冤罪で失われた命 裁判で違法とされた公安部と検察による捜査の実態(大川原化工機事件)
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この事件は、違法捜査の側面がクローズアップされていますが、それと同じくらい深刻な影響は、安全保障貿易管理や経済安全保障に対する国民の信頼が損なわれてしまうことです。
外為法第1条は同法の目的として「対外取引に対し必要最小限の管理又は調整を行うことにより、対外取引の正常な発展並びに我が国又は国際社会の平和及び安全の維持を期し」と謳っており、本事件はその目的から大きく外れるものでした。また、オーストラリアグループのコントロールハンドブックの説明を正しく踏まえず、輸出令や貨物等省令の定めを恣意的に解釈したロジックの問題点は、筆者の御指摘のとおりです。
安全保障貿易管理や経済安全保障への国民の貢献は、自国と世界の平和と安定のためという目的が理解され共有されてこそ成り立つものです。さもなければ、協力者が減るだけでなく、悪意ある輸出者が、輸出管理の弱い国を迂回するような貿易や技術の移転に手を染めるインセンティブを与え、正直者が馬鹿を見ることになる恐れがあります。その結果、日本が世界的な安全保障のループホールになる危険性も否定できません。
元自衛官であるビジネスリスクコンサルタントとして、安全保障貿易管理や経済安全保障には関心があり、今後もこれらの分野で経済活動を支えたいという意志はありますが、その前提として、国には国民の信頼を得るための努力を惜しんでもらいたくないと思います。
注目のコメント
公安部が省令を独自に解釈し、専門家意見を都合よく報告書化
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経産省と検察庁が一時消極的姿勢も見せるが結局摘発
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公安部の解釈によっても機械の軍事転用は不可能と実験で判明し公訴取消、長期勾留により無実の社員が癌で死亡
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公安と検察の捜査について違法と認定
国側は謝罪はおろか、再発防止のための検証等も行っていません。このままでは再び同じような冤罪事件が起きてしまいます。責任追及だけで終わらせず、きちんと再発防止のための検証を行うべきだと思います。
このような原因検証は日本ではなかなか行われませんが、厚労省元局長冤罪事件の際には世論からの強いバッシングもあり原因検証が行われました。本件でも、2度と同じような事件を起こさないために、この事件がどのような事件で、どのようなことが起きていたのかを一人でも多くに知っていただかなければならないと思っております。
そこで、できるだけ分かりやすくトピックスで解説しました。ぜひご参照ください。日本を取り巻く安全保障環境がますます厳しくなる中、経済安全保障の観点から、日本企業が開発する製品の輸出管理や技術の流出防止が重要になってきています。
我が国は安全保障の観点からの貿易管理を外為法や外国貿易法に基づき実施してきました。今回の事件は、経済安全保障がますます重要になる中で、重要な技術や製品を開発する企業にとって、留意すべき事件かもしれません。
https://www.sankei.com/article/20231227-WEXNZZPHNBP4VAUHJOG2JCVCHE/
日本弁護士会のHPに今回の事件の経緯と概要が掲載されていますが、大川原化工機株式会社は、「噴霧乾燥器メーカーのリーディングカンパニーとして、法改正にあたって経産省や安全保障貿易情報センター(CISTEC)に協力してきた。」となっています。
https://www.nichibenren.or.jp/activity/criminal/visualisation/falseaccusation/case4.html
法改正について、同社が経産省に協力してきたにもかかわらず、捜査機関の不当な捜査に会い、個人としても、会社としても、被害、損害を被ったことについて、ご本人やご遺族の気持ちは察するに余るかと思います。
技術革新を推進しつつ経済安全保障を守るというバランスが必要な環境において、「正直者が馬鹿を見る」ようなことのないよう、関連規制の明確化、捜査機関のガバナンスや事案の検討など、取り組むべき課題があるようにも見えます。NHKのドキュメンタリーで見ました。なんと恐ろしい冤罪事件。これが現代に起こりうるのか、という感想です。
個人の名誉回復はもちろんなのですが、長期間犯罪会社と思われていて、営業は成り立つのだろうか。外から見ても有罪か無罪かなんてわかりません。社長や取締役が警察に逮捕されている状況で取引してくれる会社はあったのだろうか。恐怖しか感じない。