米国株、「債券の年」説を圧倒-市場心理は1999年以来最大のシフト
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年初時点のコンセンサスは以下でした。今年は累積的な利上げの効果で景気後退の年となる。10年国債金利が約4%でピークアウトして低下(債券価格は上昇)する。株式相場は景気後退で減益となるため下落する。しかし、このシナリオは外れました。真実は以下です。今年は利上げにもかかわらず景気は底堅く推移して景気後退の年にはならなかった。従って、10年国債金利は約4%で横ばい(債券価格もほぼ横ばい)、一方で企業収益は増加に転じて株価も上昇した、です。過ちの根本的な原因は、景気見通しを見誤ったこと、更にその原因は累積的な利上げの効果を見誤ったことです。更にその遠因は実質金利=表面金利ーインフレ率、が低かったということです。
景気後退シナリオに立てば、株から債券へのローテーションが当然の戦略です。特にダウ、S&P500、ナスダックなどいずれも予想PERは高く、イールドスプレッド(=PERの逆数である益回りと長期金利の差)では、株の割高と債券の割安シグナルが出続けています。一方、株価が堅調に推移している背景に、景気の底堅さに加え、量的引き締め進行中ながら依然として潤沢なベースマネーが残っていることも挙げられます。つまり、利上げだけでは景気へのブレーキが効かないということです。またAIによる技術革新により、企業収益見通し(予想EPS)が改善(=予想PERが低下)すれば、現在の株価も後追いで正当化されていきます。そうした見方や期待、願望も根強いのでしょう。このほか、上がっているものを「持たざるリスク」に対する恐怖心理も働いていると考えられます。確かに、新しい局面に移行する相場と判断すれば、現在の各売りシグナルは「ダマシ」であり、トレンドに追随せざるを得ません。そのように「上がるから買う、買うから上がる」が続き、バブルが生成されていくのですが、それがバブルかどうかは、はじけるまで誰にもわからないことです。