日銀が17年ぶり利上げ決定、世界最後のマイナス金利に幕-YCC廃止
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正確には「利上げ」ではなく、イールドカーブコントロールの廃止と誘導目標の新規設定です。
日銀当座預金の政策金利残高へのマイナス金利の適用は、イールドカーブコントロールの一環として、より長期の市場金利の低下を働きかけるために実施されていました。
このマイナス金利政策は、無担保コールレート(オーバーナイト物)がマイナス圏となる余地を生じさせるものではありますが、それ自体を誘導目標としたものではありません。
今回の金融政策決定会合では、金融市場調節方針として、イールドカーブコントロールの廃止とともに無担保コールレート(オーバーナイト物)を新たな誘導目標として設定し、それに伴ってイールドカーブコントロールの一環として行われていたマイナス金利政策が廃止されたものです。
結果として無担保コールレート(翌日物)が上向くことには変わりないですが、「利上げ」ではなく、金融市場調節方針の根本的な部分の変更であることを認識することで、より理解が深まるでしょう。
注目のコメント
ザックリ変更点は5つのようです。見事な政策運営ですね。
・YCC撤廃
当座預金(政策金利残高)の付利-0.1%→無担保コール翌日物0~0.1%
10年物国債金利を上限1.0%へ誘導→撤廃
・3層構造
基礎残高(プラス)・マクロ加算残高(ゼロ)・政策金利残高(マイナス)→階層をなくして3/21から超過準備に+0.1%
・質的金融緩和
購入する対象を大きく広げて中銀がETFとJ-REITまで購入してしまう→新規購入終了、CP・社債は徐々に減らす
・フォワードガイダンス
終了
・2%のやつ
コアCPI前年比2%超えまでコミットメント→長期国債を買い入れ
質的緩和で大量に保有しているETFとJ-REITですが、このままずっと中銀のBSにあっても政策に変な影響を与えないのか気になります。
あとは金利が戻った世界で短資会社さんなどに人は残っているのでしょうか?
銀行の市場営業部でインターンをしていた2006年(ちょうどゼロ金利解除の日もいました)はまだ活気がありましたが当時の知人(40~50代)は全員別の職場で活躍されています。金融機関の関係者からすると、ようやくとの思いが強いですね。
さて、事業者のみなさまが気になるのは、今後借入金の金利はどうなるのかということだと思います。
メガバンクをはじめ、多くの金融機関は、マイナス金利が導入された際に、貸出金で基準となっている短期プライムレートを引き下げませんでした。
したがって、今回の利上げに伴って、短期プライムレートを引き上げる可能性は低く、既存の変動金利借入がすぐに利上げされる可能性も低いのではないでしょうか。
しかしながら、次の利上げの際には、短期プライムレートの引き上げは議論されると思われます。市場関係者からは年内に一段の利上げがある可能性も指摘されており、これから半年かけて心積もりが必要です。