クレディ・スイスが最後の株主総会、会長が立て直し失敗を謝罪
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注目のコメント
あっけない最後です。
正直、クレディ・スイスがこんな形で崩壊するとは思わなかった。しかし、この株主総会の前から、めぼしい社員はどんどん辞めています。脱兎のように、とはまさにこのことをいうのでしょう。
クレディ・スイスから分離独立する予定だった「ファースト・ボストン」のバンカーは、散り散りになって残念だろう。日本では、株式公開会社の事業譲渡の場合、通常は臨時株主総会を開催して株主の承認をとる必要があります。その後、政府が(独占禁止の観点から)承認する流れになります。
スイス法による公開会社の事業譲渡のルールについて詳しくはありませんが、公開会社の本質を理解すれば、株主の同意を取らないままに事業譲渡を行うことはスイスにおいても制限されているはずです。記事中の「特例措置」という記載からもその点が示唆されます。
今回は、週末のごく短い期間に政府がUBSの同意を取り付け、「株主の同意を取らないまま」合併をまとめさせています。その結果、「株式の資産価値が大幅に棄損、これを株主総会で事後報告した点への怒り」はわかりますが、政府主導で合併話をまとめなければ、クレディ・スイスはおそらく破綻し、そうなれば株主はより大きな損失を受けていたと思われます。
さらにクレディ・スイスを震源とする信用不安が全世界に波及し、その結果、多くの金融機関が連鎖的に破綻することになっていたと思います。この危険を回避するために政府は動きました。政府が特例措置を使った結果、事業譲渡手続きの特例として有効な事業譲渡手続きになると思います。株主総会を経ずに、UBSによる買収が決まったことは、株主として、ひとこと言いたくなるでしょう。しかも、株式交換比率がずいぶん不利に設定されています。一方、政府主導でやや強引にUBSに買収させたことで、破綻(=株式が無価値になる)を避けられたという意味では、株主の損失が抑えられたという見方もできます。
AT1債の保有者はもっと納得できないでしょう。本来、株式よりも弁済順位が高いはずなのに、株式は減額こそすれ、一定の価値は維持できたのに対し、AT1債は無価値になりました。
スイスの法体系までは分かりませんが、経済原則からすれば、順番が逆に感じます。