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金融政策は為替対象とせず、経済・物価への影響「十分注視」=日銀総裁
Reuters
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
庶民は一生懸命働いてモノとサービスを生み出して、その価値と引き換えにお金を手に入れて使います。国民が使う円にはモノとサービスの裏付けがあるのです。 日銀が財政ファイナンスまがいの国債購入で使うお金にはモノとサービスの裏付けがありません。そういうお金を大量に世の中に流せばモノとサービスの量と比べてお金の量が増えすぎて、増えたお金、すなわち円の価値が下がるのは当然です。 どのみちお金を持つなら金利が高い方がお金の価値が高まります。金利がつかない円の価値が低くとどまるのも当然です。 異次元緩和と称される政策が円安誘導と見做されば為替操作を禁じる米国等から非難を浴びますから、日銀は口が裂けても円安政策を取った、すなわち金融緩和が為替を対象にしているとは言えません。しかし、今の極端な円安の背景に、日銀と政府が組んで進めた円の毀損策があるのは明らかです。 通貨の価値を守る役割を担うのが中央銀行なのに、円の毀損策を積極的に進めた日銀は、稀有な存在と言って良いでしょう。為替介入は財務省の役割ですが、日銀が円を積極的に毀損し続ける限り、介入の効果は限られます。後始末を担う植田総裁の奮闘が続きそう (・_・;
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植田日銀の「バターナイフ利上げ」、市場は無視し円安・株高進む
Forbes JAPAN
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
長くデフレと低インフレが続いた日本の円は、高くなり続けてこそ購買力が維持できるのです。それが逆に円安になったので、日本人にとって外国の物価が極端に高くなり、外国人にとって日本の物価が極端に安くなっているのです。これは、後進国に特徴的に見られる現象です。 本来高くなり続けて然るべき円が逆にこれほど安くなったのは、日銀と政府が手を組んでモノとサービスの裏付けのない円を大量に市場に流し、金利を極端に低く抑えて円の価値を損ない続けたからにほかなりません。どこかで円の価値を取り戻さない限り、日本国民の生活は、本当に途上国並みに戻ってしまいます。 とはいえ、長く続いた極端な金融緩和と財政拡張の結果、我が国は、政策を見直せば溜まりに溜まった歪が表面化して景気を冷やし、政策を見直さなければ歪が更に溜まり続けて緩和の出口で起きる混乱が大きくなり続ける二律背反状態に置かれています。歪の最たるものはGDPの2.6倍に上る政府の債務(先進国は0.6倍から1.5倍程度)、GDPの1.1倍に達する日銀保有の低利国債(米欧の中銀はGDPの3割から5割程度)、低利を利して膨らんだ家計と企業の住宅ローンや短期転がし貸金、運用先に困って長期の債券を積み上げた一部地銀の存在等々で、本格的に金利があがれば大きな問題を起こして日本の景気を冷やすのは必定です。 植田日銀は今回、黒田日銀が始めた異常な政策の多くを見直したわけですが、前向きの借り入れ需要が乏しい中で政策金利残高に対するマイナス金利を止めても銀行の利益が全体として数千億円改善するだけで実体経済に大きな影響が及ぶとは思えませんし、YCCを止めるにしても毎月5~6兆円も国債を買い続けるなら、1%を超えることを容認すると言いながら長期金利を0・7%前後に抑え続けて来たこれまでの政策が大きく変わるわけでもありません。ETCの購入にしても、株高を受けて既に追加買入を止めていましたから、手持ち分を積極的に減らすのでない限り、これまた大きな影響が出るわけではありません。 現段階で日銀は二律背反の均衡を破る動きを見せたわけでなく、現状をさして変えない形で一応の対応をして見せたに過ぎません。市場が大きな反応を示さないのはむべなるかな。二律背反状態の中で火中の栗を拾った植田総裁の決断力と胆力が試されるのは、たぶん、実際に影響が出る施策を迫られるこれからです (・・;
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森永卓郎×森永康平 親子で語る庶民の暮らしがよくならない「最大の原因」「格差の元凶」
AERA
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
プラザ合意後の円高局面で内需拡大を要求する米国の要求に応える意味合いもあって金融緩和策を取ってバブルを招き、民間企業の自由な活動で動く半導体の輸出を政府が規制することを吞まされて違反を咎められ、日本が追い込まれていったのは当時30歳代半ばだった私の記憶に新しい。「翌86年に日米半導体協定を結ばされて」「その後日米構造協議があって、片っ端からアメリカの要求をのまされるようになる」というのは実感として分かります。 しかし、円高圧力を嫌って緩和策を取り続けてバブルを招いたのは我が国の責任です。資産格差を危惧して政府と日銀がバブル潰しに動き、銀行が担保に取っていた不動産と株が暴落して不良債権が積み上がり、銀行が融資に慎重になり企業が成長投資を押さえて日本は長い停滞に入って行きました。 小泉政権の誕生は2001年で、不良債権問題に苦しんで我が国が完全な停滞状況に入った後の事。改革無ければ成長なしを合言葉に不良債権処理をはじめ構造改革路線を推し進めていきました。改革に期待して海外から日本への投資が動き始め、不良債権処理を終えた日本経済は成長軌道に戻っています。小泉政権時代の前後は名目か実質かどちらかのGDP成長率がマイナスであるのに対し、共にプラスに転じています。しかも国債の発行額が押さえられ、格差を示すジニ係数さえも拡大が抑制されているのです。その結果、小泉政権は退陣時点で国民から高い支持率を得ていました。「小泉政権の時に不良債権処理をしなければ日本経済ははるかによくなっていた」というのは私にはとても信じられないところです。 小泉政権の改革路線が格差拡大の元凶として批判に晒されるようになったのは日本が再び財政拡張に走って勢いを落とし始めたその後の政権になってからで、郵便貯金を政府の便利な財布として使うことを阻止する郵政民営化の巻き戻しをはじめ、構造改革で既得権益を奪われかけた人々が二度と構造改革路線が生まれないよう封じ込めに掛かった結果であるように感じます。 GDP対比で先進国最大の借金を抱えるに至った我が国の現状を鑑みると、日本の停滞の要因は財政支出の不足ではありません。社会保険料の増額も増税も、無駄に投じた財政支出の結果です。金融緩和と財政支出のカンフル効果にのみ目を向けて日本が抱える構造問題を軽視する限り、日本が息の長い成長軌道に戻ることはないように私は感じます。
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消費者物価4カ月ぶり高い伸び、市場の関心は日銀利上げペースへ
Bloomberg
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
「平均賃上げ率が33年ぶりに5%を超えており、賃上げに応じた価格転嫁が進むかが焦点」 (@@。 政府の巨額の補助金投入は未だ続いており、その影響を受けない生鮮食料品とエネルギーを除く物価は前年比3.2%、2年前と比べると6.8%上がっています。一方、高かったと言われる昨年の定昇込み賃上げ率は3%台半ば程度ですから、物価の上昇をカバーするベアはせいぜい1~2%にとどまって、とてもじゃないけど物価に追いついていない状態です。要すれば、インフレムードに乗じて企業は販売価格を上げたけど、去年の段階では賃金に十分反映されず、企業の利益が増えて労働分配率が大きく下がっているわけです。 今年は去年を超える賃上げが見込まれていますけど、仮に定昇込み5%を超える賃上げが為されても、ベア部分が3%程度なら、去年の値上げ分の一部を遅ればせに賃金に反映させて労働分配率を正常化するというだけで、2年間の累計で見て実質賃金が増える訳ではありません。2年累計で見ると実質賃金はむしろ減り気味で、社会保険料とインフレによる課税区分の上方シフトで給与所得者の負担は重くなる。コロナ禍中で貯蓄を蓄えているとはいえ、これでは家計の消費は盛り上がらず、企業はこの先、どれほど強気に価格を上げ続けることが出来るものなのか。 賃金と物価の好循環の確度が高まったと日銀は言うけれど、こうした背景を勘案すると微妙なものを感じます。少なくとも過去2年の動きに関する限り、インフレが実質賃金を下げるという意味で、物価と賃金の悪循環と呼ぶ方が良さそうな・・・ 経済構造が強くならないなかで起きるインフレの宿命であるように感じます。 (・・;
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為替介入是非、可能性含め「コメント控える」=鈴木財務相
Reuters
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
「ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を反映して安定的に推移することが重要」なのはその通りですが、購買力の維持を考えると、デフレなり低インフレなりが長く続いた日本の円は、継続的に高くなって然るべし。その円を、異次元と称する異常な緩和で逆に円安に動かした結果、日本の庶民は外国の物価の高さに恐れをなして海外旅行に行けず、後進国並みに物価が安いと感じる外国人は大挙して日本にやって来て元気に宿泊、飲食、買い物をしています。 長期に亘る異次元緩和と財政拡張頼みの結果、経済の基礎的条件が劣化して日本が後進国並みの生産性になったとすれば、政府の口先介入はもとより、実際に介入してもその効果は高が知れているかも知れません。しかも日本のインフレ率は今では実態的に欧米を超え、その面でも円安圧力が掛っています。手持ちの外貨準備が制約となる円買い介入には制約がありますから、うっかり介入なぞして効果が一時的に留まると、円の弱さ却って際立たせることになりかねません。円安局面で”比較的気軽に“口先介入して来られたようにお見受けする鈴木財務相も、今回ばかりは牽制が難しいといったところでしょうか・・・ 知らんけど(・・;
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学者出身の日銀総裁が示した決断力、世界で最後のマイナス金利に幕
Bloomberg
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
昨年秋の初めころ、日銀でトップクラスに偉かった人と親しい友人から「植田総裁は良く分かっていらっしゃるけど決断力無い」と同氏が話していたと聞きました。しかし今回の決断を目にすると、私が申し上げるのは僭越ですが、決断力もお持ちでありそうに感じます。 (^^; 同窓の縁でバーナンキ氏が引き合いに出されていますが、景気を刺激する金融緩和の拡大策は政権も市場関係者も好むところで、反発の声が出る可能性の低い決断です。対する植田総裁は、景気を悪化させる可能性のある緩和縮小に挑んでいます。これをきっかけに株価が下がったり円高が急速に進んで企業の利益が落ちたりしたら、政府もメディアも出口を急いだ日銀に全ての責任を押し付けそう。 引き締めに向けて決断力を示した米国の人物といえば、ボルカー元FRB議長が筆頭でしょう。当時ニューヨークにいた私は、あまりにも強烈な引締めに批判の声も出ていたと記憶しています。しかし、中途半端な引き締め策を”ストップアンドゴー“で繰り返してインフレ心理が定着して大変な事態になっていたこともあってか、当時のカーター政権は失業率が10%を超えるほどの状態になっても引き締めを支持し続け、ついにインフレを収束させて長期に亘る米国繁栄の礎を築くことが出来ました。ボルカー氏が批判に耐えて大胆な政策を実行する決断力をお持ちだったことは確かですが、その背景に、それを是とする政権の支持があったことも確かでしょう。 植田総裁は黒田元総裁が始めた異次元という名の異常な政策を全て見直す決断力を示されたわけですが、前向きの資金需要が少ない中でマイナス金利政策を解除しても、銀行が有利息の準備預金を増やして利益を上げるだけにとどまれば実体経済への影響は限られますし、YCCの撤廃にしても、日銀が大量に国債を買って1%台を容認したはずの長期金利を0.7%前後に抑える施策を継続するなら、これもまた、実体経済への影響は限られます。現に、本来なら90円台後半から110円台前半にあってこそ内外価格が一致するドル円相場が150円前後の極端な円安にある中で、政策変更が円高圧力を高める様子すら見られません。異常な緩和の修正は緒に就いたばかりです。岸田政権はカーター政権のように日銀の動きを冷静に見守ることができるのか。植田総裁のみならず、岸田総理の決断力も試されそう (^_-)
477Picks
デフレ脱却「失敗」の歴史=異例の緩和、四半世紀ぶり転機―日銀
時事通信社
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
マイナス金利を回避するため市場にマイナス金利で資金供給せざるをえない立場に置かれていた銀行は、今回の政策修正で安心して日銀に預金を積むことができるようになり、収益的にかなり大きなメリットがある筈です。ただ、資金需要が乏しい中ですから、銀行経営が楽になるのは確実であるとして、「17ぶりの利上げ」が実体経済に大きな影響を及ぼす可能性はそれほど大きく無いような気がします。当座預金への付利でメリットを受ける銀行が”利上げ“を根拠に最優遇貸出金利をどのように動かすか次第かも。 YCCの撤廃にしても、日銀は現状程度の国債買い入れを続ける方針と別記事にありますので、長期金利が大きく上がる可能性は低そうです。だって日銀は昨年、量的緩和のピークに次ぐほど大量の国債を買って、1%を超えることを許容したはずの長期金利を0.7%程度に抑えていますから。これも日銀の今後の動き方次第です。 そもそも今回のインフレ、即ちデフレ脱却は、円安による輸入価格の高騰という点を除けば金融緩和に起因するものではありません。円安状況が変わらぬ限り、インフレ・デフレに大きな影響があるわけがなく、これは別の要因で動いています。 とはいえ政府も世論も、景気が悪くなったらすべて日銀のせいにしそうな雰囲気です。異常な緩和の出口に手を付けた日銀はこの先どのように動くのか。火中の栗を拾われた植田総裁の難しい舵取りが続きそう (^.^)/~~~フレ!
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【3分でわかる】今さら聞けない「日銀マイナス金利解除」の意味
NewsPicks編集部
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
流石と唸りたくなるほど分かり易い解説ですね! とても勉強になりました (。 ・ω・))フムフム すこしだけ敷衍すると、マイナス金利については、異例な政策を黒田前日銀総裁が導入して以来、政策金利残高にマイナス0.1%を適用し、マクロ加算残高に0%を適用し、基礎残高にプラス0.1%を適用する三段構えになっていましたが、日銀のホームページの読み方を私が間違えていなければ、下のURLの「保管当座預金制度基本要領」にある通り、法定準備預金に0%を適用し、それ以外の準備預金にプラス0.1%を適用する普通の姿に戻っています。これなら政策金利の指標になる無担コールレートはゼロパーセントを超える可能性が高く「ゼロ金利政策でもない」と発言されるのはむべなるかな。 https://www.boj.or.jp/mopo/measures/term_cond/yoryo37.htm 取り敢えず従前の枠組みを維持してマイナス金利部分をゼロパーセントにするといった中間的な手段をとらずいきなり本来の姿にしたわけで、資金需要が無い中でマイナス金利を回避するため市場にマイナス金利で資金供給せざるをえない立場に置かれていた銀行は安心して日銀に資金を積むことができ、かなり大きなメリットがある筈です。ただ、資金需要が乏しい中ですから、銀行経営が楽になるのは確実であるとして、「17ぶりの利上げ」が実体経済に大きな影響を及ぼす可能性はそれほど大きく無いような気がします。当座預金への付利でメリットを受ける銀行が”利上げ“を根拠に最優遇貸出金利をどのように動かすか次第かも。 「緩和的な金融緩和環境を続けることも強調」「急激に金利上昇などが起きた際は、日銀が長期国債の買い入れを実施します」とありますが、日銀は現状程度の国債買い入れを続ける方針と別記事にありますので、YCCを止めたとしても、長期金利が大きく上がる可能性は低そうです。だって日銀は昨年、量的緩和のピークに次ぐほど大量の国債を買って、1%を超えることを許容したはずの長期金利を0.7%程度に抑えていますから。これも日銀の今後の動き方次第でしょう。 異常な緩和の出口に手を付けた日銀はこの先どのように動くのか。景気が悪くなったらすべてが日銀の責任にされかねない雰囲気のなか、火中の栗を拾われた植田総裁の難しい舵取りが続きそう (^.^)/~~~フレ!
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円、一時151円台に下落 4カ月ぶり円安ドル高水準
共同通信
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
日本人が海外に行って感じる物価と外国人が日本に来て感じる物価が同じになる為替相場(≒購買力平価)は90円台後半から110円台前半というのが大方の見方です。円は長いあいだそのレンジにありました。ところが今では150円という極端な円安になり、日銀が金融政策を見直すとの噂(リーク?)が出ても実際に見直しても、円安を予想するいろんな見方に押されて円が購買力を取り戻す気配が見えません。長く続いた停滞と、日銀と政府が一体になって10年以上に亘って続けた円の価値の毀損策の賜物であるように感じます。 通貨の実力が購買力平価を大きく下回る、つまり外国人にとって自国の物価が極端に安く自国人にとって外国の物価が極端に高いのは発展途上国(かつては後進国と呼びました)に特徴的に見られる現象です。通貨の価値を安定させて潜在成長率に沿って安定的に経済成長を成長させるのが本来の使命で、実体経済を変える、つまり潜在成長率そのものを高める手段を持たぬ日銀に全てを頼って劣化を続けるビジネス環境(IMDの評価で平成元年1位、今は34位)を放置し、日本企業が日本を逃げ出し外国企業が日本に来ず、かつて栄華を誇った電機産業を始めとする日本企業が力を落とし、日本が途上国化して来た結果だとすると、末恐ろしいものを感じないでもありません。 経済を成長させる上で中央銀行は万能の存在ではありません。日銀が緩和の出口を探り始めたいま、日本の潜在成長率を高める上で本当は何が重要なのか、改めて整理して官民挙げて一体的に取り組む必要があるように思います。このまま行くと、円の価値が途上国並みに下がった状態が恒常化して、日本は本当に途上国に逆戻りしかねませんよ・・・  (・・;
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牛乳販売店の苦境際立つ、昨年の廃業は過去最多 地域に根差す専業店ほど苦しく
産経ニュース
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
私が子供のころは、牛乳は宅配が当然で、どこの町にも牛乳屋さんがありました。私が育った大阪市内も同じです。紙パックなんて便利なものは無かったですし、我が家にはそもそも冷蔵庫がありません。毎朝届く牛乳を、新鮮なうちに飲ませて貰ったのを覚えています。 ところが冷蔵庫が普及しスーパーマーケットが勃興し、紙パックといった持ち運び易い容器が拡がると、従来の販売ルートが一変し、町の牛乳屋さんの多くが消えて行きました。これまで頑張って来られた牛乳屋さんには申し訳ない言い方ですが、こうした状況下、スーパーマーケットやコンビニで紙パック入りの牛乳を販売することを禁止して、牛乳屋さんを守るでしょうか。もし牛乳配達事業議員連盟なんていうのがあってそれに見合う利権があるなら、衛生面だとかなんだとか様々な議論が持ち上がり、牛乳屋さん以外の牛乳販売が禁止され、今に至っていたかもしれません。 なぜこんな話を持ち出すかというと、最近話題になったカーシェアリングの問題が、私には牛乳屋さんの盛衰とダブって見えてしまうからなんです。タクシーは、専門の運転手と専用の駐車場を備えた事業者に政府がタクシーという名のお墨付きを与えて安全安心を担保する社会インフラです。情報が乏しく安全を守る枠組みが乏しかった時代には、知らない土地で知らない自動車に乗るにはそうした制度が必要でした。 ところが今はGPSが発達しキャッシュレス決済が普及し、走行履歴と決済履歴と客と運転手の相互評価がクラウドに蓄積されてAIがそれを分析し、スマホ一つで安心して乗るべき車と客が選べます。そこで生まれたのが当局の認可に代わってSNSが安心安全を担保するカーシェアリングという名の新しい社会インフラです。社会的な役割を終えたタクシー事業者が日本以外の国で急速に減ってカーシェアリングが拡がる中で、我が国はタクシー事業者を守って新しい社会インフラの導入を認めません。鳴り物入りで始まった”日本版カーシェアリング“は既存事業者の運転手不足を解消する手段に留まって、本来のカーシェアとは似ても似つかぬ代物になりました。 タクシー事業者を守ってカーシェアリングを拒むのは、いわば、技術と時代の変化に掉さして牛乳屋さんの存在を守るようなもの。筋違いの話ではありますが、私には変化を拒んで立ち遅れて行く日本の姿を捉える一つの鏡に見えて仕方がないんです f(^^;
23Picks
プーチン大統領、圧勝で5選 87%超、史上最高得票
共同通信
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
真の独裁国家では、投票に行って支持票を投じないと反乱分子と見做されて身が危くなりかねません。ちなみに2002年のイラクの選挙でサダムフセインは100%の投票率で100%の指示を得たと聞き及びますし、北朝鮮の選挙も投票率はほぼ100%だったはず。今回のロシアは投票率が77.44%で得票率が87.3%ということなので、『投票に行かない自由』と他者に投票する自由は若干なりとも残っているということなのか、それとも本当に多くの国民が本当に支持しているということなのか。 投票に行かない人と他者に入れた人を共にプーチン氏への批判勢力と見て支持する国民は67.6%です。これをどのように読むべきか。微妙なところではありそうですね・・・  塩崎先生のコメントに「プーチン政権がロシア領に組み込んだウクライナの領土では、プーチン大統領の得票率が、ドネツク人民共和国 96%、ルハンスク人民共和国 95%、ザポロージェ 93%」とありますが、そうであるとすると、投票率は分かりませんが、これらの占領地域では人々が投票に駆り出され、賛成票を投じざるを得ない環境が生まれていたこともありそうな・・・  (・・;
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日銀が大規模緩和の解除を19日に決定へ、YCC終了-報道
Bloomberg
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
「円は年初来でドルに対して5%余り下げており」とありますが、異次元緩和が始まった当初の100円前後から比べると、円は4割近く下げています。日本人が海外に行って感じる物価と外国人が日本に来て感じる物価が同じになる為替相場は90円台後半から110円台前半程度というのが通り相場なので、150円前後の円は如何に何でも安すぎます。その結果、ラーメンが海外に行くと2~3千円もして、餃子とか何とかつけて昼飯にすると4~5千円もするといったとんでもない話が出ているのです。 物価に責任を持つ、言い換えれば通貨の価値に責任を持つのが中央銀行。円相場は財務省の管轄で日銀は関係ないと黒田日銀は主張し続けて来ましたが、異次元と言う名の異常な金融緩和が円の価値の毀損策であるのは明らかです。まして、マイナス金利はともかく、YCCもETFの買い入れも、世界のまともな中央銀行は禁じ手とする奇策です。普通の感覚をもつ人なら、早くなんとかしたい、なんとかして欲しいと思うんじゃないのかな・・・  とはいえ長く続いた異常な金融緩和の結果、日本経済の背後には、欧米で起きたような金利の上昇に耐えられない構図ができています。仮にこの3月に1%という長期金利のめどを撤廃しても、政策金利を低く留めるとともに国債の買い入れを継続して長期金利を低く抑える政策は続けざるを得ないでしょう。市場が利上げを催促する状況に陥らないよう念じます。 いまの我が国の状況を斟酌すると、インフレ率を名目金利が下回る状況を脱する状況を作るのは容易なことでなく、政策変更で円が幾分高くなることがあるにせよ、円が本来持つべき購買力を取り戻すことは今となっては難しそう。残念なことではありますが、たとえ政策の変更があっても、日本人にとって海外旅行は高嶺の花、いや高値の花に留まることになりそうな気がします。
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EU、凍結ロシア資産の利益をウクライナに提供する法案を策定
Bloomberg.com
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
主要7カ国(G7)、EU、オーストラリアが凍結する約2600億ユーロ相当のロシア中銀資産のうち3分の2以上を占めるとされるEUの意向がこの問題で大きく働くのは確かでしょうが、ロシア国内には独・仏はじめ欧州企業を中心に西側諸国の資産、なかでも欧州諸国の資産がたぶん同額程度残っているはずで、ロシア向け資産が相対的に少ない米国のバイデン大統領が主張する通り凍結した資産を差し押さえてウクライナに回してロシアが報復に出れば、EUは相当な返り血を浴びるはず。そんな状況下、凍結した資産から生じた利益に課税する(つまり資産本体と利益そのものは没収しない)形で落としどころを探るといったところでしょうか。 国際法に詳しい訳ではないですが、直截的な交戦状態にあるわけでない国の資産を第三国が没収することが前例になると、それでなくとも世界の分断が進む中、グローバルな資金移動は難しさを増しそうです。もし仮にこれが成立すると、ロシアから敵対国家と見做されている日本企業がロシア国内に持つ資産はどのような影響を受けるのか、そして我が国は差し押さえた数兆円の資産を巡ってどう動くのか。EUの動きに関する記事ではありますが、我が国も埒外にはいられぬ内容を含んでいそうな気がします。 (・・;
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東証急反発、終値1032円高 円安で今年2番目の上げ幅
共同通信
辛坊 正記(株)TOASU特別研究員(経済評論家・コンサルタント)
1989年末の過去の史上最高値から20年以上下げ続けた日経平均株価が反転上昇に転じ、10年かけて過去最高値を更新したわけですが、上昇に転じるきっかけは、安倍政権の誕生で金融が大胆に緩和されて円安になり、大企業を中心に輸出企業が儲かるとの思惑でした。 日本人が海外に出て感じる物価と外国人が日本に来て感じる物価が同じ程度になる相場(≒購買力平価)は90円台後半から110円台前半程度と見るのが大勢です。日銀が円を大量にばら撒き金利を抑えて円の価値を毀損した結果、ドル円は150円前後といった極端な円安になっているのです。 円安で輸出企業が儲かるとの思惑で株が上がること自体に文句はないですが、これだけ極端に安くなった円が、日銀が異次元緩和の出口を探っているにも拘わらずちょっとした要因で円安に振れ、円安で円建て利益が膨らみそうな企業の株が買われる現象に、日本の未来にとって危ういものを感じないでもありません。いずれ円高に戻ることを想定して円が安い今のうちに買っておこうという外国勢の動きならまだしも救われるところがありますが、円安の継続が期待されているなら、安い日本、換言すれば国民の購買力が世界の中で極端に下がった日本の現状が固定化すると見られているわけですからね・・・ (・・;
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