ソフトバンクGが2期連続赤字に、損失額9700億円-ファンド不調
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2019年のジェトロの記事でソフトバンクグループがラテンアメリカのテクノロジー・スタートアップ企業を対象に50億ドル規模のイノベーション・ファンドを行うと報じられていた。
Telefónica(Movistarブランドでサービスを提供)、América Móvil(Claro)、Millicom International(Tigo)の3大通信事業者によって支配されているラテンアメリカのモバイル部門に進出するのではなく、ラテンアメリカに特化したテクノロジー・ファンドの設立やソフトバンクグループの企業のラテンアメリカ進出を目的とした進出であったことから、ラテンアメリカ企業の発展とソフトバンクグループの拡大を期待していた。
2019年に発表した50億ドル規模の1号ファンドは35億米ドルを48社に投資し、その公正価値は69億米ドルとなって成功させたが、2021年に発表した30億ドルの2号ファンドがあまり良い結果を残せず、9700億円の損失に繋がってしまった。具体的にどのような企業にどのくらい投資を行ったか分からないが、結果がついてくるまでの期間や投資する金額について再検討する必要があると考える。また、その結果によって投資する会社や分野を変える必要もあると思う。
参考文献
https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2019/a72df8570a7731d8.html
https://www.gii.co.jp/report/pa1060211-latin-america-mobile-network-operators-mvnos.html
https://group.softbank/news/press/20210914
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB14BAE0U1A910C2000000/
注目のコメント
ソフトバンクグループ決算(2023年3月期)が発表されました。
*トピックス記事の後半でも決算資料の解説をしています
https://newspicks.com/topics/art/posts/50
孫さんが1年前(2022年5月12日 決算発表)にプレゼン資料へ特大フォントで記載した2文字、「守り」に徹した数字です。投資会社のソフトバンクは株式市場に応じて黒字・赤字が大幅に変わるので一喜一憂しても意味がありませんが推移を確認しましょう。
2023年3月期
1Q:3.16兆円赤字(過去最大)
2Q:3.03兆円黒字
3Q:0.78兆円赤字
4Q:0.05兆円赤字
具体的な守りの方法はLTV(Loan to Value)のコントロールとなり、純有利子負債/株式価値で算出されます。ざっくり言うと債務返済力です。
*最新版データ掲載箇所
https://group.softbank/ir/stock/sotp
2023年3月期決算 投資家向け説明会(一括版)財務編P,5にも記載の通り、純有利子負債を昨期末4.7兆円から1.7兆円と約3兆円も削減しました。
LTV11.0%(通常時は25%未満)という株安のタイミングでガッツリと守りに入っています。
これだと孫さんがプレゼンする必要はないのかもしれません。
株式投資家としては物足りないかもですが、LTVが下がるとクレジット投資家にはありがたいです。
LTVの分子(純有利子負債)について考えると、保有株式を担保に入れて借金をするニュースが定期的に報道されますが、ノンリコースだと純有利子負債が増えないのでLTVを改善する目的でファイナンスしています
*ソフトバンクG、非上場のアーム株担保に1兆円調達
https://newspicks.com/news/6865419/
分母側は悲惨な状況であり、2022年前半には20~25兆円超だった株式価値が15.8兆円まで減少しました。
この15.8兆円の18%を占めるARM上場を控える中で、今期はどのような攻めに移行するのか注目されるのではないでしょうか?
また孫さんがプレゼンに復帰してくれるのが楽しみです。日本経済史上最大の黒字、とメディアに持ち上げられていた時から書いている通り、逆に赤字の場合とて同様に、この会社の期間損益PLは意味がないとは言わないが普通の事業会社と比べてもしかたない異質である。投資会社としての投資先持分の未実現の評価額増減によりPLが構成されているからであり、かつその大部分が取引所で日々値段も付かなければ流動性も低い未上場のそれである故。
にしても事前のマーケット予想より深い赤字であった。一時は天下のトヨタに肉薄した時価総額ランクもトップテン圏外に脱落してしまっているが、更に順位を落としそうだ。PLを分析してもほぼ意味がないので、今回は、為替変動(大幅円安)の影響について見てみました(短信で)
SBGは、構成する子会社は海外子会社が大半で、かつ、ドルで運用している子会社が多いです。
23年3月期は想定外の円安となっているので、為替変動要素はプラスになると予想されますが、PLだけ見ると、為替差損が計上されています。
これは、決算短信で説明がありますが、SBG本社及び日本子会社に関しては、ドル建て債権債務のネットで債務の方が大きいので、為替レートが円安となったことにより為替差損772,270百万円(純額)を計上しています。
海外子会社の為替変動の影響は、実はPLには反映されていません。
↓
為替換算レートが円安となったことにより円換算後の価値が増加しましたが、そのプラス影響は為替差損益には含まれず、連結財政状態計算書の資本の部の「その他の包括利益累計額」に在外営業活動体の為替換算差額の増加額
1,337,214百万円として計上されています。
つまり、BSの資本の部の変動要因として在外子会社の円安効果が計上されていて、PLを通すことなく、ダイレクトに自己資本率の改善に寄与しています。
という感じで、SBGはPLだけ見て、前年比××%アップとかダウンとか教科書的な財務分析は無力です。
決算短信には、主要子会社の状況について説明がありますので、それを読んだ方が分かり易いと思います。