ノボノルディスク、肥満症薬「ウゴービ」を日本発売 来年2月
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世界が期待した、肥満治療薬がいよいよ日本でも発売になります。適応はBMIが35を上回っているか、BMIが27を超えると同時に2つ以上の肥満関連の併存疾患がある人のみと限定されていますが、肥満自体が心疾患のリスクであり、ウゴービによって心疾患のリスクが改善されたという報告も出ています。
これまでは良い治療法がなかったため、医療としての積極的な介入が難しかったですが、これからはウゴービを使って治療する事ができるようになります。「ウゴービ」はGLP-1受容体作動薬と言われる医薬品で、血糖値を下げる効果があります。医療用医薬品に区分される、医師の診断、責任で出される処方箋を必要とする医薬品です。保険薬価が収載されたことを受け、日本で保険治療に使えるような準備が整いつつあります(来年2月から保険使用可能)。必要な患者に対し、選択肢が増える点は朗報です。
「ウゴービ」は、BMIが27以上で2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する場合は適応になりますが、肥満に関連する健康障害がない場合はBMIが35以上でないと投与対象にならないなど、ベネフィットとリスクのバランスをとるために、科学的に根拠に基づいた使用基準が設定されています。
肥満度を示す指標BMI(Body Mass Index)は、「体重(kg)÷ (身長(m))^2」で求められます。記事中のBMI35(肥満3度の下限値)とは、身長170cmの方で約101kg、150cmの方で約79kgです。
すでに、ごく一部の美容クリニック等での「痩せ薬」といった誇大広告(薬機法第66条違反)や個人輸入での使用を勧める事例が発生しているため、薬事行政当局は、製薬企業や日本医師会からも協力を経て、監視活動を進めています。このような経緯から、「ウゴービ」は、薬事承認後の保険薬価の収載は見送られてきましたし、保険適用になっても、投与のスタートは、「糖尿病専門医を有する医療機関に限る」といった制限がつくと思います。
確率的に発生する性格の副作用被害の救済のため、製薬企業等が出資するファンドが創設した「医薬品副作用被害救済制度」は、認可を受けた使用法の範囲内に限られるため、重篤な副作用が発生しても、認可適用外で使われていた場合、「医薬品副作用被害救済制度」からは補償されません。
適用外の処方は、医療機関で作成した請求を審査した結果、過剰あるいは不必要、処方内容が適切でないと判断された場合は、保険医療機関への保険償還はされません。そうなると保険分(通常7割)が医療機関の持ち出しになり、当然、医療機関の経営に影響を与えます。「痩せ薬」では保険が下りないため、効能外使用を意図する医療機関は、保険適用になったあとも自由診療として、全額の自己負担を求めてきます。ウゴービ(一般名 セマグルチド)はGLP-1受容体作動薬というグループに分類される薬です。セマグルチドは最初は糖尿病の治療に使用されていましたが、血糖値を下げるだけでなく、食欲を抑制して体重を減らす効果もあることがわかり、肥満治療にも使われるようになりました。(糖尿病治療薬の商品名はオゼンピック、肥満治療薬の商品名はウゴービ、となっています。)今年の8月には、ウゴービが心血管疾患やそれによる死亡を抑制する効果があることが示され、話題になりました。欧米と比較すると日本の肥満患者数は少ないですが、新たな治療選択肢になり得るでしょう。