世界最大の氷山「A23a」が移動 縮小して海底から外れる
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1986年にロンネ棚氷から分離し、当時最大の氷山として扱われていたのがA23aですが、その後すぐに海底に着底してしまい動かなくなっていました。このため、普通ならば「最大の氷山」などと報道されてもすぐに融けてなくなっている氷山の世界にあって、現存する氷山として横綱級の存在感を示してきました。
2020年になりゆっくり動き始めており、昨日今日で急に動き始めたものではありません。もともとはウェッデル海の東側にあった氷山でしたが、その後3年かけゆっくり西へ動き、10月ごろから急速に北上して南極半島の先端付近まで北上してきたというものです。現時点での面積は4000平方km近いとのことで、およそ埼玉県ほどの大きさとなります。
今後はこれまでの氷山が辿ったように、南極半島の先端付近で海流や低気圧の風に揉まれながら、徐々に崩壊し消滅していくものと考えられます。この場合、よくサウスジョージア島など周辺の島への衝突の可能性が話題となりますが、こうした巨大氷山は海面上に出ているのは全体の10%程度で、ほとんどが海面下に沈んでおり(「氷山の一角」などという慣用句でも用います)、島に衝突する前に島の手前の大陸棚に座礁してしまうものとみられます。
なお気になる地球温暖化との関連ですが、個別の氷山が棚氷から分離して融けていく過程自体は温暖化と関係なく発生するものですのでそれ自体を憂う必要はありません。むしろ融けないと困ります。ただし今年の南極の冬シーズンの海氷面積は最小を更新しており、南極の氷河や棚氷の融解も懸念される状況で、全体として氷がなくなりつつある傾向は出ているように思われます。すでに地球温暖化は避けられないところまで来ていますので、決定的な悪影響が出ないことを常にモニターしている必要があります。ノードハウスの著書を読んだ際に、北極海に浮かぶ氷山は、地球温暖化によって解けても比重の関係から海水面上昇にはつながらないのに対して、南極大陸上の氷河は解けると海水面上昇に直結すると知りました。このA23aの場合は、海底に接地していたのが縮小して外れたということなのですが、海水面上昇を惹き起こす心配はないのでしょうか。
>研究者2人によると、A23aの分離は自然なサイクルの一環だが、
北上すると温められて急速に小さくなり、船舶には影響がでないというイベントだということでしょうね。タイタニック事故の頃とは違い、レーダーで検知できますし。