マイナンバーカード 本人希望で廃止 4割近くが自主返納
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NHKにもマイナンバー制度反対派がいるのでしょう。
この記事の前半は、印象操作的な制度批判。後半はバランスをとってサンプル調査からとったエビデンスを添えているのがわかります。
エビデンスは、「先月1か月間に本人の希望などを理由に廃止されたカード247件のうち自主返納されたものは4割近くにあたる97件でした。残る150件は再発行するために返納したケースや、外国人が在留期間の満了前に期間を短縮したことで返納したケースなど」というもの。これはロジカルには多い順に「247件のうち6割にあたる150件は再発行や外国人の在留期間短縮、残る97件は自主返納されたもの」と書くところを意図を持って逆においている、と考えるべき。
こういうレトリックには、ずるさを感じます。あんまり好きではありません。反対するなら、こういうステルス戦略でなく正面からより良い対案を示して戦うべきです。以前もコメントしましたが、メディアがニュートラルな立ち位置で報道しているのか、疑問に感じます。
①マイナンバーカードの本人の希望による廃止は、先月1か月間で全国でおよそ2万件あった。
②サンプリング調査によると、本人の希望による廃止のうち、約4割が自主返納だった。
この2つから、日本全国で自主返納は2万件×4割=8千件だったと推定されます。6月末のマイナバーカード保有数は8,815万枚ということなので、8千を8,815万で割ると、「日本全国で自主返納した方は、6月1か月間で0.01%未満と推定される」ということになります。「マイナンバーカード 本人希望で廃止 4割近くが自主返納」というニュースタイトルから受ける印象(本人希望で廃止する人が増えている)とは、実態は異なると思います。
それよりも、メディアの方々には、「現行のアナログな社会よりも、どのように良くなるのか」を政府がどのように説明しているのか、反対している方々の主張は何なのか、それに対して政府はどのような対応・対策を説明しているのか、フェアに報道し、デジタル社会への発展に貢献(現行の仕組みに不備があれば、フェアに報道することも含みます)することを期待しています。返納分を差し引いても既に8000万枚を超えたマイナンバーカード。「230万人余り」の調査対象自治体の交付率を仮に5割と見ても115万人のうち97件ですから、返納率は0.008%です。全く無関係の返納と一緒にして「自主返納は4割近く」という見出しを打つのは誤解を招くんじゃないのかな (・・?
マイナンバーは唯一無二の名前として各人に既に割り振られているわけで、マイナンバーカードを返納しても、マイナンバー制度の外に出ることは出来ません。マイナンバーカードを返納して減るリスクと、マイナンバーカードで得られる便宜を考えれば、返納して得することはさして無さそうに思います。
とはいえ、マイナンバーで何をやるのか、マイナンバーカードで何をやるのか、場当たり的な施策が次々出てきて政府の方針が今一つはっきりしないのも事実です。方針をきっちり定めて国民に便利さを伝えれば、政治的な理由で返納する人は別にして、マイナンバーカードを積極的に持つ人が増えそうな気がします。