シャープ、液晶事業縮小へ 不振の堺工場、生産停止を視野
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「液晶の次は液晶」と巨額投資をした堺工場です。
「畳プロジェクト」の責任者が次期社長となり、自信満々で推し進めた「クリスタルバレー」と称された堺工場でしたが、もうその頃は中国のBOEが力をつけ始めていて、マザーガラスも堺工場より大型化に成功し、それどころか製造ラインの本数も、世界の需要を賄えるほどではないかと思えるほどでした。
PDPと液晶が薄型TVでどちらが勝つかという争いが、40インチで綱引きしていた過去は、液晶が1インチ1万円を下回れば勝ちというような話で盛り上がっていました。
そういう時代に液晶で「世界の亀山モデル」と売れた訳ですから、「液晶の次は液晶」という錯覚もしてしまったのでしょう。
シャープは液晶の生産ラインをソニーの要求を満たすほどに割り当てず、自社向けでフル生産していました。さすがにソニーも、平面CRTのTV、ブランドは「トリニトロン」に執着した苦い経験から、シャープから液晶パネルを手に入れたかったので、韓国から調達するように舵を切りました。そして巨額投資した大型ラインが空き始めてしまったのです。
当時巨額投資を礼賛する提灯記事が目につきましたが、もうその時にはBOEが研究開発投資を大胆に行っていて、大型マザーガラスの量産ラインを構築し始めていたのです。
2009年にマザーガラス10世代の生産を世界で初めて開始したシャープでしたが、2015年にBOEに技術供与をしました。そして2019年にBOEは世界一の液晶パネルメーカーとなったのです。
驕れる者久しからず。
まさに日本の凋落の根源にある精神ではないでしょうか。
注目のコメント
「韓国勢が有機ELテレビの量産化に成功し市場を奪われた。」と記載がありますが、どちらかというと中国で大規模投資が続々と行われてコスト競争が激しくなったの方が正しい気がします。
半導体はテクノロジの進化が続いているので技術的な差異化もしやすいですが、液晶パネルは継続的に微細化が進むものでもなく、一気にコスト勝負になった(ガラス基板を大型化してコストを下げる/単価の高い大型パネル比率を上げる)のかなあと思ってます。液晶をハイテクと思い込んでいたことがシャープの最大の問題でした。液晶はすでにローテク製品です。10年以上も前からです。同じ画素をひたすら並べる製造だからです。半導体とは全く違います。
他の方もコメントしておられますが、液晶にせよ太陽電池にせよ、ターンキー化による設備産業に陥った時点で潮目が大きく変わったのを見抜けなかったのが凋落の大きな要因だと思っています。
個人的には液晶技術をはじめ、シャープが培ってきた数々の技術を転用した目の付け所がシャープな製品開発に活きてくれば良いと思っています。
23年に開催されたSID Display Week 2023では15件の論文を発表していますし、まだ死んではいないと期待したいところです。
【参考】
シャープが斬新においセンサー、プラズマクラスター×ブラウン管技術
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02497/080700009/
ディスプレイの構造をヒントに?「AI Olfactory Sensor(AIにおいセンサ)」開発②
https://blog.sharp.co.jp/2024/02/06/43369/