イラン報復攻撃、原油高の懸念 輸送混乱、インフレ再燃も
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原油価格にどのような影響が出るか、というポイントは、
サウディアラビアやUAEなどアラブ湾岸諸国とイランの
・原油生産
・原油流通
がどうなるか、ということにかかっています。
これらの国は、世界に流通する原油の3分の1を生産しています。
なお、カタールの天然ガスなども影響を受けることが考えられるので、他にもいくつかのポイントが考えられます。
サウディアラビアやUAEなどアラブ湾岸諸国については、
①原油生産施設がイランと傘下の勢力(特にイエメンのフーシー派)の攻撃目標となるか、が1つのポイントです
②原油流通については、イランがホルムズ海峡の封鎖、つまり、タンカーの拿捕、もしくは攻撃を行うかどうか、です
イラン勢がサウディアラビアやUAEを攻撃目標にするか、は、今後戦況次第です。
サウディアラビアやUAEは巻き込まれたくないのですが、かといってイランの味方をするわけにもいきません。
イランは、米軍やイスラエル空軍が領空を通過するのを拒否しない国は攻撃対象とする、と宣言していますが、サウディアラビアもUAEもそんな宣言は受け入れられません。
ホルムズ海峡の封鎖については、イラン革命防衛隊は、イスラエルにミサイルやドローンを発射する前に、ホルムズ海峡でイスラエル資本の貨物船を1隻拿捕しました。
これを今後も続けるのか、続けるとして、対象はイスラエル資本が入っている船だけなのか、というのが問題ですが、イスラエル資本に絞ったとしても、米軍が介入してくるでしょう。そうなれば、米国資本の船も対象になっていきます。
イラン革命防衛隊にすれば、現在は、イスラエルとサウディアラビア、UAEなどを壊滅する、できれば滅ぼす好機と映っているでしょう。
米国の軍事力という要素を加味すれば、そんな好機は無いのですが、そんな現実を直視してしまうと、イラン革命による「イスラームの統治」の復活という長年の悲願を達成できる可能性が無いことになってしまいます。
イラン革命第1世代はもう70歳を超える高齢ですから、今回を逃せば悲願実現のチャンスはないと考えるでしょう。
短期では無理にしても、何年も泥沼の戦争を各地で繰り広げればあるいは、といったところでしょう。
革命防衛隊は、悲願に向けて、ある程度までは戦いを進めるでしょうが、そこから先は戦況次第です。原油価格の上昇が最終製品やサービスにまで転嫁されれば、家計にとっても消費者物価の上昇を通じて実質購買力の低下をもたらすでしょう。
今後の原油先物価格が平均80ドル/バレル程度に落ち着くと仮定すれば、今年から来年にかけての家計負担額は年+0.3万円程度にとどまります。
しかし今後の原油価格が平均90もしくは100ドル程度で推移すれば、今年から来年にかけての家計負担をそれぞれ年+1.1万円、+2.0万円も増加させる計算になります。
足元の原油高が持続すれば、家計に無視できない悪影響を及ぼすでしょう。日経平均が史上最高値をつけた時、日本のバブル崩壊の一因がイラクによるクエート侵攻であったことを思い出し、中東で政治的対立がないことを願いましたが、またこれか、という印象。ドローンで細菌兵器を飛ばし合うようなことに至らないでほしい。早く全体で停戦をしてほしいです。