ついに米国で「日本酒ブーム」到来─現地で酒蔵のオープンが相次ぐほどの人気の理由は?
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「獺祭」で知られる山口の旭酒造さん。ニューヨークのハイドパークに醸造所を建設中で、年内のオープンを予定しているとのこと。先日の共同通信の記事(Kyodo News/英語)でも、社長の桜井さんは「当初の年間生産量は1.8リットルボトル7万本で、10年程度で10倍にする」「将来的には売り上げの9割が海外になればいい」と語っています。
https://english.kyodonews.net/news/2023/03/96bccbe0791f-kyodo-news-digest-march-18-2023.html
15年くらい前、NYに駐在していた頃のことを思い返してみると、マンハッタンではじわじわと日本酒(Sake)人気が生まれつつありました。NYやワシントンDCなどの都市部での日本関連のイベント(訪日観光客誘致〈Yokoso Japanキャンペーン〉のイベント)の際、鏡開きがあると、Sakeを飲んでみようと長い列ができたものです。そして初めてSakeを口にした参加者からは「おいしい!」「飲みやすい!」と好意的な声が多く聞かれました。当時から、そういう地道な種まきが米国各地で行われていたのです。
一方マンハッタンの評判の良いレストランのメニューには、徐々にSake=Dassaiが並んでいきました。その裏側で旭酒造さんがどのような努力をされていたのかはForbesの英語記事にも書かれています。その一部の日本語訳は以下の通りです。
「...高齢化が進む日本社会では、自分の会社に明るい未来はないだろうと考え、2003年、海外輸出を開始した。試飲会などには参加せず、東京に進出した時と同じように、ニューヨーク、パリ、ミラノなどの大都市で、現地の小売店やレストランを訪問し、自分たちの酒が売れることを少しずつ説得していった。
そして、アラン・デュカス、ミッシェル・トロワグロ、ジョエル・ロブションといった一流のフレンチシェフが「ダッサイ」をドリンクメニューに取り入れると、世界的に評価が高まった。」
今日の「日本酒ブーム」は、記事にもあるように、多くの人たちの長年に渡る努力と挑戦の蓄積あってのことです。そしてさらに高い目標を掲げ、海外を舞台に大きな勝負に出ようとされている蔵元には、ぜひとも成功してもらい、多くの日本企業にとっての希望となって欲しいと強く思います。アメリカで人気ではなく、本来日本酒のポテンシャルはこれくらいはあるわけで。日本でももう少し酒造免許を出せばマイクロプリュワリーがどんどん増えていくことでしょう。クラフトビールと同じように。
それを国税庁と既存の利権にしがみつく方々が新規で酒造免許を与えないように規制しているわけです。
ホント、財務省といい国税庁といい、税金を取ることしか考えない。経済を良くして、業界をよくして成長させれば税率は同じでも徴収する税額は増えるのだから、もっと業界のために動けばいいのにとホント思います。
まぁ、あの人たちの頭の中にはそんな考えこれっぽっちもないと思いますが。最近は和食でもワインを合わせる店もあり、刺身に白ワインといった取り合わせもよく見られるけど、どこか生臭さも残り、組み合わせとして物足りなさを感じる。
やはり食事それぞれにふさわしいお酒があって、洋食にはワイン、中華には紹興酒、そして和食には日本酒が合う。
ところが、国内でそもそも和食への意識が下がってきている。文化庁の調査によると、「和風の料理が好きな方だ」と答えた人は、ここ30年で65.8%から45.3%と20%ちかく下落した。さらに「お米を1日に一度は食べないと気が済まない」人は、同じくここ30年で71.4%から42.8%へと30%近くも下落した。
対して海外では、健康食という意味でも、またSDGsの観点でも、和食に対する関心が高まってきている。
日本酒の現状は、それ単体では本質的な解決につながらない。この、食への嗜好の変化を前提に、それを前提とした戦略を練るのか、それとも変えに行くのかが、今後のお酒の消費には大きく関わってくるのではないかと思う。