たった1滴の涙から乳がん発見 神戸大ベンチャー、大阪万博めどに実用化
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線虫がん検査と異なり、検査の生物学的妥当性が説明可能な点が強みです。しかし、これをがん検診として用いるという場合には、既存のがん検診との比較などにより、臨床的な有効性(すなわち、検査精度の議論にとどまらず、検査によって既存のがん検診と少なくとも同程度にがんによる死亡リスクを低減できるかといった点)を評価した上で実用化につなげていただきたいところです。
なお、現時点では、乳がん検診としては「唯一」マンモグラフィが推奨されています。その根拠として、マンモグラフィを受けることにより、検査を受けない人に比べて乳がんによる死亡リスクを低減できる、すなわち検査で命を守る可能性が高いことが知られている唯一の検査だからです。
該当年齢の方は、ぜひ目先の利益や面倒臭さに負けず、検査を受けていただくことを強く推奨いたします。繰り返しになりますが、あなたががんで命を奪われてしまうリスクを低減できる検査だからです。マンモグラフィーは極限までぺったんこに板挟みされるので地獄の苦しみ(とにかく痛い!)。あの痛みを経験したくなくて健診はスルーしてしまいます。
この涙採取型は良いですねー。臓器間伝達物質"エクソソーム"を検出して癌を調べる。研究が早く治験まで進むと良いなぁ。
日本医療研究開発機構さんが、エクソソームの件についてサラッと触れています。専門的ではありますが、付属知識として、面白いです。
https://www.amed.go.jp/news/release_20210105-02.html神⼾⼤学⼤学院⼯学研究科・⽵内教授らの成果ですね。2020年に神戸大学がプレスリリースしています。
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/collaborations/2020_05_29_02.html
基本的な原理と乳がん識別結果は、Journal of the American Chemical Society(JACS; 米国化学会誌)に掲載されています。
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/jacs.9b13874
JACSはchemistryの分野において世界最高峰のJournalです。“機序は良くわからないがうまく行きました”という研究成果ではまず採用されない超一流誌です。
癌細胞から排出されるエクソソームに乳がん特異的なタンパク質が存在し、それとの抗体反応を用いています。エクソソームは細胞よりもうんと小さいため遠心分離で沈降させるには特殊な装置が必要ある一方、タンパク質などの可溶性物質と違って水に溶けているわけではないので、取り扱いが難しい。この技術では分子インプリンティング技術を使い、エクソソームに対する抗体反応を効率化しています。計測原理(機序)が明確であり、診断用医療機器として国の承認を目指していますので、先日特集になった線虫の一件とは全く別次元の開発と理解できます。