薬不足の深層「赤字品を作れない…」製薬の本音
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カロナールや鎮咳薬がない事で、ここまで加熱している事に驚きです。カロナールがなければ薬局でバファリンやロキソニンを買って貰えば良いし、そもそも鎮咳薬は大した効果はなく、処方をしなければならない状況はありません。
日本全体で医療への理解を高めていかなければ、無駄な論争によって、間違った方向への対応が進められてしまいます。抗菌薬や抗がん剤の供給をどうにかするのが喫緊の課題であり、カロナールや鎮咳薬ではありません。
それから、後発品に頼ろうが頼るまいが、供給が進まないことには変わりなく、医師側としては先発品だから処方しないなんてことはありません。
引き続きの対応が求められます。薬局の店頭には並ばない「医療用医薬品」のうち、ジェネリック薬の不足の発端は、コストダウンに固執した製薬企業が、国際的な製造手順に違反しての業務停止処分によるものでした。解消しないのは、製造基準を満たしながらの採算ライン内での製造は技術的に不可能と判断し、その後の製造を断念した医薬品が出ていることが主な理由で、買い占めがこれに拍車をかけています。
医療用医薬品のビジネスモデルは、(1)「新薬」の場合、莫大な研究開発費(1000億円程度~数千億円)を高価格の医薬品で回収する形態です。日本の場合は、製薬企業が希望価格をつけられる国と異なり政府統制価格で、実勢販売価格(医療機関の購入価)を反映して1年に1度見直しが入ります。特許が失効した後は、多数のジェネリック企業が、特許料を払わずに一斉にコピー品を販売するため、新薬メーカーはジェネリック企業には非協力ながら、特許切れ品(低採算商品)から手を引くタイミングを探ります。
(2)「ジェネリック薬」の場合は研究費をかけずに薄利多売することです。新薬の承認で得られた結果を流用して審査を受けますが、新薬との同等性を示すことができれば基本的に承認されます。新薬の製造時と同等のレベルが製造ラインの基準にとしては求められるものの、研究開発費は格段に低く抑えられます。ビジネスモデルは研究開発費をかけないで大量生産を行うことながら、薬価が1年に1回引き下げられる結果、菓子以下の価格(1錠数十円~10円)を切れば限界に達します。
政府が規定する薬価から医療機関が値引きを求める商慣習が薬価下落のメカニズムですが、結局のところこれが薬務行政の狙いと思われ、政府規定薬価からの値引き要求にはこれまでのところ制限はかかっていません。
国際的に販売先を有する医薬品企業も、利益を上げるためには、日本市場は優先できません。画期的新薬のカテゴリーで高薬価がつく米国でまず申請、価格を付けた後、世界で同水準の価格での販売を目指します。そのような医薬品には年間の薬剤費数百万円~数千万円といった値段をつけることもあります。そのような企業は、ジェネリック薬製造に消極的です。
日本の薬務行政に明るい方からかねて指摘されていた「薬価(引き下げ)制度の根本的問題」が出ています。シナリオは十分に予想されていただけに、実際に引き起こされていることについては残念です。後発薬をつくる製薬会社の不祥事に伴う業務停止命令などにより生産量が落ちたことや、コロナやインフルエンザなどの流行により、咳止めや痰切りに使われる薬の供給不足が続いています。さらに、抗生剤などにも供給不足に陥り、治療に支障が出ている状況です。
記事にあるように、代替薬への需要のシフトや買い占めが起こることでドミノ倒し的に薬不足が続いており、負のループに陥っています。