【今こそ学ぶ】最新電池を5つのポイントで整理してみた
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「アトム」と「ビット」。
アトム(原子)とはリアルの世界に存在するもの。例えば、自動車、住宅、道路、水道、発電所、あるいはそれを支えるパーツとして電池、モーター、半導体、エンジン、タイヤ、さらには材料である金属やプラスチック、ゴムなど
それに対して、情報量の単位であるビットは、コンピューターのモニター上、あるいはクラウドコンピューターで描かれるバーチャルなデジタル世界
後者のデジタルの世界があまりに華々しく進化してきたので、前者のアトムの領域も同じくらい進化しているはずだという「錯覚」に、私たちはともすると陥りがちです。
しかしながら、アトムの世界では、限界を極めようとすると「あちらを立てればこちらが立たず」のトレードオフに陥ることがしばしばあります。
さらには、性能を向上させていくと、徐々に限界に近づくにつれて性能向上ペースが落ちていく「S字カーブ」の宿命(法則)も待ち受けています。
先日、電池の技術者から話を聞きました。「エネルギー密度と充電スピードはトレードオフ(二律背反)の関係にある。だから、あらゆる要素を調整しながら、一番バランスの良いポイントになるように調整している」そうです。久しぶりの全固体電池の特集ですね。現行のリチウムイオン電池(LiB)の有機溶媒(水系も一部有り)を固体電解質に変えたものを指します。
つまり現行のLiBには燃えやすい有機溶媒が含まれてます。これを安全にするために電解質を固体化するのですが、リチウムイオンの伝導度がどうしても下がってしまいます(約10 -3~4 S/cm:Sはジーメンス)。
そこで伝導度の高い固体電解質を探しているのですが、単に値が良いだけでもダメで、記事にもあるようにやわらかい材料であることも求められます。これは固体の正負極と電解質の界面を緻密にくっ付けるために必要な性質で、トヨタと出光が発表した硫化物系が相当します。
ただし未だに理解されてませんが、電解質を固体にしたからと言ってエネルギー密度(電池の容量:Wh)が増える訳ではありません。従来の正負極材料よりも理論容量の高い材料を固体電解質と組み合わせなければ、電池の容量ひいてはEVの航続距離は増えないのです。
なので全固体電池の発表では、どんな材料系の電池かまで見なければなりませんが、得てして正負極材料に何を使っているのかは明らかにされません。これは真似されるからということもあるかもしれませんが、実際にはある程度決まっていたりします。
他にも製造方法やゲームチェンジするのかといった観点もありますが、過去のコメントなどをご参照くだ下さい。物理化学の話から少し逸れますが、日本文化ってこういうことかと思いました。トヨタのクルマを造るという姿勢にとても好感が持てました。
全個体電池のあちらを立てればこちらが立たずのトレードオフの中で、「機能があればデザインは多少犠牲にしてもしょうがない!」というわけではなく、使いやすく心地よいデザインも追求していく姿勢は、まさに柳宗悦の「用と美」のデザインだよな。。。と思いながら記事を読んでいました。
機能も重要ですが、こういう泥臭い日本らしさ(?)でもテスラやBYDと勝負して欲しいです!