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ソフトバンク、オンライン診療参入 5G活用
日本経済新聞
高橋 義仁専修大学 商学部教授
オンライン診療、オンライン調剤は便利な半面、状況によってはデメリットを生みます。今後は、法律改正が契機となり進む可能性はあります。 オンライン診療は、診療だけであれば以前より認められています。「オンライン」とは単純に電話でも可能なため、本来は容易に進むはずでしたが、医療機関、薬局、患者にメリットを生むケースがあまり見いだせず、足踏み状態です。 まず、「オンライン診療」の原則として、少なくとも通常は初診は対面診療で行うように規定されています。記事にあるように、「コロナ禍の特例」として、医師が問題ないと判断した場合において、「初診のオンライン診療」が可能になりました。 「オンライン調剤」については、ごく限られた例外を除き一切認められていません。例外とは、「コロナ禍における特例措置として、初診をオンライン診療で実施した場合」のみです。つまり、コロナ禍初診特例を除き、オンライン診療で処方された薬を受け取るためにも、必ず薬局に足を運び、服薬指導を受ける(購入する)必要があります。 薬局においては、オンラインのみでもリアル薬局と同様の人員体制・調剤設備が必要になりますが、患者にオンライン対応に別途かかる費用(設備費、送料等)を請求できなければ、薬局側の持ち出しになります。 「オンライン診療のプラットフォーマー」に支払う費用(オンライン業者の取り分)は保険負担されません。2000円程度が見込まれますが、病院が負担すれば病院の経営を圧迫するため、患者に費用負担を乗せてくると思います。この金額はある程度自由に設定できますので、公定価格に慣れた日本の患者にとっては、不透明に映ります。軽微な疾患では、オンラインのための「保険外負担」がおそらく保険適用部分の自己負担額(3割負担)を上回ります。 病院においては、通常の患者のカルテを管理した場合につく診療報酬金額が、オンラインで実施した場合、下がります。よって、オンライン管理への移行は、病院収入を下げる要因になります。 患者にとっては、医師が診断を行う際の基本情報(バイタルサイン)を伝えることが難しいため(例えば聴診、触診など)、診断のクオリティーが下がり、重要な疾患が見逃されるリスクがあります。オンライン対応の医療機器で対応する場合は、保険適応外の自己負担で、例えばオンラインで使える聴診器なら、数万円~の費用負担が必要です。
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処理水タンク増設へ 東電、政府方針決定後に表明
河北新報
高橋 義仁専修大学 商学部教授
政府が処理水を海洋放出を認めた直後に、東電がタンクの増設を決めたというのは確かに不自然です。政府と東電はコミュニケーションが取れていないのかもしれません。 処理水をどう考えるか? 集めた情報は以下の通りです。科学的、客観的なベースをもちたいと思っています。 1 処理水は、ほとんどが多核種除去設備等で浄化したあとのもので、設備では除去できないトリチウム(三重水素)が残存する。これをいずれ放出する。(https://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watertreatment/) 2 トリチウムの半減期は12.3年。(Wikipedia *)現在は事故直後の半分強にまで放射線量が減弱している。 3 原子力施設から出るトリチウムの自然環境中への放出は日本の国内外で広く行われており、イギリスでは1998年から2002年の期間、毎年3ペタベクレル程度のトリチウムが放出されている他、カナダ、アルゼンチン、フランス、スペイン、アメリカ、ドイツ、日本でも放出されていた。(Wikipedia *) 4 体内では均等分布で、生物的半減期が短く、エネルギーも低い。こうしたことから三重水素は最も毒性の少ない放射性核種の1つと考えられ、生物影響の面からは従来比較的軽視されてきた。しかし一方で、三重水素を大量に取扱う製造の技術者が、内部被曝による致死例が2例報告されている。(Wikipedia *) タンクを新造すれば当然にコストにつながります。いずれは放出するしかありませんが、どのタイミングが最適なのかが検討されています。 * いずれもWikipedia内に引用あり
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米アマゾン、労組結成を否決 倉庫従業員投票、運動に打撃
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
米国の労働関係法規は、日本の労働関係法規と多少異なっているようです。米国では、団体交渉について、「交渉単位ごとにそこに所属する労働者の選択により、唯一の労働組合が当該交渉単位の労働者を代表して、使用者と交渉する」と定められています。 今回のAmazonの場合、「交渉単位」は、「アラバマ州ベッセマーの物流施設」の従業員です。ここで作ろうとしていた「労働交渉を委ねる」組合を希望する従業員の数が、「個別に交渉したい」従業員の数を下回ったことになります。 「Amazonが何らかの妨害をしていて、それが影響したか?」については疑問です。労働組合は、その組織単位内で、その組織構成員に対し差異のない待遇の改善を要望しますが、「アラバマ州ベッセマーの物流施設」内での待遇に関し、「成果主義」的な方向性の給与交渉を「個人単位」で行いたいということの表れか、作ろうとしていた労働組合がその職場で支持されていなかったと考えるのが自然だと思います(少なくとも公表されている情報の範囲では)。 米国の法規は、「労組を結成し、労組に加入し、労組を通じて団体交渉する権利を阻害すること」を不当労働行為として禁止しています。もしAmazonが意見表明以上の行為をしたことが確認されれば、違法行為として罰せられます。 日本の法規でも、「労働者が労働組合を結成しようとしたことを理由に解雇したり、その他不利益な取扱いをすること」は、不当労働行為として、労働組合法第7条で禁止されています。
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中国当局、アリババに3000億円の罰金 独禁法違反で
日本経済新聞
ソフトバンクG傘下アーム、中国合弁トップとの対立激化-売却に難題
Bloomberg
高橋 義仁専修大学 商学部教授
お家騒動ではあるのですが、記事には、一般的な常識と思われることから逸脱している部分があるため、事態を飲み込むことが難しいです。 「1年前のアーム・チャイナの取締役会が利益相反を理由にアレン・ウーCEOの解任を決議した」とありますが、中国でも取締役会に代表取締役(ここではCEO)の選任・解任の決定権があるはずです。取締役会が決定した事項は少なくとも有効なはずで、これにアレン・ウー氏がCEOの解任を無効とし、地位確認の訴えを裁判所に申し立てたとしても、その間は、CEOの地位から締め出されると考えるのが一般的です。 しかしながら、 ウー氏がウー氏に代わって共同CEOとなった3名を解任し?---これは制度上できないと思います。 解任された3人が取締役会に復職された?---解任できないなら、復職もおかしいのではないでしょうか。 といった、謎の状態になっています。 ウー氏が既存の企業組織の存在そのものを否定し、新しい企業組織を主張しているかのような「内戦」状態になっているように見えます。同社は、少なくとも中国の法制度のもとに統治されているはずですが、それが機能していないということでしょうか? なお、制度的には取締役会の決定で運営されるのが普通です。よって、ウー氏が地位を失っていることは明らかかと思います。それが暫定的にさえできない理由を探りたいと考えます。 確かに、この状態では、買いたい企業が現れにくいと思います。
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Amazon、民間の総合経済団体である東京商工会議所に入会 中小企業の成長支援への取組みに貢献
AMP[アンプ] - ビジネスインスピレーションメディア
高橋 義仁専修大学 商学部教授
商工会議所は、様々な国で主に中小企業の経営者団体として存在しています。参加資格に関して、明確な区分があるわけではないのですが、日本では、経済団体連合会(大企業の経営者の団体)、経済同友会(中堅企業の経営者の団体)の陰で目立たない印象を受けますが、団体を必要とする「中小企業」の経営者の活動母体として、世界は「商工会議所(Chamber of Commerce)」の名称が一般的です。 アマゾンは、大企業経営者の仲間内で目立つ存在の「経団連」を活動の母体とするよりも、「商工会議所」を母体として、名より実を取る形の活動に主眼を置いているのだと思います。「ビジネスのチャンスはどこにあるか」、「何がビジネスの障害になるか」など、日本の中小企業を研究した結果、戦略構築したものと思われます。 一般論ですが、日本の中小企業の場合、大企業の下請けとして「言いなり」の事業を強いられているところが多く、自らも大企業傘下から外れることを「望まない(リスクを取らない)」傾向にあり、結果、日本の中小企業は成長性に乏しいことが言われています。 参考例ですが、中国の中小企業の場合、下請けで培った技術を(元請けに気遣いなく)できるだけ早い段階で自社ブランドとして展開することを狙っている企業は多いと思います。中国のアリババグループAriExpressや日本のアマゾンでも中国の中小企業の製品も多く扱っており、アマゾンはそのような展開を戦略として考えているように思います。 アマゾンの参入は、そのような一般的イメージの中小企業に成長力を与えることが期待できると思います。大企業(メーカー)や流通業者は、サプライチェーンから外されることや、中小企業が力をつけていくことに警戒するのではないかと思います。そうはいっても、理念的に正しいことを掲げられれば、抑止することは難しいでしょう。
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米国のアストラ製ワクチン備蓄、2000万回分超に増加-関係者
Bloomberg
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事にあるように、米国は現在3社のワクチンに緊急使用承認を与えています。その3社のワクチンについては、計画と比べると遅れが生じている銘柄もあるものの、現時点では供給の目途が立っています。 一方、アストラゼネカ社のワクチンについては、米国の基準に沿った3万例以上に及ぶ臨床試験を実施しており、現在データがまとめられている段階です。アストラゼネカ社は、莫大な資金を供給して臨床試験を実施したはずで、現時点が最大限コストが膨らんでいる状態になります。申請を行わないことはまずありえないと思います(試験の実施に重大な不備がなかった限り)。 米国には、緊急使用の承認をしない理由が一応存在します。理由は、副反応によるものではなく、「(他があるので)緊急使用としては承認しない」というものです。 緊急使用の承認をした場合も、他のワクチンによって米国民への接種を賄えるのであれば、接種計画に組み入れる必要がありません。こちらは十分にあり得るシナリオです。つまりは、確かにこのままいけば、米国が発注した8000万から9000万回分のワクチンすべてが備蓄(何かがなければ今後使われない)に回ります。そして、有効期限が切れれば廃棄されます。また、米国が使う、使わないにかかわらず、この分の費用は全額アストラゼネカに支払われます。 他のワクチンでさらに大きな問題が出た場合、相対的にアストラゼネカ製ワクチンが有利になる可能性も否定できません。アストラゼネカ製ワクチンは、現時点で十分に許容範囲となる安全性は有していることから、米国としては直ちにすべての備蓄を手放すつもりはないでしょう(国際世論にもよりますが)。 米国としては、「緊急使用の承認をしないことにメリットがなく、軋轢を生む」ため、承認するでしょう。既知の問題点については、その旨条件を付ければ良いだけです。 国際機関等では「いらないなら手放せ(代金は払わないけど)」と言っていますが、リスクマネジメントの観点から、米国が「(条件を付けても)承認しない、備蓄をすべて放棄する」可能性は、無いに等しいでしょう。(一部のワクチンを段階的に放棄することはあり得ます)
小林化工に補助金9億円返還命令 福井、違法製造隠したと判断
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事によると「同社が2011年と16年に新設した二つの工場に対し、県と市は総額12億円の補助金交付を決定。しかし、国の承認と異なる手順書や製造記録の偽造などが判明し、違法な製造実態を隠して補助金を受け取った」とのことです。 小林化工では、「経口抗真菌薬」に、同じ工場で製造している「睡眠薬」の薬効成分が高濃度に混入し、服用患者さんから死亡例を含む副作用や「睡眠薬」成分による交通事故が頻発しており、福井県から116日間の業務停止業務停止の行政処分を受けていました。 国際製造基準に規定された手順書を遵守すれば当然に防げるミスが防げなかったことや、製造部門から独立した品質部門が機能していなかったことなどに加え、経営陣が法令違反を黙認していた事実まで確認されていました。今回の報道からは、これが突発的なことではなく、2011年と16年に遡って確認されたことが示されています。 医薬品では、「外見」や「味」では問題を発見できないことから、メーカーを全面的に信頼するしかありません。医薬品の性質上副作用はゼロにはできませんが、この種の事故は絶対に起こしてはならないところ、小林化工の問題は、安全装置を付けて認可されているのに、コストがかかる等の理由で、その安全装置を無効化して、長年にわたり運転していたような事案です。
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au「povoは集客装置」、店に不適切販売指示の罪 | 通信
東洋経済オンライン
高橋 義仁専修大学 商学部教授
auによる「povoは集客装置」「povoフック」という文言は、消費者をバカにした言い方ですね。販促マニュアルにも記載しているとは呆れます。「無知な消費者を狙え(騙せ)!」という感じですね。一般的な企業倫理の概念からすると、著しく低いと言えます。 企業側は、「povoの料金体系は企業にとっては利幅の薄いサービスで、他のサービスに誘導しないと企業利益を損ねるため、povoは『おとり広告』として使うよう」指示をしているのでしょう。 販売代理店側としては、「povoのような顧客にとって魅力的な商品が出てきたため指をくわえてみているよりは、povoをおとりを使うほうがまだましで、少しでも顧客を騙したい。オンラインの手続きができない人がいればしめたもの(=手数料が入るので)」ということでしょう。契約後は、povoへの切り替えなどはサポートせず、「仕事ではない、知らぬ存ぜぬ」ということですね。 先日は、ドコモの記事が出ていて、やっていることは同様でした。悪意をもって、意図しない契約を狙って成功率が高いのは、高齢者など情報弱者です。このような方は気の毒ですね。「おとり」手法が業界全体に広がっているなら、行政指導が必要でしょう。 povoやahamoと店頭契約は別物なので、両者を「フック」で関連付けると、記事にあるように違法の可能性が高まります。その後自動で、低価格サービスに移行されないわけですから問題点は大きいです。誤認させる手法をとることには結局はデメリットしかありません。
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野村HD、リスク管理体制を調査、大規模損失の恐れで特別チーム=関係筋
Reuters
東芝、利益相反で社長抜きに説明 買収提案検討の経過、取締役会に
共同通信
高橋 義仁専修大学 商学部教授
東芝が外資系企業に生まれ変わる日も遠くないかもわかりません。これまでの東芝の企業文化は、いわゆる日本型「大企業文化」が引き継がれていると思っていました。そのうちの1つとして、コーポレートガバナンスの担い手としての「『取締役会の機能』が働いていなかった」ということがあげられ、特に「上場」企業のオーナーシップは集合体としての「株主」にある(他のすべての「利害関係者」も重要ではありますが)はずのところ、生え抜き社員の上りポストであった「代表取締役」の「上意下達」的な意思決定が特徴的だったと思います。 取締役会内で隠蔽を重ねた結果、経営危機を招くレベルになったのが、ウエスチングハウスの一件です。その結果、企業再生の過程で、代表に社外出身者を受けることになりましたが、もともと企業文化が「上意下達」ですから、おそらく他の社内取締役には反対の声をあげるような人はおらず(必要ならあげなければいけないことはその役割からすると自明です)、他の社外取締役は「合理的」な判断をしますので、ファンドの提案が望ましいものであれば、当然に承認するでしょう。 だだ、東芝は、日本の電力事業の黎明期より協力会社として国策を担い、発電事業のインフラに携わっている会社だけに、もしファンドに売却される場合でも、少なくとも原子力関連事業に関しては分社化し、外国資本比率が基準内の企業に売却せざるをえないと思います(他の一部の事業部門も該当するかもわかりません)。 また、もし国家が東芝を「特別扱い」するのであれば、水面下の調整が入り、秘密裏にホワイトナイトを立てると思われます(会社がファンドの提案を了承せず、結果、敵対的TOBをファンドが実施した場合は「対抗」しか手段がありません)。この場合のホワイトナイトは、国家の意向を汲む企業かつ業績が何とかなっている条件を満たすところとなりますので、極めて限られます。これから、ドラマ「ハゲタカ」のようなストーリーが展開されそうで、注目に値します。 現社長は、元CVCキャピタルの日本法人代表取締役会長としての利害関係者ですので、株主に対する透明性確保の観点から、買収検討のメンバーには入りません。記事にも書かれていますが、そのあたりの枠組みもしっかりとしています。
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“ワクチンサミット”6月開催へ調整、途上国支援強化へ
TBS NEWS
高橋 義仁専修大学 商学部教授
国連のサポートを受けて実施されている、国際機関「Gavi」の活動で、COVAXファシリティという名称の方が知られているようです。COVAXファシリティとは、高・中所得国が、ワクチン配分や、開発・製造設備整備に使う拠出金を貧困国の代わりにCOVAXに支払い、国際的に公平なワクチンの普及に資するという枠組みです。こういう政策がないと、貧困国にはワクチンがいきわたりません。新型コロナウイルスの蔓延抑制は、世界的に取り組む必要があることからも、必要な方法だと思われます。実効性は「全世界の国民」が協力しあえるか否かにかかっています。 当初は、米国がイニチアチブをとり、G7諸国の協調を得る(経済力に合わせた拠出金への同意を得る)ことで実施されるとの報道がありました。中国はCOVAXを通じて拠出を行うとの報道に加え、自国から直接貧困国に対し支援を行うとも報道されていました(両面から支援するようです)。米国とドイツの金額が出ていますが、両国と比べると日本の支援額の小ささが目立ちますので、6月の「ワクチンサミット」では、さらなる支援を行うよう、Gaviから要請を受けると思われます。 COVAXによるワクチン配分については、ユニセフ(UNICEF=国連児童基金)が配分の実施を担当するようで、2021年2月3日には、「ファイザー社のワクチン120万回分の供給を、UNICEFを通じて18か国が受ける」と報道されており、対象国は、ブータン、ボリビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カーボベルデ、コロンビア、エルサルバドル、ジョージア、モルディブ、モルドバ、モンゴル、ペルー、フィリピン、韓国、ルワンダ、南アフリカ、チュニジア、ウクライナ、ヨルダン川西岸地区とガザとのことでした。
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コロナ患者、世界初の生体肺移植 家族が提供、京大病院:朝日新聞デジタル
朝日新聞デジタル
ワクチン副反応で19人死亡=アストラ製、18歳未満の治験中止―英
時事通信社
高橋 義仁専修大学 商学部教授
英国の審査当局は、英アストラゼネカ製ワクチンの接種後の「血栓症」に関して、ワクチンとの因果関係を認めた上で、引き続き「接種の利点はリスクを上回っている」としています。一方で、「30歳未満には別のワクチンを使って接種する」としています。30歳未満という若年層は、ウイルス感染の重症化が起こりにくいことを踏まえ、この年齢層で「接種の利点が減少する分リスクを上回っているとは言い切れない(少なくとも他のワクチンよりは)」との意思表明になりますので、今後の世界各国の判断に影響を与えることになると思います。 日本では、英アストラゼネカ製ワクチンはJCR(兵庫)が生産する計画を立てていますが、今後の生産量に影響を及ぼす可能性は高いと思います。また、当ワクチンは、日本では臨床使用の承認申請中で、日本の接種計画にも組み入れられています(本来は、認可前のものを組み入れること自体おかしいのですが、緊急対応として許容されているのでしょう)。当初、5月上旬と思われていたスケジュール(ファイザー社製ワクチンと同じ審査期間を前提とした場合)に影響を及ぼす可能性があると思われますが、仮にそうなれば、日本の接種計画にも影響があるものと思います。 以前、製薬企業で医療用医薬品の商品企画をしていた経験から、比較的多くの医薬品で、非常にまれに、「血栓症」が副作用としてあらわれることを見てきました。そのような場合には、今回のワクチンの場合と同じように、「注意書きへの記載」をすることでの対応を求められていました。その場合の「血栓症」は、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP=Thrombotic Thrombocytopenic purpura)と呼ばれる病態が典型的に報告されていましたが、今回の報道では、そこまで詳しくは書かれていませんので、その点は不明です。 当ワクチンでは、100万人に約4人の割合で発症するリスクとのことですが、他のワクチンでも、このような副反応の報告は今後もあり得ますので、引き続き一喜一憂しないほうが良いとは思います。
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規制委、柏崎刈羽の「運転禁止」命令を正式決定へ
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
リスク管理は、原子力発電所の事業に携わる企業においては、最も優先しなければならないことだったはずです。東日本大震災で原子力発電所が被害を受けたときも、想定されるリスクの管理に真摯に向き合わずに、国を揺るがす大惨事を引き起こした企業であるからこそ、リスク管理の重要性はわかっているはずだと思いたいのですが、全然だめなようです。 企業体質と言ってしまえばそれまでですが、第1に問題点をなぜ放置するのかが理解できません。原子力発電事業に携わる企業は、「リスク管理自体が非常に重要な仕事」だと思うのですが、違うのでしょうか? リスクはゼロにはできませんが、限りなくゼロにできないのであれば、原子力発電に携わる資格はないと思っています。 第2に隠ぺいが疑われていますが、こういう「安定した事業を行う企業」は「問題にならないことが何よりも仕事」だと勘違いしていないでしょうか? 隠ぺいは次の隠ぺいを生みます。課題の先送りを生んでしまいます。その間はリスクが高い状態のままで放置されます。「何が正しいかではなく、上がいうから無条件に従う」などというおかしな行動基準で動いているからこうなるのでしょう。 このようなパラダイム(組織の価値感)を有しているから、問題が繰り返されているように感じます。運転禁止は当然の処分だと思います。
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武田、コロナ新薬の開発断念 血漿分画製剤、評価項目達成せず
時事ドットコム
高橋 義仁専修大学 商学部教授
臨床試験は、米国国立衛生研究所(NIH)の米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が出資した「CoVIg-19 Plasma Alliance」が国際共同臨床試験として実施していました。武田薬品はこの臨床試験に試験薬を提供していたメンバーの1社です。他には、米CSL Behring社、米Emergent Biosolutions社、スペインGrifols社が提供していました。(武田薬品としては、グローバル向けには買収した旧シャイアー社が、また日本市場向けには関連会社の日本製薬が血漿分画製剤の製造販売・研究開発を行っています) ここで使用された血漿分画製剤とは、「抗コロナウイルス高度免疫グロブリン製剤」を指しています。「コロナ」に関わらず、重症感染症では、以前より、「免疫グロブリン」という医薬品が使用されていました。この医薬品は、ヒトの血液から抗体部分を取り出し、精製したものです。 グロブリンには、いろいろな種類の抗体が入っていますが、「抗コロナウイルス高度免疫・・・」とは、抗コロナウイルスの抗体が入っているはずの「感染者」から血液の提供を受け、その血液を精製、「新型コロナウイルス」に対する中和抗体を測定したうえで、高力価であることを確認し、使われていたということだと思います。生産のネックが、「血液の入手」であることはあらかじめわかっていました。 評価項目として使われたのは、「対象を重篤化リスクのある成人のCOVID-19入院患者として、抗コロナウイルス高度免疫グロブリン製剤を、レムデシビル(抗ウイルス薬)を含む標準治療に追加投与した際の、疾患進行のリスク低減」であり、対照群として「レムデシビルを含む標準治療のみ群」でしたが、両群での差が出なかった模様です。 重症の患者を対象にしていますので、その重篤化をもはや抑えられることが出来なかったか、レムデシビルの効果などの他の要因が混在したために差が出なかったことが考えられますが、少なくとも両群で統計的に有意な差が出なかったことで、「有効性なし」になり、当該医薬品の試験は中止するという判断になったようです。(重症患者やすでに治療薬が存在する疾患に対して、臨床試験薬剤のみを使っての臨床試験を行うことは倫理的にできません。)
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アストラ製ワクチン、若年層対象の治験中断=オックスフォード大
Reuters
高橋 義仁専修大学 商学部教授
記事を読む限り、アストラゼネカ製ワクチンに関して、若年層(6-17歳)に適応を拡大するための臨床試験を実施する予定のところ、様子見との報道です。(実施中の試験の中断ではありません) 記事中に、「英医薬品当局のガイダンスを待ちたい」と書かれていますので、当該試験の実施延期は、「英国医薬品当局の指示」によるものだと思われます。新型コロナウイルス感染症については、若年層は重症化リスクが低いという背景があるため、ワクチンの接種のベネフィットが比較的小さい一方、(因果関係は明らかではありませんが)当該ワクチンにおいて可能性として想定される副作用のリスクを考慮に入れた場合、若年層では「様子を見る」との判断だろうと思います。 当該年齢層への臨床試験の実施(ボランティア参加者のリクルート)は親権者の同意が必要なので、「感染の影響を大きく受ける状況になっている」などの場合でなければ、臨床試験の参加ボランティアを募ることが難しいことは、もともと背景にあります。 新たに不都合が出たわけでなくても、医薬品の臨床開発でこのような判断がなされることはよくあります。ただ、臨床試験をしないと若年層への接種はできません。今後は、防疫戦略上の要請も考慮されると思います。
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