【必見】中国は、経済失速で「台湾有事」を急ぐのか
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プーチン政権に見られるように、本当に経済が最優先なら、侵略戦争など仕掛けられるものではありません。
現代では、戦争をやって、GDP成長率を増やすのは無理です。
侵略戦争をやると国民の不満が解消されるのかというと、1か月以内とかの短期間とかで終わって、犠牲者も少ないならそういうこともあるでしょう。
プーチン政権に見られるように、戦争が長期化すれば、国民の不満の解消にはむしろ逆効果になります。
中国が台湾を攻める場合、短期で終わらせようとするなら、甚大な犠牲を覚悟しなければなりません。
犠牲を少なくしようとするなら、海上封鎖をして長期的に締め上げるというのが一番無難でしょう。
いずれの場合も、そもそも失敗に終わる可能性がありますが、いずれにしろ、短期で犠牲を少なく終わらせる、というのは無理です。
それでは、侵略戦争をする政権などありえないかというと、プーチン政権に見られるように、実在します。
日本が対米戦争に打って出たのもそうですが、経済や国民の生活の安定が最優先なら、短期で勝てる場合を除けば、侵略戦争などしない方が合理的です。
それでも侵略戦争をする政権が実在するのは、彼らなりには合理性があるという目算があったり、他にはもう選択肢がないという思い込みをするからです。
それでは、習近平政権がプーチン政権のような思い込みや目算を持っているかというと、ある程度はあるでしょう。
プーチン大統領が、戦っている相手は、NATOであり、ウクライナなどはその手先に過ぎないと思い込んでいるように、習近平主席も、相手は米国であり、台湾や日本などは手先に過ぎない、と思い込んでいるでしょう。
侵略戦争というのは、このままでは不利になる、追いつめられる、という思い込みがあり、今、先手を打った方が有利になり、という目算を持ってしまった時に起こります。
問題は、この思い込みと目算がどの程度までふくらんでいるか、なのですが、これはプーチン大統領や習近平主席の頭の中のことであり、公開されることもないでしょうから、断定できるものではありません。
やるとなったら、何か月かかけて大兵力の展開を準備しなければいけないので、その段階になるまではわからないでしょう。中国経済が失速し続ければ、台湾有事は早まる――。
そんな見方があります。
国民の不満を国外に転嫁する効果がある、というロジックです。
この見方に対する解釈を、超コンフィデンシャルな人物に聞いてきました。
台湾で30年にわたり、対中関係を含む安全保障政策に関わってきた人物です。
今は某社で、経済安全保障を担っている彼は、基本的にメディアの取材を受けることはありません。
しかし先般の台湾出張で、いくつかの幸運が重なり、関係を構築することができました。
安全保障のプロである彼の分析は、一読すると「切れ味が悪い」と思うかも知れません。
台湾有事について解説する非常に明快な書籍やニュースに比べると、あいまいに映るかも知れません。
しかしこれこそが、リアリズムなのではないでしょうか。
すべからく現実社会は、複雑系であり、複数の事象が往々にして偶発的に影響し合いながら、予期せぬ結果に至っていく。
プロの状況分析というのは、簡単に答えを出すことではなく、この複雑系を構成する要素は何なのかを明確に認識していくこと。
彼の慎重な語り振りを聞きながら、そう思い至りました。
記者としても、そのようにありたいと考えた次第です。