日銀、物価見通し上方修正の公算 23年度2%台も
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より重要なのは25年度の見通しでしょう。
日銀は安定的な2%の物価上昇を目指しているわけですから、これまで+1.6%の見通しとなっている25年度のインフレ率が2%に近づかないと、出口には向かえないと思います。
ただ、出口に向かわなくても、フォワードガイダンスの強化などとセットでYCCの修正はありうると思いますが。足元のインフレ率は高いが今年度を通じて見れば1.8%に下がり、来年度は2.0%で2025年度は1.6%に下がるというのが今の日銀の見通しです。インフレ率を目標である2%以下に見ないと異次元緩和に修正圧力が掛かり、修正期待が高まると金利が急騰して①1000兆円に達した政府の借金、②600兆円に膨らんだ日銀保有の低利国債、③巨額に上る低利の変動金利住宅ローンや低利が頼りの企業の短期転がし貸金、④一部地銀が抱える長期の国債や社債を始めとする運用資産、といった“灰色のサイ”が暴れ出しかねません。
インフレ率を低めに置いて異次元緩和を正当化し、予想の期限が迫ると上方修正し続けて来たのがこのところの日銀の動きです。ここまで来て1.8%のインフレ率を見直さず実績が予想を上回る結果になれば、インフレで実質賃金が目減りする(→定昇込み3~4%程度の賃上げだと物価上昇をカバーするベアは1~2%に過ぎず、物価に賃金が追い付きません)国民の不満が高まって日銀の物価予想が信頼を失います。かといって足元で高止まりするインフレ率を予想に反映させて、来年度、再来年度の予想も引き上げれば、異次元緩和を続ける根拠が無くなって、市場の緩和修正期待が高まりかねません。
日銀は、このまま異次元緩和を続ければ“灰色のサイ”がますます大きく育って緩和の出口が難しくなる、かといって性急に見直せば灰色のサイが忽ち暴れ出す、という難しい状況に置かれています。敢えて火中の栗を拾われた植田総裁はどのような判断を下されるものなのか・・・ (・・;