先端半導体の輸出規制を強化 23品目、軍事利用防ぐ
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注目のコメント
今回規制を強化する設備要件に関しては、村井さんが引用してくださっている資料に詳細が載っています。
相変わらず小難しい文言が並んでいるため、「何のこっちゃ」という感じかと思われるかもしれません。
せっかくのNewsPicksの場なので専門家の立場でいくつか噛み砕いてコメントさせていただきます。
(一部あえて厳密性を排除した表現であることをご容赦ください)
まず目を引くのがベースとなる材料をシリコン(Si)だけではなく、炭素を添加したシリコンや、シリコンゲルマニウム(SiGe)にまで広げている点です。
炭素を添加したシリコンは、最近よく目にするシリコンカーバイド(SiC)を念頭に置いた表現になっています。
SiCはSiよりも損失を低減させることができるため、近年は電気自動車界隈で重宝され始めた材料になっています。
電気自動車といえば中国が世界最大の市場を形成していますので、それを牽制する意味での表現とも言えるわけです。
一方のSiGeは、SiにGeを少しだけ混ぜた材料であり、Siよりも高速に動作する半導体を作るのに使われる材料です。
近年は生成AIを中心に高速動作する半導体への熱量が高まっているので、それを牽制するための措置とも言えます。
一方、これで全てが牽制できるかと言うとそうでもないのがもどかしいところです。
色々とそれっぽい数字を出して制限をかけているように見えますが、この数字を逸脱した装置は規制が外れてしまう点に注意が必要です。
もちろん現在の半導体製造工程を良く鑑みて各種数字や材料を絞っていることは事実なのですが、抜け穴を探して輸出しようとするよからぬことを考えるメーカーというのはいつの世にも存在するのが悩ましいところかと思います。23品目の限定の仕方が面白いですね。ほぼ特定の装置を指しているようにも見えます。
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/law_document/shourei/20230523_syourei.pdf全て半導体製造装置に関する規制です。米国に同調していますが、特定の国を示さないのが日本の特長ですね。米国は、規制の対象とする国を、中国、ロシア、イラン、北朝鮮、の4ヵ国ときちんと定義しています。中国リスクを回避しようとして、De-risking(デリスキング)という言葉が生まれてきています。