三菱UFJ、不動産劣後ローン参入 三菱商事系とファンド
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日本の不動産ファイナンス市場における構造的課題は、リスクを取らないシニアローン提供する金融機関(銀行)はひしめいている反面で、エクイティとシニアローンの中間部分の資金提供主体が限られていることで、この課題はリーマンショックの後で外資系投資銀行のリスクテイク余力が減少した時に、顕在化しました。その構造的問題は未だに変わっていません。そのために、都市再生に取り組むデベロッパーの体力(資金余力に日本全体の都市の未来を託さなければいけないという状況が続いてしまっているわけです。今は、その弱点は顕在化していませんが、金融市場で異変が起こればいつでもリスクは顕在します。
参考に、亡くなる2年前に森ビルの森稔会長(当時)が、国交省の戦略会議(不動産投資市場戦略会議)に提出したリスク認識に関するペーパーを以下に示します。
https://www.mlit.go.jp/common/000129066.pdf
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000018.html
これらを受けて、リーマンショック後のメザニンデット供給支援を国が行うことになり、スタートしたのがMINTO機構のメザニン支援制度です。
https://www.minto.or.jp/products/support/mezzanine/
https://www.minto.or.jp/archives/mezzanine/
ただし、このスキームで資金提供できる対象は、かなり限定的で、海外ファンドの再生型不動産投資には機動的に回せない、という問題があります。
今回の、三菱商事とMUFJの取り組みはその構造的課題に切り込んだもので、彼らにとってもチャンスになるはずです。三菱商事子会社のダイヤモンド・リアルティ・マネジメントが運営する110億円のファンドに50億円を出資するようです。将来的にはMUFG内で不動産投資ファンドを運営することも検討していると。
グループ内に不動産仲介もできる信託銀行もあるのだから不動産に関してはバリューチェーンを川上から川下までカバーするのは当たり前で上澄だけ啜って薄い利益だけ享受してももはや仕方ないと言うことでしょう。