【深層】三菱ケミカル社長解任、「社外役員」が主導した理由
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重要な問題提起と思います。つまり東証のガバナンス改革推進は「日本型マネジメントを変えるため」なのですが「日本型マネジメントが根付いている」のでうまく行かないというジレンマ。
恐縮ながらちょっと取材が浅いと感じました。例えば、アメリカでは通常CEO任命に当たって(結婚のプリナップと同じように)「解任された場合はいくらいくら払う」と契約に入れるのが通常ですが、任期は何年で、いくら払ったかとか。「越智氏の発言とリリースからは、後継者育成や選抜プランがあいまいなまま、社長が退任を決め、指名委員会に託したように見える」の主語も不明だし、外部から招聘する例はいくらでもあります(ぱっと言えばスタバとか全く違う業界から来てます)。アメリカではCEO解任の研究は定性、定量ともに山のようにあるので、もう少し勉強されたら良いかと感じました。日本でもリクシルの例は本になってますよね。この人事の良し悪しについて議論をするつもりはありません。すべては三菱ケミカルの業績がどうなるか、それを受けて株価がどうなるか、にかかっている訳で、新社長がどんな人であれ、どんな努力をするのであれ、それは株主から見ればあまり関係のないことです。
そんなことより、この記事から読者が受け取るべき重要なメッセージは、社外取締役の責任は大きいという事です。社外取締役は非常勤のお飾りポジションだといまだに勘違いしている人も多い(社外取締役に就任しているの中にも少なくない)ですが、やる気になれば社長の首のすげ替えもできるし、必要なら創業者から株を取り上げて新しい株主と入れ換えることもできる。もちろんその結果、業績不振や不祥事が起これば責任もしっかり追及される。善管注意義務のレベルは軽くはないのだということです。上場会社で株価に影響が出るほどの問題が起きれば、中立的な(株主などのステークホルダー寄りの)立場から特別調査委員会の設置を決めたり、その議論を主導したり、決して少なくない予算(しばしば億円単位になる)の配分を決めたり、その妥当性を判断したり、当然その組織が機能して成果を上げる(原因究明と再建策の起案を含む)責任を持ったりするのは社外取締役(独立取締役)です。
こういうと批判も受けるかも知れませんが、単に女性であることや、マイノリティであることを主たる理由に選任された最近の社外取締役は、その属性以前に上記のようなタスクをこなす「腕力」や「胆力」を持っているだろうか、それにもし間違った判断(結果としての任務懈怠)をした場合、それを理由とした「解任を上回る責任追及」に耐え得る財政基盤を持っているだろうか、やや疑問に思う場合があります。ちなみに、一投資家としてその点に疑問を感じる企業には、私は投資しないことにしています。
社外取締役に求められるのは、「多様性」それ自体ではなく、「多様性に基づく正しい判断能力」と「行動力」、それに「責任を取る覚悟と責任負担能力」だという事です。
当然三菱ケミカルの社外役員にもそれは当てはまります。社外役員は、言葉や行動に責任を求められるポジションであって、言いっぱなしが許される評論家とは違う、ということです。ガバナンスが厳しい外資系企業では、こういったことは起きますし、実際私が以前勤めていた外資系企業でも起こりました。
最初は、社員や業界にとっては、衝撃的なニュースだとは思いますが、それでも会社は続いていきます。そして、何もなかったように動いていきます。
何より印象に残っているのは、社外取締役会から社長退任になった元上司が、当時よりもとても穏やかで幸せそうにしている姿を見たことです。
当時は、世界中のワークホリックトップ10に入るのでは?と思うぐらい元上司は仕事大好きで、仕事漬けの日々でしたが、来日するから会おうと久しぶりに会った彼は、仕事だけではなく、人生をエンジョイしている穏やかな姿でした。
一見衝撃的に感じる会社での出来事も、実は何事もなかったように会社は続いていくもの。大切なことは自分の軸がぶれないことだと、つくづく思います