自由主義へのハンガリーの挑戦:「もうひとつのヨーロッパ」とキリスト教的なオルバーン政権
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注目のコメント
ハンガリーのオルバーン政権の動向は、今後も注目すべきかもしれませんね。
「ハンガリーのトランプ」とも評されるオルバーン首相は、2010年から現在まで首相として在任しています。長期政権が可能となっている背景には、経済成長を実現してきたことがあります。
「2012年にはマイナスだった経済成長が、以降、約2~5%の成長を続け、2020年はコロナで一時的に落ち込んだものの、2021年は実に7%を超える経済成長率を達成」となっています。
(参考)プレジデント・オンライン「プーチンと親しく、LGBTは大嫌い…そんな「ハンガリーのトランプ」が17年間も首相を続けられるワケ」
https://president.jp/articles/-/60153?page=3
また、少子化問題については、包括的な政策を実施してきており、その成果を導出し、「2010年の1.25という世界最低レベルの数値だったハンガリーの出生率は、2021年には1.59まで改善」しました。この点は、我が国も参考にすべきかもしれません。
https://www.fsight.jp/articles/-/50050
外交分野では、EUの政策を尊重しつつも、ロシアとの関係では対立を煽ることなく、ロシアのエネルギーに多く依存する自国経済をよく踏まえ対応しています。
欧州における保守主義の台頭、自国主義の流れはハンガリーに始まったわけではなく、既に英国がEUから離脱したBrexitでも、時代の大きな流れが生まれていると言えるかもしれません。
欧州の他の地域や米国において、場合によっては今後日本においても、多様性やグローバリズムを強調する都市部と、伝統的価値観を重視する郊外や地方との間での違いや対立が進む可能性があります。
各国は、そのような国内的対立を抱えながら、勢力圏拡大を試みる権威主義体制とどう相対していくのかが重要な課題になっていくのではないでしょうか。極右台頭が目覚ましい欧州において、その一歩先を行くハンガリーのオルバーン政権。先週開催された欧州首脳会議でも、ウクライナへの追加支援に否をつきつけ、他の欧州諸国を落胆させました。新自由主義的な価値観を拒否し、国民保守的でキリスト教的な価値観を重視するオルバーン政権は、グローバル化に疲弊した欧州の、ひいては世界のひとつのかたちではあるでしょう。このハンガリーにおける政治と宗教の関係を今回の記事ではとりあげていきます。今回から数回にわたって「宗教とグローバル社会」では東欧を扱っていく予定ですが、その第一弾としてのハンガリー。ぜひコメントやご質問をお待ちしております!
グローバリズムの中で取り残された低所得者や、イスラムの流入と増大で欧州社会が脅かされると感じる人々にとって、ナショナリズムやキリスト教の価値観を前面に押し出す主張は受け入れられやすいのかもしれません。そしてプーチンをグローバリズムと戦うナショナリストと見なす主張も根強く存在し、また対ロ制裁で資源価格高騰に苦しむ庶民にウクライナ支援の停止や対ロ関係の改善が受けやすいのかもしれません。オルバン以外にフランスのルペンもプーチンと親密ですし、トランプもプーチン寄りな言動が以前から見られますね。