森永卓郎×土居丈朗「財政均衡主義」はカルトか
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「森永 財政赤字の唯一の問題は、赤字を大きくしすぎるとインフレを招くことだ。一定額の財政赤字を出し続けても、高インフレにならない限り問題ない」
「2020年度の基礎的財政収支の赤字は80兆円だったが、それでもインフレにはならなかった。私は、未来永劫年100兆円程度の赤字を出し続けても、日本の財政には何の問題もないと思う。」
「確かに日銀が国債を持ちすぎればインフレになるが、その天井はそうとう高い」
「安定化の必要はない。高インフレにならない範囲で、日銀の国債保有を拡大し続け、そこで生まれる通貨発行益を財源に国民生活を改善させるべき」
こうして発言を並べれば、言っている事に一貫性を欠くようにも見えるが、要するに森永氏は、財政支出を幾らやってもインフレにはならないという、これまでの歴史を無視した妄想に基づいているのだろう。一年間緊急事態の100兆円政府支出を増やすのと、恒常的に100兆円赤字を出し続けるのも物価に対する影響が同じと考える根拠は何もない。現状をコストプッシュインフレと言うが、コアコアインフレまで4%上昇するほど輸入物価が上がったとは思えない。要するに物事を都合のいいようにしか見ていないのだろう。
政府の通貨発行益は、国民の通貨保有損となるので、それほど意味のあるものではない。
税収の弾性値も3もあれば、減税を続けない限り、長期的に見れば国民負担率がかなり上昇していないとおかしい。この点は土居教授の主張の方が説得力がある。
何故インフレが、それでも日本では比較的低位に留まっているのかは、まだ日本は政府財政に節度があると多数の国民が信頼しているからであろう。彼らはそういう財政節度を批判しレジームを変えようとしているのに、その現在のレジームのおかげでインフレになっていないのをいい事に、インフレにはならないと主張するのは、図々しいとしか言いようがない。財政が放漫化してインフレになったら、彼らに責任はある。ザイム真理教など、宗教に見立てて口撃する行為がカルトそのものだと思う。