2024年、キャリアのシェア争いは「経済圏」に--d、Ponta、楽天、旧Tポイント等の違いを表で確認
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証券・資産運用ビジネスの観点から「経済圏」論争を捉えると、これまで付加価値とされてきた証券・資産運用関連の金融機能がコモディティ化し、それら従来金融機能提供のみではもはや継続的な事業収益の確保が困難になるなか、他のサービス付加価値との「合わせ技」で独自の付加価値提供と事業収益の両立を模索しようとする動きと解釈できると考えます。
ただ、個人的には証券・資産運用ビジネスの全てがこのように展開していくとは考えていません。経済環境のインフレ化や金利のある世界の再来、新NISA制度の開始に伴う節税のあり方の検討等、従来とは異なるサービス利用環境への移行に伴い、純粋な証券・資産運用関連領域に限定しても新たな付加価値、即ちアドバイス付加価値の提供とそこでの事業収益の確保の両立は十分に可能だと考えています。
とはいえ、このようなアドバイス付加価値の提供はどちらかというとオンライン領域ではなく、オフライン（対面）領域の方が親和性があると思われ、今年以降は対面金融機関はより地域密着の対面接点を活かしたアドバイス付加価値の提供への注力、一方でオンライン金融機関はより「経済圏」を意識した他業態との連携等、サービスの方向も、ビジネスの方向も分化していき、それにともなって事業提携や統合、再編という形で業界の変化が進むことを予想しています。流通しているポイント量だけで見ると、楽天ポイントとdポイントは強いのですが、経済圏という観点で見るとPayPayに完敗なのが現状です。経済圏の本質はユーザーを離脱させづらくすることではなく、銀行に代わる流通価値のある通貨(≒ポイント)発行権を得ることだと思っています。この流通価値をいかに高められるのかが6年前からの勝負だったわけですが、アクティブユーザーの数、生活への浸透度合、アプリ自体のUXトータルでPayPayが独走しきっているデータが既に出ており、巻き返すには相当な覚悟が必要だと思います。当時から各キャリアが気づいていたかはわかないですが、少なくともPayPayは財布を取りに行く重要性を理解していたからこそ先行投資をして市場におけるリーダーのポジションを築けたのだと思います。
