「LK-99は超電導体ではない」 Nature誌が掲載 世界中の科学者の追試結果を紹介
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超伝導体の特徴であるマイスナー効果と極端に低い電気抵抗はLK-99に混じっている硫化銅の強磁性と同じく硫化銅の相転移で説明可能とのことでNatureとしては否定的な見方。LK-99を作成するのは技術的に極めて困難らしくその意味で同じ物質を用いた再現実験ができているかには疑問が残るので、完全決着にはもう少し時間がかかりそう。それにしてもNatureからの問い合わせに韓国の原著論文の著者らがきちんと対応していないのが気になる。
https://www.nature.com/articles/d41586-023-02585-7今回は残念でした。研究の仕方、発表方法について検証されることでしょう。
私は楽観的です。今回は残念でしたが、人が望むものは必ず手に入るものであり、十年、数十年、もしかすると百年かかるかもしれませんが、期待しています。
「常温超電導は滅びぬ、何度でもよみがえるさ、常温超電導の力こそ人類の夢だからだ!!」 ムスカ大佐このNature誌のニュース記事の著者Dan Garistoさんは科学ジャーナリストで、LK-99が話題になった直後から各国の科学者のコメントや追試をまとめた追跡記事をScientific AmericanやNatureに寄稿しています。
全く別の話題ですが、理論値と実験値の食い違いから「未知の新粒子か」と日本でも報道されたフェルミ研究所のg-2実験についても、食い違いの背景として理論値計算の側に大変面白い事情があることを紹介する記事を書いています。
この理論値側の事情について紹介していたのはNYTやWashington Postといった米国の一流紙も同様で、他方で「新粒子か」としか報じられない日本の科学ジャーナリズム大丈夫かと感じたのも事実です。
というわけで優れた科学ジャーナリズムの記事ですが、写真のきれいな結晶はLK-99をゾーンメルティングという半導体などの精製に使われる手法で不純物を排除して作成された純粋な単結晶です。
元々LK-99のプレプリントではそれがDIY的な簡単な手法で作成出来るということでSNS上でも「作ってみた」レポートが相次いだわけですが、プレプリントの製法だとLK-99以外に銅と硫黄が残留物として残ります。混ぜて加熱しただけでは不純物、たとえば硫化銅を含むわけです。
それを排除して上記の単結晶を作ってみせたのが独マックスプランク研究所のグループで、この結晶が期待された特性を示さなかったことは少なくともプレプリントで報告されたLK-99という化合物の超伝導性には大きな疑問符がついたことになります。
プレプリントで報告されたサンプルに未知の物質が存在する可能性は否定できませんが、こちらは元のサンプルの検証次第でしょう。
ちなみに常温超伝導は話題性こそ大きいですが社会に与える影響は実際のところ中程度だという科学者のコメントを読んだことかあります。送電の効率化なども革命的に大きいわけではなく、MRIの低価格化や風力発電の効率化といった、どちらかといえば縁の下の力持ち的な技術になるのではないでしょうか。