5年ぶりのシンガポール出張で金融専門家が痛感した日本円の「圧倒的弱さ」。購買力が戻る日は来るのか
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いつもながら理路整然たる分析で、世界的なドル高が円安の真の要因でないことを含め、ほぼすべて納得です。勉強になりました ( ..)φメモメモ
ただ「賃上げ傾向が持続し、それが企業の価格設定行動として落とし込まれる」ということが〝形式的に(あるいは名目的に)″起きさえすれば円安で国民が貧しくなる現象が止るのか、私は若干の疑問を感じます。
国内で活動する企業の生産性が落ち、日本で働く人々が生み出す価値が減っていることが日本の低賃金の背景には隠れているのです。日本企業は我が国より賃金が圧倒的に高い欧米諸国に進出し、日本より賃金が既に高いとも言われる直ぐ隣の韓国等にも進出して様々なものを生産し、そこから世界に売るのみならず日本にまで輸入しています。その反面、そうした諸外国の企業が今なお自由世界第二位の経済規模を誇り賃金も安い日本に進出して生産することはありません。政府が5000億円も払って誘致したTSMCは例外です。
日本に残る仕事が身体一つで稼ぐウーバーイーツのデリバリーみたいなものばかりになってしまえば、賃金が上がらないのは当然です。賃上げによるコストアップが物価に撥ねてインフレが継続する現象が仮に起きたとしても、賃上げ率が中長期的にインフレ率を上回り続ける筈は無く、インフレに見合う分だけ円が安くなって終わりです。
「賃上げ傾向が持続し、それが企業の価格設定行動として落とし込まれる」ことはもちろん重要ですが、賃上げが日本経済と円を強くするためには、賃上げの誘引が企業の生産性向上であることが必須です。そこを外して名目的な賃上げのみに拘ると、我が国の国際競争力は円の価値(≒購買力)と共にますます衰えて行きそうな気がします。賃上げすれば全てが解決しそうなメッセージが政府筋等から頻繁に発されますが、円の価値を維持向上させるために真に為すべきは、生産性の高い企業が日本を逃げ出し外国企業が日本に入って来ない非効率な日本の規制環境等々の改革です。 (・・;ウーン今は40年ぶりの世界的インフレを抑制すべくFFレートの誘導目標が5%超となってますので、本当の意味での日本円の実力はFFレートが中立金利(現時点では2.5%)に戻った時の為替でわかるんでしょうね。
シンガポールと香港は米ドルとの間で、かなり強固な固定相場制度を敷いています。
したがって、マクロ経済的には、米国からの高インフレをそのまま輸入しているということになります。またシンガポールの場合は、香港からの金融機能の移転に伴うホットマネーも、物価の押し上げに繋がっているようにも考えられます。
とはいえシンガポールは、ある意味で欧米以上の物価になってしまいました。あのホテルでこんな値段!?という状況です。島国であり供給力が弱いことも、物価高に繋がったはずです。相対的に、供給力があるマレーシアの物価はまだ安定しています。
いずれにせよ、円建にすると、本当に悲惨です。この点、激しく同意します。