【3分解説】中国全人代が「小粒」に終わったワケ
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全人代は、中国の立法府で日本の国会にあたるわけですが、全人代で重要なことが決まるわけではない、というのはずっと前からのことです。
基本的には、中国共産党中央政治局常務委員会、その中でも7人の政治局常務委員が重要なことは決める、というのもずっと前からのことです。
共産党の長老たちが現役世代に意見する北戴河会議が重要とされていた時期もありますが、革命世代はもう死に絶えたので、これはもう重要ではありません。
現在は、習近平国家主席の周辺(7人の政治局常務委員からしてそうですが)で重要な方針が決まる、と見た方がいいでしょう。
ただ、習近平国家主席は、毛沢東などと同じで経済のことがわからない人で、イデオロギー的な理想らしきものはあるのですが、立法とか行政の実務はあまりできない人です。
全人代も、三権分立の一角である以上、行政府(首相以下の国務院)からの報告を受けて必要な立法を行う、という建て前はあります。昔からただの建前ではありますが。
中華人民共和国ではもとから三権分立が形骸的なのですが(これは立法や行政のことがわからなかった毛沢東にもかなり責任があります)、いよいよ有名無実化してきました。
三権分立は決して無駄な手間ではなく、うまく機能すれば、よりよい立法や行政が可能で、国民の生活や経済に非常に有益です。
中国は元からこれができませんでしたが、ますます三権分立の実質が無くなります。その結果は、おそらく悲惨なことになります。
当面は膨らみ続ける不良債権をどうするかです。
単なる不動産市場の問題などではなく、
不動産価格が急落したから金融機関は不良債権が増え続ける、そして金融機関は貸し剥がし、貸し渋りに走る、
消費が低迷しデフレスパイラル、
という日本が経験したループに10倍以上の金額の規模で突入しだしたばかりです。
問題の規模に対して、有効な措置はほとんど打てていません。成長率は「大本営発表」すれば良いので、数字上は5%も実現可能です。ただ、そうは言っても8%には戻さないというところに、今後の経済政策についての方針が表れています。
不動産価格はそもそも今まで高すぎました。中国では住まいを賃貸ではなく購入するのが基本で、特に結婚する際には購入が必須です。そのためこれまでの相場は、多くの庶民にとっては「投資家たちのせいで価格が高騰している」「これでは結婚できない」という不満の対象でした。
そのため、「共同富裕」を目指す政府としては、それほど積極的に資金注入を行わないのではないかと思われます。