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ウッドショック、住宅木材価格「平時の4倍」の激震
東洋経済オンライン
豊田 啓介建築家、noizパートナー、gluonパートナー、東京大学生産技術研究所客員教授
3-4月あたりから周辺の設計事務所や工務店でも影響が実感されてきたウッドショックの影響、今は本当にとにかく資材が手に入らない状況がかなり顕在化している。この記事中では建設総工費に占める輸入集成材の価格割合で比較してしまっているのであたかも実態はそれほどでもないように書かれてしまっているけれど、特に木造戸建て住宅では柱梁材の確保と工程はまさに全体の背骨。これの目途が立たなければ全体の計画自体が動かなくなる。 周辺の戸建て住宅を中心に扱う工務店なども、もう4-5件同時に止まってしまってうごかしようがないというところも実際に出てきている。建て方の目途が立たなければ他の工程のサブコンや職人の確保もままならず、納品もできなければ入金も計算できない。複数の住宅を異なるサイクルで回すことで金の流れを維持している小規模な工務店なら、資金ショートが起きてもおかしくない問題。 国内にも集成材メーカーはあるものの、規模も小さいし加工する原料自体はカナダ産のベイマツなどを使っているところが多い。秋田などでの国産集成材や合板、CLTなどの振興政策を、もっと全国的な技術と組織の集約化や効率化の動きにつなげていくことが必要。 木造住宅に2x4やプレカットなどを使っても、広い土地でシステム住宅が建てやすいアメリカと違い、敷地が狭小で独自の環境にカスタム対応が不可避な日本では、システム化によるコストカット余地はどうしても小さくなる。 むしろ建築基準法にある程度の弾力性を与えて、相応の建材や工法を採用しているときには、敷地の制限由来の集団規定をある程度緩和するとかボーナスを与えるとか、こうした建材や工法がマーケットで生き残りやすいしくみをもっと積極的に考えてもいいのではないか。
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トランスジェンダー選手、五輪へ 史上初、重量挙げ女子
共同通信
豊田 啓介建築家、noizパートナー、gluonパートナー、東京大学生産技術研究所客員教授
これ、性の領域に限らず非常に難しい話で、これまで大雑把な区分けで成立させていた社会のしくみを、より細分化して連続的な立場や指向性を認めましょうという流れの中で、不可避的に出てくる問題。 物理的実在にかかわる部分(骨格や筋肉、遺伝子など)と、人格にかかわる社会性や認知にかかわる部分(指向性や身分など)との間に差異があることを認め、その程度や方向性の多様性も含めて個別にちゃんと認めましょうというのが流れなので、こういう例はスポーツに限らず多様な場面で生じてくる。 建築や都市領域でも、例えばトイレをどうするかというのは、トイレという部屋としての単位がどうしても物理的に必要である以上、あらゆる場面で、あらゆる可能性としての指向性に無限に対応することは現実的に不可能。 例えばトランスジェンダーの人を女性用トイレに受け入れると、それを不安に感じる人も出てくるし、最後は自己申告でしかありえないので悪用する人も出てくる。最後はユニセックスですべて独立の個室にという話にもなるけれど、時間シェアすることのリスクや違和感を全ての人から拭うことも不可能。既存のハンディキャップトイレでも、あくまで多様なスペクトルのうちこれまで対応されていなかった部分を、一室で「可能な限り」カバーするものでしかない。 これまでの画一的な属性や所属の分け方に対し、より詳細で連続的な在り方を認める社会の流れは、性の話にとどまらず今後あらゆる領域で顕在化してくる(既にしている)。個人的にはこの流れ自体に異議を唱えたり戻したりというよりは、より積極的に認める前提で、そのためにいかにこれまでの分け方の前提自体、評価や比較の在り方自体を変えていかないといけないかという方向に、社会全体で前提を問い直す時期なのではないかと思う。 スポーツだって、男子と女子の二色の塗分けでなくてもいいんじゃないか。 そもそも100m走だって、身長160㎝の人の10.00と200㎝ある人の9.60をどう評価するか自体でも議論の余地はある。そうしたさまざまな変数と関数を勘案しない限り、こうした議論には決着はつきようがない。絶対値で評価(やっぱり有無を言わさず人類最速というのは見てみたいのも分かる)する世界と、条件ごとの相対評価をする世界、どちらも選択可能という方向に、社会のしくみのほうを変えていく時期なのでは。
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三越伊勢丹、新宿・日本橋店の再開発に着手
日本経済新聞
豊田 啓介建築家、noizパートナー、gluonパートナー、東京大学生産技術研究所客員教授
日本橋の三越本店と新宿の伊勢丹本店、立地としてはもちろん、それぞれ建築的にも歴史的なランドマークとしての価値が高い重要な施設でもあるので、一体どんな再開発をするのかとても興味深い。 それぞれ文化醸造の中心に居続けている業界のトップランナーではあるので、折角の歴史的アセットの価値を下げるような再開発はしないとは思うけれど、中途半端な腰巻保存と容積率一辺倒のような開発計画にならないことを願うばかり。 百貨店という業態も、マス向け、場所縛り、事業者から顧客向けの発信と販売という一方向性などがどんどんネガティブ要素になりつつある中、いかに双方向性やリモート参加の可能性、社会に拡散する離散的な専門性をいかに薄く広く、編集可能な形で共有する、特殊な場所拠点型の双方向のネットワークプラットフォームとして再構造化するかがこの5年ほどで問われることになる。 そのための物理的な、システム的な、ネットワーク的な可能性はむしろ広がっているし、百貨店という業態はインフラとしての先行メリットも大きい。ただそうした新しい開発が可能なプレイヤーの中で、最も恩恵を最大化できるのは、老舗という歴史性とそれを体現する建築や場所性など、古さ由来のアセット群。逆説的だが、デジタルプラットフォームがある程度整備され標準化された先では、デジタル技術や今どきのデザインではどうやっても生み出し得ない、歴史や伝統、その場所や企業が持つ分厚い固有の物語が、とても貴重なアセットになっていく。 一周まわった先の価値を十分に見越した形で、直近の再開発やデジタル対応の再編をうまくデザインできるか、百貨店の雄の手綱さばきとビジョンにおおいに注目したい。
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衛星データから街の3Dモデルを自動生成 AIで建物の材質も再現 ゲーム・映像制作に活用
ITmedia NEWS
豊田 啓介建築家、noizパートナー、gluonパートナー、東京大学生産技術研究所客員教授
面白い取り組みですね。実際に存在する個別のビルの独自性や詳細をそのまま再現するのではなく、衛星から読み取れるマクロなボリュームデータ(原則はGoogle EarthやPlateauと同程度の解像度)をベースに、ビルのファサードや各種ストリートアイテムをテンプレート化して適用、あくまで写真ではなくゲームエンジンのライブラリのような3Dデータをマテリアルとして使う形なので、いくらでもクローズアップ可能だし、かつTwinmotionのような人や自動車などの動的エージェントをその中で走らせるようなことも可能というサービスのようですね。 やはりKML(Google Earth)やCity GML(Plateau)などは俯瞰での利用に向いているものの、歩道や広場など、実際の人スケールにまでズームしていくと、その解像度の限界が露呈してしまう(ジオメトリの位置や構成の正確さ、マッピングされているテクスチャ画像など)のですが、このやり方(大きなジオメトリに3Dライブラリをマッピングする)なら、いくらズームしても解像度の問題は起きず、今のリアルタイムレンダリングの性能ならシミュレーションの目的でも遊びで散歩する感覚でも、かなり楽しく街をフライスルー(もしくはウォークスルー)できそうです。 一見実在する街を再現しているような印象を与えてしまうので、あくまでライブラリの組み合わせであって個別の再現性は(少なくとも現時点では)ないということがちゃんと理解されて初めていろいろな価値が広がりそうですが、その上で各種建物のファサードやストリートエレメントのバリエーションの拡充(これは国や文化によって相当幅があるので汎用性をグローバルに上げるのはかなり大変なはず)と、そのある程度のカスタム性や、衛星画像(少しは立面も見える:影とか街路樹とかの影響の排除がまだ難しいけど)などをヒントにしたジェネラティブな機能などが組み込めれば、本当にすごいことになるかも(たぶんそんな開発はしているはず)。 現状でこうした都市スケールのデジタルツインは、その実効的な更新性をビジネスや技術的なフレームに含み得ていないのが根本的なネックなので、毎日2回上空を通る衛星画像ベースで3Dのデジタルツインが(それでもあくまで解像度は都市スケールという限界は越えないけれど)自動的に更新されるミラーワールド、ぜひ見てみたいです。
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中国当局、テンセントに金融ホールディング会社設立を指示-財新
Bloomberg.com
豊田 啓介建築家、noizパートナー、gluonパートナー、東京大学生産技術研究所客員教授
アリババとテンセント、今中国でいわゆるスマートシティの基盤(それぞれ方向性は異なるものの)づくりの二大パワーハウスが金融(決済)のプラットフォームも持っていて、それらが国の傘でがっつり統合される。今他の国で民間企業がやろうとしてなかなかできない動きが、その方式の良し悪しの議論はさておき、圧倒的なスピードとパワーで進んでいる印象です。 スマートシティと言われる領域は、本質的に複数の異なる業態にまたがらざるを得ず、その実装前の仮免段階で実際の都市を実験場としてさまざまなロジックやパラメーターのファインチューンとデータ取得というプロセスを経ざるを得ないという点、いかに西側のITジャイアントでもなかなか越えられないハードルが顕在化しています。 そこが中国だと政府の肝いりで、市民の反発とかエシカル面での議論を差し置いて、都市をそのまま実験場として提供してもらえる、これは次世代のプラットフォームづくりに向けたプロセスとしてはもう圧倒的なアドバンテージです。同時にそんなソーシャルコンシャスを欠いたシステムはそのままでは中国以外の国には適用できないので諸刃の剣ではあるものの、今この領域のノウハウは圧倒的にこれらの企業にたまりつつあるのも事実。 そんな実空間そのものを複合UI化する、スマホが自動車になり建築になり都市になるという流れの中、当然お金をその中でどう情報的に制御するかというノウハウが重要になるのは当然で、その面でもこれは圧倒的な中国(とその実行部隊としての企業)のアドバンテージになる動き。善悪や可否は別として、技術と環境はもう全然追いつけない感しかしてこないですね。
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バッハ会長「犠牲」発言、IOC否定「日本にではない」
朝日新聞デジタル
豊田 啓介建築家、noizパートナー、gluonパートナー、東京大学生産技術研究所客員教授
sacrificeと言う言葉に過剰に反応している人多いようですが、文脈からしてもこの部分は、「IOCなど開催する側」が通常の業務や責任範囲を超えて犠牲的精神で実現に向けた努力が必要な局面(そこまで強くすらないかもだけどあえて語彙や方向性を明確にすれば)だと言う意味で、開催国の国民を犠牲にしてもと言うことではないですね。そもそもこんなスーパーポリティックスの極致を生き抜いてきた人が、そんな単純なセンシティブな言葉遣いのミスを犯すはずもなく…。 とはいえオリンピックを準備している中の人視点では、ここまで準備してきたことを今更無に戻せるかと言うのもよくわかるものの(本当に大変だとは思う)、それは個人事業主や多くの企業や「不要不急」とされている仕事に関わる社会全般に当てはまることで、社会の一部には有無を言わさぬ破滅的な犠牲を強いながら、自分たち(オリンピック主催側)だけは本丸での犠牲は拒絶するという強硬姿勢は、感情的に受け入れがたいものがあるのも現実だと思う。最近その帰りが明確に大きくなりすぎている感覚はある。 今回のsacrificeについても、この社会的な非常事態を乗り切るため既に「生活の糧をあきらめる犠牲」を強いられている社会により一層の犠牲を強いることをを前提に、内部の「目的達成のための犠牲」を臆面もなく発言してしまうことへの怒りが、形を変えて出ているものなんだとも感じます。犠牲と言う言葉の直接的な対象は日本社会ではないけれど、結果的に自分たちの領域だけは死守するという独善的な姿勢自体はより浮き彫りになったという。 僕は個人的に必ずしも中止にすべきとは思わないし、十分な対策と合理的な方針がしっかり示されれば、開催は相応の価値も持ち得るとは考えているのだけれど、聖火リレー然り、市民には集まるなと言っておきながら公園を潰してパブリックビューイング会場を大々的に用意している件然り、とにかく相反する内容を十分な説明も方針の開示もなく、ただ黙って強引に、ブルドーザーのように推し進める姿勢は受け入れられないと強く感じます。ファクトや目的、効果の共有と納得共有への努力がとにかく根本的に足りていない。 いずれにしても、IOCやJOC、政府や東京都の姿勢に賛同するかは別として、言葉尻ベースの曲解はよくない。冷静なファクトベースの議論を(双方に)。
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国立代々木競技場、「最年少」の重文に 丹下健三代表作
朝日新聞デジタル
豊田 啓介建築家、noizパートナー、gluonパートナー、東京大学生産技術研究所客員教授
ようやくいわゆる現代建築のカテゴリが殿堂入りですね。どう考えても近々当確だったとは言え、まだ現役で使われている名建築が歴史の一部としてもお墨付きを得るのは、なかなか感慨深い。 既に多く解説されているように、丹下健三の代々木第一競技場は、主となる懸垂構造(つり橋のような部分)と、さらにそこから直行方向に二次懸垂面(葉っぱのような屋根面)を吊り下げ、それらを固定する客席のコンクリート構造をそれらのカウンターウェイトとなるように外側に傾くアーチ的な配置として力学的にバランスさせるという相当にアクロバティックな構造をとっていて(吊り構造を組み合わせるとか力学的にも構法的にもかなりハードル高い)、2021年の今建設するとしても相当チャレンジングな建築。 技術面だけでなく、動きや力(スポーツの根源的な要素として)、日本の伝統的建築美までをも見事に融合・体現するという、いろんな要素が高密度に詰まった結晶のような建築物。そんな複雑な構造体が、コンピューターもなしに巨大模型と手計算、ほとばしる時代のエネルギーとの融合で実現されたとかもうガイアも100回くらい夜を明かせそうな、まさに日本の高度成長期そのもののようなプロジェクトだと言える。 同時に、高度成長期の日本はある意味「勢いにまかせて」その時代「だけ」を体現しすぎたために、21世紀の現在の社会にも、新しい法律やテクノロジーにも適合しない、とはいえ大規模改修やメンテナンスを継続することも難しい建築物を、日本中に大量に生み出してしまったことも現実で、現在それらの維持や保存が全国で急速に地域経済の負担になりつつある。 あらゆる建築物をその象徴的意義だけで保存することは難しいとはいえ、現代のビジネスとテクノロジーの文脈なら、それぞれの建築物に固有の文化的価値、地域社会に共有された記憶や物語、形や素材として建築物に刻み込まれた時代の意志のようなものをこれまでとは違う形で編集・共有し、新しく価値化する可能性も広がっているはず。 少しでもそうした時代の遺産としての建築物が、狭小な市場価値や維持コスト、個別の所有者の短期回収効率といった枠組みを超えて、新しい価値を持続的に生み出し得る代え難いコンテンツとしてより有効に活用できるしくみ、法整備を早急に整えていきたい。それは新しい可能性でもあり、時代の義務でもある。
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仮想空間バーチャル原宿、5月25日オープン アバターで買い物も
Engadget JP
豊田 啓介建築家、noizパートナー、gluonパートナー、東京大学生産技術研究所客員教授
クラスター攻めてますね! バーチャル空間を大人数が共有してのイベントのニーズは今後ますます高まっていくだろうし、より一般化すればイベントではなく日常の交流や活動の舞台にも自然に移行していくはず。まだまだ準備や環境、ユーザーリテラシーのハードルが高いとは言え、こういう形でいろんなプレイヤーがノウハウを蓄積していく流れは重要だし必然。 僕らなんかも、例えば渋谷CASTの設計データと合わせて、精密な点群スキャンデータなんかも取得してたりするので、むしろユーザ側がそういうデータをどんどんアップロードして、環境が自律的にアップデートされていくような仕組みまで作れるととてもいい。というか近未来の社会は間違いなくそうなっていくはず。 渋谷はそういう意味でいろいろ典型的な環境が凝縮されているから、実験台としてちょうどいい。まだマネタイズの方法が明確に見えないから各企業あまりつっこめていないけど、行政や通信事業者などが中心になって、どんどん業態の枠を超えた実証実験やノウハウ構築進めていってほしい。願わくば、クラスターにも頑張ってもらいつつ、他の多様なゲームエンジンでも、かつtoCだけでなくtoB目的でも汎用に使えるオープン3Dデータが整備される環境、早く作りたい(それがコモングラウンド)。
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ハイブリッド勤務に完全対応。グーグル「オフィス改革」の全貌
NewsPicks編集部
豊田 啓介建築家、noizパートナー、gluonパートナー、東京大学生産技術研究所客員教授
こういう積極的な分析やシステムの落とし込み、その実装でGoogleが圧倒的に先行しているとはいえ、これはどの企業、どの不動産会社にも当てはまる、まさに今起きている社会の変化。職、住、学、楽(エンタメ)といった領域が時間や場所で白黒で明確な線引きができないことが当たり前になっていく社会における、生産性と管理、価値創出と契約の在り方を、かなり根本的に作り替えざるを得ないということ。それはハードだけでも成り立たないし、ソフトだけでも実装は不可能で、それらの混ぜ方すら動的で個人依存にならざるを得ない流れの中、固定的なルールでは対応できなくなっているのは明らか。 ポイントになるのは時間スケールと空間スケール、場所と所属のシームレス化およびグラデーション化の急速な進行で、これまで8時間といった単位で固定することが可能だった就労時間がどんどん離散的でかつグラデーショナルになり、ある瞬間の人の所属も、いる場所に所属や貢献の形が1:1で固定されないようになり、ある瞬間に離散的に複数の行為や所属を前提とするのが当たり前になる。 記事中のGoogleの試みも意欲的で興味深いとはいえ、建築や物理的なプロダクトで対応できる場所や時間のスケールにはおのずから限界があり、従来型のデザインという道具立てだけではとても対応できない変化が起きつつある。デザイナーの端くれとしては難しさを痛感するところではあるが、同時にデザインという価値創造の対象が、ソフトや契約などのルールのような領域にも不可分に染み出していく傾向は、新たな可能性を感じる部分でもある。 従来型の「オフィスのデザイン」をハードラインとプロダクトだけで解決しようとするスタンスはもはや限界を迎えていて、多様な時間スケール、空間のスケール、場所性や所属をいかにシームレスに混ぜられる環境をデザインするか、個々のニーズや状況に応じた編集性を価値として積極的に取り込みにいけるか、デザインする側だけでなく、発注する側、使う側の根本的な理解のシフトが求められていく。
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スシロー運営会社の業績が絶好調 コロナ禍でも積極出店で過去最高の売り上げ
ITmedia ビジネスオンライン
豊田 啓介建築家、noizパートナー、gluonパートナー、東京大学生産技術研究所客員教授
どんな食事にも言えることだし、価格と量の競争に巻き込まれればどんな業態でも同じ問題が待ち受けているので回転寿司業態だけに言えることではないかもしれない。とはいえ、やはり海洋資源の急速な枯渇と乱獲の問題がこれだけ明確になっている中で、こうした寿司の大衆化とチェーン化はどれだけのインパクトを持ち、そこに対する対策をどの程度具体的に行っているのかは気になるところ。 ウナギも同じ話だけれど、すべての食事が等しく民主化されて、あらゆる人が食べられるようになるべきだとは必ずしも思わないし、そこにいろいろな文化や経済、技術的な違いがあるから食は奥が深いし楽しいのだとも思う。海洋資源の枯渇に貢献しかねないことを前提とした業態であるなら、それを如何に回避する方法があるのか、そのために具体的にどう企業努力と社会貢献を「有意な形で」行っているのか(見せかけのアピールプレーではなく)、そこを誰にでも見える形でしっかり示してほしいと思う。 僕は上記の理由から、個人的に回転寿司という業態はサポートするべきではないと考えてもう10年以上行っていないし、チェーン店でのウナギ料理の類もどんなにおいしそうと思っても食べることはしない。そういう産業に従事している人がいることも前提としたうえで、企業にはただだまって搾取ではなく、業界全体を、社会のサイクルをどう持続可能なものにしていくかを、その産業の顔として目に見える企業が明確に示し、かつ行動に示すことが不可欠な責任になってきているし、それができない企業は淘汰されていくべきだと思う。 一つ一つの消費行動は単独でのインパクトは小さいかもしれないけれど、個々に信念を表明し続けることは大切だし、そうした行為の蓄積が社会的な投票として時として大きな力になる。そういう権利を常に行使するという感覚は日常的に持っていたい。 それでも近視眼的なコスパと広告ベースで、マクロな社会は動いてしまうのだけれど。
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デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツが修復を手掛けた、ドイツ・ベルリンのミース設計の「新国立美術館」。新設部の明示された図面や修復中の写真など豊富な資料で紹介
architecturephoto.net
豊田 啓介建築家、noizパートナー、gluonパートナー、東京大学生産技術研究所客員教授
ミースのミニマリズムの極地とも言えるナショナルギャラリー。当時とは環境性能や法的与件などかなり違っている中、国家のプライドを賭けた改修プロジェクトをしっかりやり切っていて心地いい。一つ一つの部材がおそらくオリジナル以上にシャープで綺麗になって、最新の断熱性能を与えられたであろうガラスのクリスプネスと合わせて、これは一度現地で見てみたいプロジェクト。 20世紀後半のいわゆるモダニズムの傑作建築がメンテナンスの臨界点を越え始め、これ以上金をかけ始めるならいっそ解体建て替えをとなる事例が世界中で激増している中、しっかりと時間とお金をかけてオリジナル以上の質に戻して次の50年を生かそうとする、社会として、国としての心意気が如実に現れている。拍手。 今回改修を担ったのがイギリス人のチッパーフィールドという点も今どきで、チッパーフィールドは確かにベルリンにも事務所を持ちドイツでの実績も多いとはいえ、ザハの新国立を官民一体で潰しにかかって結局自分たちの進歩を止めているどこかの国とは、社会の許容度に隔世の感があるなと。文化って、こういう社会全体の理解の蓄積だよね。 チッパーフィールドもミニマルなデザインで知られているとはいえ、どこか無骨さを残すミースに比べてどの仕上げ、どの質感を見てもどこかチッパーフィールドで、同じ形をなぞったリスペクトの中でもこうも違いが出るものかという驚きも。いちいちテクスチャがチッパーフィールド風で、シルキーにサラリと優しい。 今後日本でも同様のモダニズムの名建築の保存問題は多く出てくる中で、デザインだけでなく技術や価値化のスキーム、社会の理解の醸造などこうしたノウハウの共有と分析が日本で十分になされているとは言い難い状況にある。ぜひ日本の建築研究者には、このあたりのビジネススキームをしっかりと研究していただきたいところ(NYのTWAターミナルとかもレストアの細部までのこだわりは本当に凄かったし)。 newspicksでは珍しい建築ニュース、かつ大好きなarchifuturephotoからの引用ということで、ついつい嬉しくてコメントしてしまいました。もっとこういうニュース続いてほしい。
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