【解説】公表資料からわかる「線虫がん検査」の不可解さ
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特集を通して思っていたのですが、私は医師ですが正直言って「非ブラインド検査」なる用語を知りませんでした。
「ある検査が何かの診断に役立つか」を調べるためには、結果を知らない状態で判断しないと意味がありません。
既にがんかどうかを知っている状態で行う検査に、一体なんの価値があるのでしょうか。
これは一般常識的にわかることだと思います。
「尿の希釈によって結果が変わる」というのも大きな問題で、多くの方が経験があると思いますが、たくさん水を飲むと薄い尿が出ます。
つまり希釈率を一定にしても、「尿本来の濃さ」は一定にならないはずです。
そもそも尿に「がん由来の何か」が出てくるという状況は、全くの初期の局所のがんで起こるものなのでしょうか。
仮に初期でも判定できるとしても、ステージによって精度が大きく変わるのが普通だと思います。
実際「なぜ判定できるのか」というメカニズムが明らかになっていないことも、容易に結果を信じられない理由の1つです。
本来はこうした全ての疑問にロジックで応えるために論文での検証が必要で、到底実用化が可能な段階とは思えないです。
やはり公開実験で卓越した精度の証拠をみせるか、研究段階からやり直すことが必要だと思います。
注目のコメント
素晴らしい記事です。複数の医学研究論文に批判的吟味を行い、疑義を突きつけています。研究論文については、論文に対する批判をletter to the editor という形でジャーナルに書く事が出来て、その論文に対する批判的吟味を広く周知する事ができます。
この記事でやられた事はまさにこの方法と同じで、論文に対する疑問点を広く世の中に伝えており、とても質の高い記事だと思います。
ただ単に線虫検査を批判するのではなく、公表されている資料から矛盾点を導き出して、科学的に批判されていて、私自身も勉強になりました。
医学で使われる検査では、国の検査機関で厳しく有効性が評価されてから世に出る事になりますが、ビジネスで行われるものについては第3社の評価が行われないままに世の中に出る事になります。つまり、性能が保証されていない事になります。
線虫検査も、企業マーケティングによって、多くの人を信用させる事に成功していますが、そんなに素晴らしい検査であれば医療機関で使われているはず、という考え方を持つことも重要です。
追記
線虫検査について、ChatGPTに聞いてみた内容を記事にしましたので、興味のある方は読んでみてください。
https://newspicks.com/topics/new-medical-norm-with-chatgpt/posts/30?ref=TOPIC_POST_MANAGEMENT_VIEW特集第5回。これまでの記事は関係者への独自取材に基づく内容が中心でしたが、この記事では、論文やプレスリリースなどの公開情報を紐解くことでわかるN-NOSEの問題点を、幾つかピックアップして紹介しました。同日公開の社長インタビューの予習的な内容にもなっていますので、ぜひ併せてお読みください。
企業側が検査は「科学的根拠に基づく」と主張するのであれば、既存のエビデンスに対して内部、外部双方から複数の疑惑が出されている以上、販売を一時的に停止して、再現性を明らかにすることこそ、科学に誠実な姿勢であり、最良の方法ではないでしょうか。
それを既存の不十分なエビデンスで回答したり、机上の討論で対応するのはもってのほかだと思います。このような状態で、検査が続けられれば、被害に遭う方をますます増やしかねません。
また、今から私たち一人ひとりにもできることがあります。それは、まずはとにかく興味本位でこの検査を受けないこと、勧めないことです。将来的な可能性まで否定するつもりは全くありませんが、このような状態では受け入れられないと、今はこの検査にNOを突きつける必要があるのではないでしょうか。