宝塚歌劇団 木場理事長が辞任へ「健康管理などが十分でなく安全配慮義務果たせていなかった」
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謝罪会見の前に情報がリークされることはよくありますが、なぜ関係者が最初から過ちを認めないのかには、いくつかの理由が考えられます。まず、プライドや自己保護の意識が強く、間違いを認めることが自分の立場や評判に悪影響を及ぼすと考えるためです。また、事実関係の確認が必要であり、謝罪や認めることが状況をさらに複雑にする可能性があるため、慎重に行動することもあります。さらに、法的な責任や将来への影響を懸念して遅れることもあります。これらの要因により、即座に認めたり謝罪したりするのが難しい場合が多いのです。
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企業は、雇用する労働者に対して、安全配慮を行う義務を負っています。労働契約法(第5条)には、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と定められています。
したがって、「配慮は義務」なのに「怠った」という事実が確認されただけで、企業の責任が問われます。(例えば、労働時間管理ができていない、疾患の疑いがあるのにその疾患が悪化する可能性がある環境を放置した、など)
宝塚歌劇団は、「団員との雇用契約がない(団員は業務委託契約による関係)ことをもって、歌劇団に責任はない」と言いたそうに見えていましたが、実態上は単なる業務委託者の関係とは言えず、元請企業である宝塚歌劇団の完全なる指示、監督の管理下で業務(演劇実務)を行っていた状態だったと思います。
さらには、「元請企業が下請企業に業務委託していて、そこで災害が起こった場合、被災者が下請企業の雇用する従業員であっても、元請企業を使用者とみなす」(労働基準法87条1項、労働基準法施行規則48条の2)とされていることからも、「『業務委託契約だから歌劇団は関係ない』という主張は通用しない」とみえていました。
従業員等への安全配慮を行う義務違反で、企業の責任が問われるケースは、
(1)予見可能性があった、(2)結果回避義務を実行していない、(3)事故(損害)との因果関係があること、すべてを満たす場合とされています。
別の報道では、「職場でのいじめを放置していた」ともされています。事実であれば、劇団員がうつ病になる可能性を予見できたわけですから、詳細に調査されれば、安全配慮義務への配慮不足が明らかになる可能性がありました。そのため、事態がこじれる前に、潔く責任を認め、責任者の引責辞任、再発防止を誓うことにしたのでしょう。命を落とされた方のご冥福をお祈りいたします。今回遺族側についたのは電通の過労死労災の会見でも有名な川人弁護士。この種の問題では最強と言っても良いと思います。宝塚側は理事長の辞任と再発防止策の発表で幕引きにしたいのでしょうが、第三者委員会を入れないヒアリングでは遺族と世論は容認しないように思います。
電通はあの事件以来、鬼十則を改め、川人弁護士が提案した管理職研修を毎年行っているとも聞きます。これを機に「うちは特別」との理由で過度な上下関係が残る組織も改革が進むと良いなと感じます。特殊な世界だと思われていた宝塚も、人権に関わる過ちを犯せば例外的な扱いを受けないということを、多くの人々が理解したと思います。ジャニーズに続く動きに、時代の変化を強く感じます。ある意味、2023年は芸能分野でパンドラの箱が開いた年として記憶されるのではないか。これからもっといろんな箱の蓋が開く気がします。