株式購入権の税優遇拡大 政府・与党、人材確保を後押し
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スタートアップ経営幹部の人材流動性を高めることに大きく貢献することは間違いない。グロース企業を経験した人たちが次の潮流を作ることで、エコシステムが大きく発展していく。
1,200万円上限が定められたのは数十年以上も前のことであり、ユニコーンや数百億円超のスタートアップが数多く生まれるようになった現状から大きく乖離しているので、是非上限を撤廃してもらいたい。
注目のコメント
この変更がされた時のメリットは、レイターでのSOだと思う。そして小粒な上場エグジットを減らすことにつながると嬉しい。
現在の1200万円は、行使価格での上限。なので記事にある例でも①のステップの権利付与時点での上限が100円×12万株=1200万円。アーリーでのSOは、行使価格と上場後の株価で差が大きく、上場後の株価が500円で、そこで行使しても課税されず、4800万円の利益には約2割の課税。
一方でレイターになったら、そこの差額が小さい。例えば記事の例で上場直前でバリュエーションが上がり300円での発行だとすると、税制適格にするための上限株数は4万株となり、500円の株価だと800万円の利益となる。おまけにレイターは今後の成長に向けても人財を強化したいタイミングで、税制適格の設計をすると報酬面で報いにくくなる。
レイターで大規模なファイナンスと、SO含めた人材獲得がより進むことで、もう一段成長してから上場する企業が増えてほしい。あとは弊社のように非上場化して再上場を狙うケースも報酬設計がやりやすくなると思う。下記のGrowth CFO SummitでCHROの松井さんが言及しているが、色々考慮した結果として非上場化後に発行するSOは有償SOになっており、1200万円の行使条件もそうなった一つの背景。
未上場から上場、そして非公開化へ…ユーザベースが歩んできた株式報酬の変遷
https://newspicks.com/news/9194716
あと記事にある『政府内には「撤廃は富裕層に対する大幅な税優遇になる」との慎重な意見もある。』という点は、そもそもリスクテイクをして雇用なども含めてGDP成長に寄与している。2割の課税はされるわけだし、また資産効果による消費などもある。
取れるところから取る、より、いかに取れるところを増やすか、を考えてほしい。国家間の経済競争の時代で、成長産業にとって不利な国は、取れるところが減る。言語面でそもそもグローバルニッチなのだから、制度面で優位に立つか少なくとも負けない、そしてそれ以外の部分で勝つ(安心安全とか文化面は本当に優位にある)ようにする必要があると思う。信託型ストックオプションの騒動の際に、国税庁の説明資料で以下の内容が検討事項として記載されていました。
①株式保管委託要件の撤廃
⇒この要件があるせいで未上場時点やM&A時などの権利行使に対して高いハードルがある状態。本件は記事を見ると言及がされていないので、先延ばしにされてしまったのか?
②社外高度人材への付与要件の緩和、認定手続きの軽減
少し前の税制改正で社外高度人材に対してストックオプション税制の適用が拡大されましたが、認定手続きの煩雑さが問題視されていました。認定を受けた人数は2桁台にとどまるようです。
本件は記事で言及がされており、付与条件を大幅緩和するとのことですが、別記事の情報ですが国からの認定は引き続き必要になる見込みとのことですので、活用が促進されるかは謎。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA089ET0Y3A800C2000000/
③権利行使限度額の大幅な引き上げ又は撤廃
これは正に記事のメインの内容ですが「ストックオプションを行使した際に税優遇を受けられる上限を年1200万円から引き上げる」とのこと。
年1200万円を超えて権利行使がされてしまうと、その超えたときの権利行使にかかる全額が税制非適格の扱いとなり、総合課税がされていまいます。
上限は撤廃されるのか?それとも引き上げがされるのか?
詳細は税制改正大綱を待つ形になりそうです。まあ、1200万もあがればよいこともあるけど、
それで完璧なんてこともなく。。
最近、株式購入権で沼やーって思った法律事例を共有しておきます。
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/02/36.htm
こちらはフランスが事例だが、シンガポールもそう。
国境超えて働くことも容易になる一方で、付与する人が住む国との租税条約で変わるポイント把握してないと後々面倒くさいことになるので、それこそこの租税条約とかのSO関係のマニュアルを国が音頭取ってまとめて無料でスタートアップに配布してあげた方が変な業者にスタートアップが騙されることも減り、社会としては総じて良いと思います。
正直、税制適格要件に退職者持ち出しはつけられないと信じ込んでる人多すぎて、その誤情報どこで洗脳されたの?だまされたの?ってびびることが多々あります、正しい情報知って判断して設計していく会社が増えて欲しいなぁ。