【緊急解説】いま「超円安」が止まらない理由
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為替や価値・価格は常に相対的なもの。だから均衡は常に変わるし、構造要因と短期要因がある。
構造要因は、長期で見たとき、かつそれぞれのピーク・ボトムではなく中央線で見たい。
製造業の国内生産の減少、そしてデジタルおよび医薬品での貿易赤字拡大は、現代社会で必要とされている財・サービスについて、内外での競争力の低下を示唆していると思う。そして、構造的な為替需給の変化の要因でもある。
短期要因は金利の変動を中心とした、金融政策。
インフレ(そしてFRBは雇用)に対応するためで、どの国も状況に応じて変える。変えるたびに均衡は変動する。長期のインフレや中立金利は構造要因だが、足元は金利の変動やその期待値(FRBが利下げするのか現在の高金利を維持するのか、植田日銀がどこまで・どういったペースで緩和的な政策を止めていくのか)で動く。
両方の要因で安くなっているのが今。
そのなかで今の水準で止まる可能性もあれば、震災後の2011年後半に70円台後半が定着していたような「逆の行き過ぎ」もあったので、160円よりも安くなるような可能性もある(その当時、「国力があるから円高になっている」なんて当然ながら誰も言っていないし、ファンダメンタルズもそうではなかった)。冒頭に書いたように均衡は常に変わる。
そのなかで、為替含めて安いという観点で①海外企業による日本の買収・投資、②日本への投資資金の増加がどれだけ起こるか、の2点に注目している。
①は、為替含めて安いのだから、海外企業からすれば買収のチャンス。日本の資本市場も変わりつつあるので、以前であれば海外企業が買収するという意向だけでアレルギー反応があったと思うが、今であれば議論が進むのではないかと思う。内需企業は、少子高齢化はあるものの円高になればそれもドルベースではリターンになる。外需企業は人件費含めて安い国内生産能力をグローバル企業が手に入れるといった観点がある。
なお、円高期の最後にソフトバンクがSprintを為替ヘッジ込みで買収したのは本当にすごかったと思うし、それの逆の状態。
②は、日本企業が変わりつつあるという海外報道や、コスパ高いという実体験が日本訪問で為替と組み合わせてあるという印象。新NISAでオルカンが話題になったが、逆の海外の日本買いが起これば、それは円買い=円高要因。
注目のコメント
ーーアメリカや日本など、国ごとに決まっている金利(政策金利)は、その国の経済力の力強さを表すということ。例えばアメリカはコロナ後、好景気が続いています。GAFAなどの企業は成長を続け、消費や投資も旺盛です。そのため、金利は5.5%ですーー
ここはミスリーディングでしょう。ではアルゼンチンはどうか、ブラジルは、スペインは。GAFAはコロナ中も前も、不景気でも関係なく強かった。そもそもアメリカも2008リーマン以降コロナ前の数年を除きずっと実質的ゼロ金利政策を採ってきた。その間アメリカの経済力が弱かったか。
金利も物価も為替も、高過ぎても低過ぎても、何より急過ぎるのが良くない、という類の指標です。中身について取材協力させて頂いております。どこよりもしっかりまとまってると感じました。
普段考えていることはコラム多数出させて頂いておりますのでそちらを読んで頂ければと思いますが、今は暦年で予想レンジを区切って円高派、円安派と言った二項対立に勤しんでいる状況ではないという意識を喚起したいと思っています(取材時にもそう申し上げています)。
金利差だけの円安では無い、というコラムを書き始めたのが22年3月でした。その際は殆ど耳を貸して貰えませんでしたが今は財務省に有識者会合ができるまでに至りました。世の問題意識は確実に変わっていると思います。
その問題意識は神田財務官懇で当方から提示させて頂きました(資料も公開されています)。その問題意識にどれほど有力な処方箋(利上げや介入と言った話ではありません)を示していけるか、が当面の私の問題意識です。