1年たっても注文ゼロドローン配送、買い物弱者支援目指すも中止へ
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NEXT DELIVERYは、西濃運輸とドローン開発スタートアップのエアロネクスト社の共同事業で、その機体は国産ドローンのリーダーであるACSL社との共同開発によるものです。機体もオペレーションも優れているにもかかわらず、ドローンを用いた個宅配送サービスの実需が不足しているのが、現在の日本市場の実情であると言わんばかりのニュースです。
一方、ドローン配送事業関係者ならば、このような状況をある程度予測できたと思われます。ドローン配送の実需とはうらはらに、デジタル田園都市国家構想交付金を活用して社会実装を過度に急いだのではないかと思います。
デジタル田園都市国家構想交付金の補助率は50%。最新の物流ドローンの購入費用(リース?)を歳出の半額以下に抑え、オペレーションの一部を地域人材に委託することで、高価な機体を自治体の負担なしで導入でき、さらには自治体が直接負担する費用を地域の雇用創出に充てることが可能です。(これはあくまで私の推測です)。このスキームであれば、新しいことに意欲的な首長のいる自治体は、ドローン配送を試みてみたくなるのではないでしょうか?
2022年頃から先述した企業が参加する「新スマート物流推進協議会」を通じて、多くの自治体がデジタル田園都市国家構想交付金を利用してドローン物流を開始しています。
国外、特にアメリカのドローン配送事情を見ると、2022年からスーパーチェーンのウォルマートがドローンによる個宅配送サービスを実現しています。現在では180万世帯がドローンでの配送をオーダーから30分以内で受け取れます。この事例はウォルマートだけでなく、Alphabet傘下のWing社や、時価総額6000億円を超えるドローンスタートアップZipline社の取り組みとなっており、ドローン配送の社会実装に大資本が重要な役割を果たしていることを示唆していると思います。
海外の成熟したサービスを日本に導入する可能性があることは認識しつつも、国内産業の空洞化を避け、国内技術を活用したサービスの立ち上げやシステム構築をすることも重要です。ドローン物流の導入はメディアで注目されがちですが、失敗から学ぶことの重要性、税金使用に伴う責任ある検証が必要であると考えます。海外事例を参考にしつつも、国内産業の発展に資するバランスの取れたアプローチが求められます。