ショッピングモールのデザインが「かつての監獄」と同じ理由
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この夏にスペインのルーゴ(Lugo)という街を訪れる機会があったのですが、その街の観光窓口で「歴史ファンへのお薦めを」とお願いして、大聖堂博物館と並んで紹介された施設にO Vello Cárcere(旧刑務所)があります。
ルーゴの象徴であるローマ城壁からも外れた、比較的マイナーな名所。ところが行ってみると、パノプティコン! それも網走刑務所のように回廊が放射状に配置されたものではなく、監房そのものが監視塔(現存せず)を囲んで放射状に並んだ、ベンサムのコンセプト直球そのままのデザイン。思わぬ出会いに歓喜乱舞。わっしょ~い。
https://ovellocarceredelugo.gal/
https://ovellocarceredelugo.gal/o-vello-carcere-hoxe/
「どうしてここに? 観光窓口でお薦めと、へぇ~」と面白がられながら、係員の女性から建物の歴史や男性区画と女性区画が組み合わさるユニークな構造、スペイン内戦時代の刑務所の悲惨な状況などの解説を聞くのは大変面白い体験でした。
ともあれパノプティコンには興味深い話題が多く関連しますが、実はこの記事でのショッピングモールのデザインにパノプティコンが関連するという説には若干疑問も感じています。
写真にあるようなショッピングモールのデザインの直系の祖先はボン・マルシェ始めとする19世紀フランスのグラン・マガザンではないでしょうか。鉄骨造でガラスの天蓋つきの吹き抜けを備える、エッフェル塔の時代に始まった様式です。
https://www.citeco.fr/10000-ans-histoire-economie/revolutions-industrielles/le-bon-marche-premier-grand-magasin-en-france
ボン・マルシェの建設史を紐解いてみる必要がありそうですね。言われてみれば確かに。モールは監獄の造りだ。防犯の管理システムだったのか。だとすれば客にとってもっと心地よいモールの設計があるはずです。防犯テック満載の、でもお客様1stのモール、作ってほしい。
言われてみれば確かに!となりました.
トレードオフになっている「入りにくさ」と「見えやすさ」を建物の構造を巧みに変えることで,囚人の心理をコントロールするという考え方は大変勉強になりました.
他の身の回りのデザインから制作者の意図を考えてみるのも楽しそうですね.
>>「入りにくくする」のは、鍵やフェンスなどを用いて、比較的容易に実現できるが、「見えやすくする」のは簡単ではない。単純に「見えやすい場所」にすると、同時に「入りやすい場所」になってしまうからだ。