2023年最大のIPO、英アームとはどのような企業か
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孫さんの手法はこれまでと変わっていない。つまりある会社に投資し、その投資先株式を流動化し(上場させる)、その大きな打ち出の小槌で得た資金でまた将来有望な分野に会社に他を凌駕するスピードと資金量で投資し圧倒していくというスタイルだ。レベルの違うわらしべ長者といってもよいだろう。過去の打ち出の小槌にはヤフーやアリババがあるが、今回はアームになっただけの話だ。昔直接ご本人から伺った「ベンチャー投資とはサケの放流と同じ。一部しか大きくなって戻ってこないから沢山の会社に投資する。目利きは難しいからね。」という話が頭から離れない。アームで得た資金をAI分野に他社を圧倒するスピード、数と資金量を投資するという勝ちパターンが始まった。
事業内容云々は上記のブルームバーグ記事にびっしり記載されているので、投資リターンについて私見を。
2016年に320億ドルで買収して、2023年に600~700億ドル(650億ドルとしましょう)で評価されたとすれば、7年間で約2倍のリターンで、IRRにすると約11%~12%にとどまる。
かつてエヌビディアに400億~500億ドルで売却する話よりは、絶対額で改善できた。
ベンチャーファンドの投資リターンとしては(ベンチャーキャピタルというには巨象過ぎるが)、OKとは言えない水準だろう。期待リターンはIRR20%以上はあるはずだから。
PEファンド(バイアウト)でも同20%~25%が米国水準だと一般的なので、水準以下の成績だと思う。
他の投資先が軒並み大損を出したので、投資家から早く換金するように急かされていたのだろう。
それでも、悪夢の2022年を耐え抜いて、2023年に入って、AI・ChatGPTが盛り上がって、テクノロジー株の改善があり、ビジョンファンドには追い風で良かったんじゃないかと思う。