーニングには、従来から情報技術を多用していましたので、「AI」という言葉についてはその延長線上だと思います。
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みずほ銀行 システム障害で処分発表 藤原頭取は当面続投へ
NHKニュース
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事中の第三者委員会の報告によれば一連のシステム障害の原因として、「危機に対応する組織力と顧客目線が弱い」とのことです。前者は主要幹部や社員がITに対応できない(つぎはぎで依頼したシステムベンダー任せ)、後者はITを使っての金融取引をあまり知らない、ということだと想像できます。 日本の大企業がITを重要視しだしたのは最近のことで、比較的最近まで企画部門ごとアウトソーシングなどということをやっていて、「何だかな」と思っていました。海外金融では早い段階からFin Techが台頭し、対応への必要性から、日本より早期の段階で金融業界のゲームチェンジが始まっていました。 日本の金融業界は海外勢に対抗するために、官の指導で「大規模化」を目指してきました。しかし、これまでたすき掛けの人事を行ってきた経緯から見ても、合併の本質的目的を達成することよりも「世話になった人に配慮し、結果自分を引き上げてもらう」ことを優先していたとみられますので、こうした理由が(システム開発業者の選定を含めて)、おそらくリスクの増大を招いとのだと思います。 (しばらく続投と発表されましたが)企業トップがかわっても、結局のところは、問題の本質が「エライ人達への配慮」ならば、解決は難しいと思っていました。システムに問題が起こる度に引責辞任をしていたのでは、人事の綱引きを拡大させるだけではないかと思います。こういうときこそ、社内で高い職能資格をもつジェネラリストを重視する人事ローテーションよりも、また社内への配慮などより優先して、「真にシステムを構築できる有能な人材」を登用し権限を与えるべきでないかと思います。 しかし、こんな簡単なことが、古い企業ではなかなかできません。年功人事や派閥人事をしていると、入社20~25年目くらいまでは、トップから見て誰に実力があるのかわかりにくく、結局は直属の上司(人事権限者)の評価が継続して良く、1歩づつステップアップした人材が主要職に就き、それを次世代に引き継ぐので、なかなか企業文化は変えられません。日本の人事制度は、変革期にはマイナスに出ることが多いと感じます。もうほとんど後がないでしょう。
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