年金の支給額は実質的に目減り 新年度の社会保障 制度変更は
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年金制度を持続させるための知恵としてマクロ経済スライドが導入されている。破綻するよりは目減りしても制度が持続される方がマシ。終身年金はたとえ目減りしても長生きしたら最もパフォーマンスの良い金融商品。
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2004年の年金改正で”100年安心”を実現するためにマクロ経済スライドという仕組みが導入され、原則的にインフレにスライド(その後賃金スライドも導入)する年金額を毎年抑制することにしていますから、インフレ下で「年金の支給額が実質的に目減り」するのは当然です。マクロ経済スライドの導入に当たって、年金支給額が減ることは避けることにしましたので、デフレの間はこれが発動されず、今の高齢者は当初の想定より多めの年金を受け取る形になっているのです。
問題なのは、制度設計通り年金が実質的に減ることでなく、支給額が当初の想定より高止まりして寿命も延びて、将来に亘って現役世代の5割を下回らないようにするという最低限の条件が維持できるかどうか怪しい事態になっていることです。年金財政は5年ごとに見直され、2019年の財政検証では実現不可能と思われるような成長の前提を置いてなんとか形を整えました。今年の検証でも外国人労働者や非正規社員の多くを入れて支え手を増やすといった形でおそらく同じことがされるでしょう。しかし、本当にそれが可能かどうか・・・ 制度に従って実質的に年金額が減ることに今さら驚いても始まりません。年金財政の今後の姿がどうなるかの方が問題です。公的年金給付の「実質的に目減り」を強調するのは、年金制度の本質を踏まえていない表現。むしろ、昨年度と比べそれでも2.7%増えていて、これは政府の経済見通しで示された消費者物価上昇率の2.5%を上回っている点を強調すべきだろう。公的年金の物価スライドは、当年の物価上昇率でなく前年の物価上昇率を反映することとなっている。昨年度は2022年の物価上昇率より2023年の物価上昇率が上回ったから、年金生活者には酷だったが、2024年の公的年金給付には2023年の物価上昇率が反映されていて、高い給付増加率になっている(昨年のような年金生活者の消費減退は防げる)。この点こそが重要だろう。