エクソソーム 美容目的などに利用 “将来的に規制を”学会提言
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エクソソームと同義に言われている幹細胞などの培養液の中には、培養中に死んだ細胞から出てむしろ細胞に害を及ぼす(アポトーシスを引き起こすような)成分と、マイクロベジクルと呼ばれる細胞の一部と、分泌物である真のエクソソームが含まれています。
治療として認められるためには、どの成分をどのように抽出して、どのような作用があるのかを明らかにしなければなりません。現在自由診療で行われている中に臨床試験でその効果がきちんと認められたものはなく、世界中で問題となっています。抽出がきちんとなされ、効果のある成分がわかっている場合は治療として有効な可能性もあり、アメリカではFDAを通したエクソソームの治験がいくつも行われています。承認されたものは治療と呼んでも良いものです。
的確な抽出や濃縮なく、しかもGMPという規制当局の基準に満たない施設で扱われているエクソソームはリスクを伴います。血液製剤と同じですので、昔あった薬害エイズのようにウイルスや菌が混在している可能性もあります。
再生医療の法律が及ばないため、それをなんのチェックも規制も無しに行われているのが今の現状で、それを知らずに受けるのは危険です。治療している医師も危険性を知らずにやっている場合もあります。MISEVガイドラインを知っているか、どのような幹細胞からどの成分を抽出したのか聞いてみると良いでしょう。
クリニックの中には「なぜエクソソーム注射を受けたら一生献血できないか」をきちんと書かれているところもありました。
「エクソソームは、ヒト由来の幹細胞培養液上清液が使用されています。 ヒト由来の幹細胞培養液上清液は、骨髄や脂肪などといった幹細胞を培養し、その培養液から取り出した幹細胞を処理したもので、まだ安全性が認められていないためです。」
注目のコメント
このエクソソームは今のところ保険診療としては一切承認を受けていません。多くの分野で日本よりやや早く最新の医療を提供する米国でもそれは同じです。なぜなら、有効性と安全性の根拠が十分確立していないからです。
最新の技術で作られてはいるものの、墜落するリスクがまだ不確かな最新の航空機にあなたは搭乗しますか?
スピード感をもって開発を進めつつも、十分な安全性を確認してから客を乗せる航空機が保険診療です。このエクソソーム治療では、現実に死亡者も出ています。そしてこれは氷山の一角でしかありません。「最新の知見」という甘い言葉に騙されてはいけません。
エクソソームの将来的な臨床応用を否定するわけではなく、可能性のある治療法だと思いますが、現在日本で行われているエクソソーム治療は規制されて然るべきです。エクソソームは、組織の修復や再生を助ける働きを持っており、皮膚の老化や炎症を防ぐ事が期待されていますが、現時点ではこれを注射する事によって得られる効果をサポートする、根拠となる研究結果はありません。
昭和の時代にはにんにく注射が流行り、平成ではプラセンタ注射が流行り、令和ではエクソソーム注射です。これらの共通点は、十分な根拠がない点と、高価格な点です。
いずれも耳障りが良く、なんとなく効果がありそうと思わせる注射ですが、根拠のないものにお金を注ぎ込む必要はないと思います。
確かな有効性も安全性も明らかになっていないものに高価な金額をつける医療ビジネスに踊らされている可能性を常に考えておく必要があるでしょう。不安を煽るコメントばかりが散見されますが、今回の声明に関してはそこまで単純な話ではありません。
学会は利権がかなり絡んでおり、各々の立場で自身に有利な発言を行っています。本当に有効な治療法であっても、提言ひとつで国民に平等に行き渡らなくなる可能性もあります。1つのクリニックのずさんな保管方法による事象を取り上げて、エクソソームだけが悪いもののように論じる姿勢を繰り返す医師がいますが、多くの自由診療は各々の医師の裁量に任されているというのが前提です。なので「自由」診療なのです。エクソソーム以外でもその効果について国が公に認めていない治療でも、自由診療の世界では治療法として確立しているものもたくさんあります。
効果を実感し喜んでいる人がいるからこそ確立しているわけで、承認されていないことだけで全て否定することは非常に危険な考え方です。