首相がいまさら「資産運用特区」をぶち上げるトホホな日本
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岸田総理が何かいうと、脊髄反射的に反応してこき下ろす風潮こそトホホだと私は思う。実は、私は岸田さんがニューヨークやロンドンなどの市場関係者や経済界の人々を前におこなうスピーチのコンテンツに密かに注目していて、彼の頭の中にいる真のオーディエンスは、案外目の前にいる聴衆ではなくて、日本国内の市場関係者や霞ヶ関、それに与党ではないか、と推測している。そして、その考え方は存外正しかった、とこのところ確信を深めている。
まず、
①2022年5月5日、ロンドンのシティで行った講演で、「資産所得倍増プラン」を打ち出し。
https://mainichi.jp/articles/20220505/k00/00m/010/088000c
次に、
②2022年9月22日、ニューヨーク証券取引所で行った講演で、「NISA恒久化」を打ち出し。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20220923-OYT1T50121/
この二つは、きわめて重要な「国内向け」メッセージだったと私は理解している。重要な政策変更に関するシグナルを、海外の比較的雑音が少ない場所で行う、というのが岸田さんの(というかこの政権の)スタイルだというのが、私の理解。
今回の③資産運用特区に関するスピーチは、年末の税制改正に関する議論に向けて「NISAには手を出すな!」という強めの牽制球だと私は受け止めている。もう一ついえば、「国内勢がだらしなかったら海外から競争相手を優遇して引っ張ってくることも辞さず」という国内向けメッセージだというのが、私の受け止め。
したがって、「運用特区はいまさらの議論」というのはそもそも的外れな議論、だと思っている。
違うだろうか?海外の運用会社を日本に呼び込むために、海外で首相自ら宣伝することは一定の効果があると思っています。日本はここ数年、運用業のライセンス取得や拠点開設が英語でできるようになったり、様々な税制優遇措置が実施されています。ただ海外の運用会社にその評価を問うと、知らなかったのでもっと宣伝したほうがいいよと言われることが多いです。一方で、日本でビジネスを行っている海外の運用会社は既に多数あります。これから呼び込む対象となるのは、香港・シンガポールで活動しているヘッジファンドやオルタナのマネージャー。政治的な不安から香港から撤退を考えていたり、物価が高いシンガポールからの拠点分散を考えている運用会社がメインターゲットです。今回の施策をしっかり宣伝しておく意味はあると思います。
コツコツ日本誘致の営業を続けることは税収面でも重要でありトホホな事ではありません(7年やってLGIMしか来ませんでしたが)
しかし日本には制度面で目玉がなく税収を諦める(2015年に小池さんがぶち上げて財務省反対で案が消滅)くらいしか運用会社にはメリットがなく不思議な状況になっています
エコシステムを作るために特区で税金を優遇するのか、個別に重要な大手や指数ベンダを呼ぶのか方針をもう少し定めるべきです
※追記:2015年からヒアリングが始まり、2016年12月には最初のまとめが発表されました
海外金融系企業の誘致促進等に向けた当面の対応
https://www.seisakukikaku.metro.tokyo.lg.jp/pgs/2021/03/images/2812221tomennotaiou.pdf