資本主義とは何か。人間中心に考え直す
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資本主義は企業を取り巻く利害関係者のうち誰の力が強いかで時代ごとにタイプが分かれます。1990年から2015年頃までは株主資本主義でした。株主の力が圧倒的に強く、一般社員の賃下げと教育投資削減、設備投資削減を求め、削った分を配当に回して株主は利益を得ました。株主に利益をもたらした経営者も報酬が大きく伸びました。そして格差が開き、賃下げが限界まで来て社会の分断が深刻化しました。2016年頃以降は人的資本主義、人を大切にする経営に舵を切りました。社員が幸せな企業は業績も良いことがデータで明らかになっています。人手不足もあり、ブラック的な企業は淘汰されることになると思います。
個人的に、『成長』というマジックワードは、豊かな社会を作るための活動なのか、終わりのないレースを強いているのか紙一重なところがあると思っています。
『資本主義の中心で資本主義を変える』の著者清水さんも、成長は競争の副産物であり目的になりえないとおっしゃっています。
面接や周りの人に「成長したい」と言えばすごいねと褒められるし、「圧倒的な成長」を売りにしたインターンや会社は多いと思います。ただ、「成長せねば」と思ったり「言っておけばなんかイイ感じがする」ことに心当たりがあれば、一度何のために成長したいかを見直す必要があると思います。
Student Pickerの学生と資本主義について話した印象的な内容があります。我々は、GDPや売り上げといった経済指標のための人間ではない。ということです。当たり前と言われればそうですが、忙しない日常の延長線上にある発想ではないので忘れがちです。売り上げは大事だと思いますが、それ以上に売り上げの先に何があるか?目の前の相手は豊かになっているか?と問い続けることが大事だと思っています。
そういった背景で、齊藤浩平さんの新しいコミュニズムや山口周さんの人間の情動に根差した社会、脱成長みたいな考え方が注目されているのだと思います。
そんな時代だからこそ記事で触れられているように、そういうシステムを作り出した偉人(スミスやウェーバー)の思想に回帰して学ぶことには大きな意義があると思います。
余談になりますが、実は、人間中心設計を提唱したドナルドノーマンが"Design for a better World"という本を2023年に出版しています。従来の「人間だけが」中心の設計を反省し、ゼロサムゲームの奪い合いに終わらない全人類や地球環境を考えたより良い世界のためのデザインをしようと言っています。伊那食品)塚越顧問の言葉が物語っていると思います。
以下、NPの記事の抜粋です。
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私は、価値には順位があると思うんだよ。一番の価値は、皆が幸せになること。自分だけ良くなればいいということではなくてね。
でも、悲しいことにどこかでそういう価値観を持っちゃったんだね、日本人は。
それから、株式公開制度はよくないよね。そう言うと笑われるかもしれないけど、私ははっきりと言うよ。よくないと思う。
終戦直後とか、世の中に必要なものが足りないときは機能していたわけ。早く作らなきゃ、皆に届けなきゃって。
その時には大きな資本を集めて、大きな工場を作る必要があったのよ。
だけど今はさ、お金持ちになる手段なんだよ。国家とか周りのことなんて考えちゃいないんだよ。
本来の株式公開の趣旨が、どこかにいっちゃったの。
今は、幸せに最高の価値はないんだよ。金になっているんだよね。本当は手段なのに。確かに金はものを言うけど、金が最高位に来ちゃっているんだな。
資本主義社会を否定しないけど、あまりに振り回されるとそうなっちゃうんだよね。すると、不幸せな人も出てきちゃう。
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