羽田衝突事故「海保機に非搭載だった」と海外メディア報じる装置とは 欧米で義務化 日本は事故後も“沈黙”
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ADS-BはすでにおなじみのFlightRadar24などのサイトで使用しているデータですが、これには二種類の機能があり、ADS-B OUTと呼ばれる機能と、ADS-B INという機能があります。
ADS-B OUTがあると、自機の位置情報やその他便名、高度、速度などの情報を送信することができ、FlightRadar24はこの情報を世界中のアンテナから受信して表示させているものです。
いっぽうでADS-B INは、他の航空機がADS-B OUTで送信したデータを受信して表示する機能のことです。コクピットの計器上に便名や高度、速度などを表示してくれますが、まだメーカーで開発中であり対応した航空機はほとんどないのが現状です。JALのA350にも、おそらく搭載されていなかったのではないでしょうか。
ADS-B OUTが義務化されている国や空域があるのには、航空路レーダー網のカバーが完璧ではないところを補いやすいからです。レーダーは強力な電波を発射して反射波を捉えなければなりませんが、ADS-B OUTでの送信データを拾うだけであればテレビのアンテナのようなものが一つあれば十分だからです。小さな島しかない洋上や、砂漠が広がる大陸などで応用されています。
翻って日本ではすでにレーダーが全国に整備され、覆域範囲外となる場所はほとんどありません。したがって、ADS-B OUTを義務化する理由がありません。
また、衝突防止に使えたという意見についても、そもそもが地上側での機体位置の把握が主目的であり、機体同士の衝突防止の機能はあくまでトランスポンダーを利用したTCASにあることから、ADS-Bがあれば衝突していなかったというのには懐疑的です。「国交省はこれに関して一貫して説明を避けています」って陰謀論っぽい書き方の時点で、個人的には記事に対してワーニングランプが点灯してしまうのですが・・・
「海外メディアは、この点が今回の事故の重要な要因として報道などで取り上げているのに対し」とありますが、探してみてもUSA TODAYの初期の報道以外にはADS-Bの非搭載を事故原因に挙げた報道はちょっと見つからないです。探し方が悪いのかな。
仮に海保機にADS-Bが搭載されていても、その信号の扱いが地上やエアバス機上のシステムと運用も含めて統合されていないと効能は不明だと思います。位置が解れば避けられたはず、という単純な話ではなく、仮にADS-Bが搭載されていればどのシステムがトリガーされてこういうアクションに繋がった、という解説が欲しいところです。
というわけで、個人的にはこの見方に関しては保留、専門家の解説待ちです(物欲しげな視線で、どことなく眺める)。
(追記)
谷村さん、とても解りやすい解説を有難うございました。確かに谷村さんの解説を期待していたのですが、物欲しそうな視線が気になってのコメントであれば大変申し訳ありませんm(_ _)m海保機にADS-Bが未搭載だったという海外ニュースを引いた報道。なるほど、たしかに事故後に「フライトレーダー24」を見たらJAL機のプレイバックは出来たものの海保機は見当たらなかった。
一方、ボランタリーに運営されているFL24ですら航空機がどこにあるかかなり正確にキャッチできるのを考えると、たしかにADS-Bが搭載されていたら防げたのかもと思いますね。このあたりも含めて調査中なのだろうから、本当に事故の原因がこれなのかは分かりませんが…。
