ZARAが謝罪コメントを発表、広告キャンペーンへの非難殺到を受けて
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注目のコメント
一般にキャンペーンビジュアルは数ヶ月前から制作されるもので、今回のケースも撮影は9月に行われたということなので、ビジュアルの制作意図に悪意はなかったと思われます。
ブランド側は、キャンペーンビジュアルのモニタリングを行うチームを設置するなど、誤ったメッセージの発信を防止する体制作りが必要かもしれません。
例えば、ケリング・グループは、昨年に起きたバレンシアガのキャンペーンビジュアル騒動(子供のイメージを使用したビジュアルが、児童ポルノを連想させるとして非難されたもの)を受けて、brand safety executiveを任命して、キャンペーンビジュアルのレビューを行わせるとしました。
ブランドや企業は、世界情勢や社会情勢を常に意識して、広告キャンペーンのメッセージ性に気を配らなければなりません。制作意図が「芸術的な文脈」のみだったとしても、その文脈が今起こっている戦争へとつながっていくことは予見できたのではないかと思います。制作者・企画者がそうであっても、これだけの世界的企業にリスク管理の観点が欠如していたとすれば、やや恐ろしいことでもあります。
一方で、かなり穿った見方であることは承知の上ですが、マーケティングでは、あえてこうしたネガティブ情報をきっかけにバズらせる「炎上マーケティング」が行われるケースは少なからず存在します。
たとえネガティブなイメージであったとしても、それをきっかけにこうしてニュースで取り上げられ、知名度が広がっていき、淡々と火消しを行ってプラスイメージへと転換していく手法ではありますが、今回のケースがそうした意図を含んでいないことを願うばかりです。このキャンペーンビジュアルは、イギリスの著名なフォトグラファーTim Walkerのものでした。
大掛かりでファンタジーを取り込んだ作風で知られるTimの作品は、絵コンテからプロップ制作まで独自のプロダクションで作られる作家性が高いものなので、初めてこのビジュアルを見た時、ZARAでTimを起用するんだ、と意外に思いました。
クラフトマンシップをテーマにしたキャンペーンでは彫刻家のアトリエを思わせるセットデザインで、それがGAZAをはじめとする被災地を想起させるものになってしまったのだと思います。
作家性を尊重するあまり、世界事情に鑑みたセルフチェックができていなかった。
ZARAのようなグローバル企業にとって、こういったキャンペーンのローンチ前には、綿密な倫理、人権問題がないかのチェックが必要です。
これは対岸の火事ではありません。
どんな事情があるにしても、外部に出すビジュアルなどは、慎重に、多様な背景を持った人たちのチェックを受けることを心しておかなくてはなりませんね。