三菱重工業のMSJ撤退受け 航空機産業の国の新戦略案まとまる
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三菱重工がスペースジェットに頓挫した最大の要因は、ご存知の通り米国型式証明を取得することに難航したからです。
三菱重工の体制に問題があった、ということも否定はできませんが、もっと根本的なところで、日本が国際標準(型式証明はその一例ですが)というものに対する向き合い方を変える必要があると感じます。
WTOは、国際標準の絶対的優位性を定めています。「技術的に優れているが国際標準化されていない製品」と「技術的に劣るが国際標準化されている製品」が衝突した時、応札国は必ず国際標準化された方を選択する義務があります(GP協定)。飛行機に限らず、国際標準は非常に重要なものです。
問題は、国際標準の規定のされ方と運用のされ方です。国際標準はオープンな場でじっくり議論されながら制定されるものではなく、一部の関係企業が勝手に集まり、知らず知らずのうちに制定されるのです。
当たり前ですが、ルールは作った側が有利であり、後から追従する側は不利です。どう不利かというと、審査を通過するための具体的なプロセスはルールを作った側にしか分からないのです。例えば、型式証明取得要件の一つにヒューマンファクタ規格(14 CFR 25.1302)というものがありますが、要求事項として書かれている内容はたったのこれだけです↓
https://www.ecfr.gov/current/title-14/chapter-I/subchapter-C/part-25/subpart-F/subject-group-ECFR9f24bf451b0d2b1/section-25.1302
具体的にどういうことをすればいいのか、は分かりません。結局、三菱重工はこの14 CFR 25.1302をクリアできずに、スペースジェットは頓挫しました。
繰り返しになりますが、国際標準は作った側が絶対的に有利になります。欧米の企業は、自社が有利になるよう積極的にルールメイキングをしています。この状況を黙って見ているだけでは、日本の製造業に未来はありません。門外漢なので外から見ての感想に過ぎないが、ここでも挙げられている「安全性の認証プロセス」は相当難易度高そうで、実質的な参入障壁として機能してしまっているように見える。
開発費の規模が1~2桁多いボーイングやエアバスでさえ新型開発でなくマイナーチェンジを繰り返していて、その無理がたたってか737MAXでCEOのクビまで飛んでいるので。
国の戦略が決まっても、実行できる技術力・政治力・資金力を持った主体がいるのか不安。中国の旅客機C919は実態として開発に成功しました。月面着陸も同じで、中国は月の軌道に衛星を浮かせてここ経由で電波を送り月の裏側の探索まで成功させています。中国の半導体は7ナノまで開発に成功しています。彼我の差を客観的に見つめ直す良い機会にすべきですね。