段ボール製のドローンで攻撃 ウクライナ軍がロシア戦闘機などに体当たり
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ダンボールを「木質系繊維の不織布を用い、波板パネルをコアにしたサンドイッチパネルで、一方向性の剛性が高い特製を持つ」と言い換えると優秀な素材です。
大学院で複合サンドイッチパネルの研究をやらせていただいた身からすると、ダンボールという素材は非常に面白い素材です。
身近にあって「ダンボール工作」というイメージがあるのでチープに感じるかもしれませんが、軽くて強くて省エネという三拍子揃った材質なのです。
まず、紙というのは、木の繊維をほぐして固めたもで、長繊維を使うとそれ単体で結構な強度があります。ただ薄いので、捻ったりしてせん断に力を加えると、簡単に破れてきます。
それは何故かと言うと、厚みがないからです。
それを補うために、波板を入れて厚みを増やしてやります。そうすると強度が高くなります。
これを体感するには、割り箸が分かりやすいです。割り箸をくっついたまま折るよりも、二本にして、一本を親指と人差し指の間に、もう一本を人差し指と中指の間に挟んで、二本並んでる方向に折ろうとしてみてください。かなり力がいるはずです。
そして、中に挟まる波板は、波の直交方向と、平衡方向で全然剛性が違います。波が見える方向は丸められるぐらい柔らかいですが、波に直交の方向だとかなり固いです。こういった一方向に強い剛性があるものを「異方性」といい、特に一方向だけに強い強度(剛性)があるものを「一方向性材料」と呼びます。
この特性があるので、金属などと同じような設計は出来ませんが、これを旨く使う事によって、軽くて強いものを造る事ができます。
今回は、軍事用用途という事になっていますが、もちろん他の事にも使える技術です。ウクライナにはドローンの運用ノウハウが溜まっていくことでしょう。早く戦争が終わって、復興の段になったときに大きな力になるような気がします。