分散型AIスーパーコンピューター実現のために “光” あれ──スタートアップ「Lightmatter」の挑戦
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CPUやGPUに代表される半導体製品では長らく電子が情報の担い手になっていました。
電子の通り道を「配線」と呼びますが、多くの電子デバイスでは金、銀、銅、ニッケルと言った金属材料が配線として使われています。
金属中を自由に動ける電子(自由電子と呼びます)が移動することで情報通信が行われるわけです。
その際、原子核による引力や各種不純物との衝突などで思うように進めなかったり、そもそも電子の移動速度に限界が存在するため通信が減衰したり、遅延したりするわけです。
一方、皆さんがご家庭で使っているインターネット回線でお馴染みの光通信は、通信配線に用いる光ファイバーの純度が金属に比べると格段に高いこと、そもそも光の速度が電子の速度に比べて速いことが特徴です。
この結果、電子通信に比べて低遅延、低減衰なデバイス構想が可能になるというわけです。
今回の構想のように情報の担い手の一部を光に置き換える活動はすでにNTTがIOWN構想として世に発表しており、いんてるやソニーと手を組んで新たな世界を切り拓こうとしています。
電子と光の融合を光電融合と呼び、その実現に向けた部品、素材開発も精力的に進められています。
NTTが提唱するロードマップにおいて、最初のステップは光をもちいた低遅延なサービスを提供することです。
これはすでに商用サービスが始まっております。
今は次のステップである部品間の光通信の実現に向けて動いております。
その後は半導体チップ間、半導体チップ内とフェーズが進み、最終的には全ての通信を光で実現しよう、というのがゴールになります。
上記構想の実現には高性能な半導体が必要になりますので、自ずとRapidusが実現を目指している2nm以下のプロセスノードでの半導体に期待がかかります。
チップ内の光通信化には電子デバイス、光学デバイスの集積が欠かせません。
この実現にはチップレット、ヘテロジニアスインテグレーションといった言葉で表される異種チップ接合技術が重要となります。
色々な技術の融合、進化が次の世代を創るというのは非常に興味深いことだと思います。
【参考】
NTT IWONウェブサイト
https://www.rd.ntt/iown/
ロードマップ
https://journal.ntt.co.jp/article/20596