半導体装置のKOKUSAI、10月上場へ 想定時価4000億円
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半導体製造装置業界で世界トップを行くアメリカのアプライド マテリアルズ社の買収劇が上手くいかなかったのがつい数年前のこと。
その後どうなるかと思っていましたが、結局上場することになったようですね。
それにしても一昔前に比べて半導体業界のニュースを目にすることが多くなりましたね。
少し失礼な表現ではありますが、今まであまり陽の目を見なかったメーカーに注目が集まるのは良いことだと業界に身を置く者としては感じます。
今回のKOKUSAI ELECTRICも初めて目にした方も多いのではないでしょうか。
あのアプライドマテリアルが買収しようとしている会社なんて、いったいどんな素晴らしい技術を持っているのだろう!!と思った方もいらっしゃると思います。
半導体は物によっては300を超える工程を経て製品が作られます。
KOKUSAI ELECTRIC社もアプライドマテリアルズ社も、複雑な凸凹を有するウェハ表面に髪の毛の数10分の1という薄い膜をつける設備に長けたメーカーです。
平面状のウェハ表面に膜をつける設備を作れるメーカーは結構多いのですが、複雑な凹凸を有する場合、特に凹みの側面に綺麗に膜をつけるのが難しくなります。
では両者の違いは一体何なのかと言うと、一度に処理できるウェハの枚数が大きく異なる点です。
前者はバッチ式と言って数枚のウェハを一気に処理できるのに対し、後者は枚葉式と言って1枚ずつ処理する方式を取っています。
たくさん処理するならバッチ式の方が良いのですが、たくさんのウェハに対して均一な膜をつけるのが難しく、枚葉式で頑張るメーカーは結構多いです。
バッチ式処理ができる設備を製造できるメーカーは限られており、それを強みとするKOKUSAI ELECTRIC社にアプライドマテリアルズ社が目をつけて買収劇が繰り広げられていたというわけです。
結局は中国当局から横槍が入って買収は成立しませんでした。
日本の半導体がにわかに盛り上がっていることを考えると、KOKUSAI ELECTRIC社の上場が業界を盛り上げる方向に働くかもしれません。
ことの顛末を見守りたいと思います。稲葉さんがコメントされているAMATの買収提案も含めて(ありがとうございます!)、ずっと追ってきた案件。
ざっくりまとめると、KKRによる当初買収案はElliottというアクティビストファンドの登場によって引き上げを求められ、3回引き上げ(2503円→2900円→3132円)、2500億円で2018年3月に上場廃止となった。
AMATが2019年7月に2500億円で買収と報じられ、その後2021年までには3600億円まで引き上げたが中国の承認を得られず断念し、今回想定時価総額4000億円での上場という流れ。
日立国際、どうなるTOB 異例の開示に漂う悲壮感(2017年11月)
https://newspicks.com/news/2643045
KKR:日立国際TOB価格再引き上げ、期間延長-最後の変更(2017年11月)
https://newspicks.com/news/2647826
米アプライド、旧日立系半導体装置を買収 2500億円で(2019年7月)
https://newspicks.com/news/4017605
アプライド、KOKUSAIへの買収提示額59%引き上げ-3600億円に(2021年1月)
https://newspicks.com/news/5511930
アプライド、旧日立系KOKUSAI買収断念も-中国の承認得られず(2021年1月)
https://newspicks.com/news/5511930稲葉さんのコメントしている買収劇へのコメントみたいになってしまいましたが…
この規模の企業買収は中国が絡む限り難しい気がしますね。
半導体製造装置メーカーは大抵の場合、半導体メーカーのある世界中の施設に支社やlocal officeがあり、そこには当然中国も含まれます。
今の対立的情勢からして米国企業の成長を手助けするような展開もある訳で、それに対し独占禁止と唱えれば邪魔ができるのでとってもお手軽…
※私見です
M&Aもいいですが、失敗しても買収元の企業は、買収を予定していた企業に数百億円を払わなくてはならず、ただでさえ何も成果が出てないのに、これだけの支出を必要とされるというのは大変ですね。
ちなみに先月もIntelによるタワーセミコンダクターの買収失敗があり同じ原因であることに下記で触れられています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN16C080W3A810C2000000/