【要注目】意外なところにあった「金のなる木」
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これはシェールガスとかと同じ話で、リチウムは、採ろうと思えばいろいろなところで採れます。
それこそ、海水からでも採れます。
ただし、どこで採れば安く採れるか、というコストの問題です。
チリでアンデス山脈にいけば延々と地面に露出しているリチウムをトラックに積んで精製工場に運ぶのと、カリフォルニアで地下水をくみ上げてそこから少しずつ抽出するのと、どちらがコスト競争力が高いか、は、一目瞭然です。
リチウムの国際市場価格は上昇を続けています。
チリ政府がリチウム産業を国有化したことで、さらに意図的に市場価格を吊り上げていくことは目に見えています。
シェールガスも天然ガスの国際市場価格が上がり過ぎれば、米国でコストをかけて採掘しても採算がとれるのと同じように、リチウムも市場価格が上がり続ければ、カリフォルニアの地下水から抽出しても、採算がとれるようにはなるでしょう。
しかし、それは特殊なカントリー・リスクが南米やオーストラリアで起きた時、もしくはずっと未来に資源が枯渇した時でしょう。カリフォルニアといえば、シリコンバレー(北部)だったのですが、いま新しいゴールドラッシュが起きている!と騒動になっているのは、誰も注目していなかった辺境地(南部)にあるソルトン湖です。
ここが世界でも最大級のリチウムの生産地になる可能性があるとして、2023年から巨大なリチウムのプラントが建設されようとしています。おりしまアメリカは、昨年成立したIRA(インフレ抑制法案)で、EVの国内サプライチェーンを徹底した作ろうとしており、その戦略にぴったりハマったのがこの「リチウムバレー」ということです。
ここに登場するあるスタートアップ、実はわたしたしも目をつけており、半年ほど前にインタビューをしていました。モノを見てないだけに半信半疑でしたが、記事で紹介された60minutesの映像をみて、すごいスケールになりそうだと驚きました。地熱発電会社で汲み上げる温水を、さらに有効利用してリチウムを抽出するというビジネスモデルが面白いと思います。
一方で、石油価格が安くなるとプラスチックリサイクルへのインセンティブが働かなくなり再生材が使われなくなるように、新しい資源が低コストで供給されるようになると、資源循環が滞りがちになることは危惧します。
リサイクルは単なる資源確保だけでなく、不適切に取り扱われると危険のあるバッテリーの、安定的な回収網構築の面でも必要なことですので、リチウムが簡単に得られるようになったからリサイクルはやめた、とならないことを願いたいです。(LiBのリサイクルはコバルトなどの回収も目的であるため、単純にはそうならないと思いますが。)