もはや「値上げ=タブー」ではない? 正常化しつつある日本の景気のためにできること
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この内容は、先月開催された自民党の財政政策検討本部でご説明させていただいたものの一部です。
なお、バーナンキ元FRB議長も日本はインフレ率を高めることで財政の持続可能性を高めることができると2017年に日銀が開催したシンポジウムで主張しています。インフレで起こると、債務者が得をする反面、債権者は損をします。債務者の典型例が約1200兆円の債務を抱える政府です。逆に預金者(銀行への債権者)、国債保有者は損をしています。これがインフレ税と呼ばれるものです。経済学者ケインズは「金利生活者の安楽死」と呼んで、ある程度のインフレで金利生活する人に実質的な負担させないと、経済は好循環に入らないと説きました。とはいえ今、高齢者層には昔の景気が悪いデフレの時代に昔に戻してほしいという人が増えています。年金の増加率はインフレ率より原則として0.9%低い、預金もインフレで目減りするからです。こういう層にも配慮しつつ、物価と賃金の好循環を実現しなければなりません。
賃上げ・値上げが定着しつつあることは、前向きに捉えられます。資源高・円安を要因とするインフレは、日本が生んだ付加価値が海外へ流出することになるため望ましくありませんが、賃上げを起点とするサービス価格の上昇は、経済の活性化が期待できるでしょう。コストプッシュインフレの鎮静化とともに、実質賃金がプラス転換し、個人消費が上向くことが美しいストーリーです。
財政のくだりもありました。日本の成長に資するため、政府も投資を通じて下支えすることに異論はありません。一方、非効率な支出は控える方が良いと思います。現在、公的支出(一般歳出+社会保険)の多くを、社会保障が占めています。不断の社会保障改革は必要でしょう。