金融政策は為替対象とせず、経済・物価への影響「十分注視」=日銀総裁
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衆院財務金融委員会での植田総裁の答弁は、自民党の小田原議員から円安対応における政府と日銀の連携に関する質問を受けたものです。
為替政策と金融政策をめぐる政府と日銀の役割分担は、1998年に施行された日銀法の抜本改正によって明確化されました。総裁が、金融政策は為替を直接コントロールの対象としないとコメントされたのは「直接」のところにポイントがあるのでしょう。「間接」の影響は、否定されていません。続く答弁では総裁も、為替が経済や物価に影響を与えることは認めておられます。
ETFの処分や含み益についての総裁答弁は、立憲民主党の階議員や末松議員、維新の会の伊藤議員からの質問を受けてのものです。配当金など実現益は剰余金として国庫納付され、もう一方の含み益もいずれは国庫納付されて国民に還元されることになります。質問された議員の方々は、国家財政難のなか、30兆円に迫りそうなETFの含み益を一日でも早く国民に還元してもらえないか、と強く期待しておられるようです。庶民は一生懸命働いてモノとサービスを生み出して、その価値と引き換えにお金を手に入れて使います。国民が使う円にはモノとサービスの裏付けがあるのです。
日銀が財政ファイナンスまがいの国債購入で使うお金にはモノとサービスの裏付けがありません。そういうお金を大量に世の中に流せばモノとサービスの量と比べてお金の量が増えすぎて、増えたお金、すなわち円の価値が下がるのは当然です。
どのみちお金を持つなら金利が高い方がお金の価値が高まります。金利がつかない円の価値が低くとどまるのも当然です。
異次元緩和と称される政策が円安誘導と見做されば為替操作を禁じる米国等から非難を浴びますから、日銀は口が裂けても円安政策を取った、すなわち金融緩和が為替を対象にしているとは言えません。しかし、今の極端な円安の背景に、日銀と政府が組んで進めた円の毀損策があるのは明らかです。
通貨の価値を守る役割を担うのが中央銀行なのに、円の毀損策を積極的に進めた日銀は、稀有な存在と言って良いでしょう。為替介入は財務省の役割ですが、日銀が円を積極的に毀損し続ける限り、介入の効果は限られます。後始末を担う植田総裁の奮闘が続きそう (・_・;日本のインフレの第1の力、輸入インフレは為替レートの影響を直接受けています。従って、表面上はこう発言するほかありませんが、152円を抜けると数円は走る危険性もあり、間接的な操作対象として為替も意識する必要があります。もっとも、為替は相対比較が重要であり、ドル高圧力が高まると自ずとドル円の一段高(円の下落)につながります。