実質賃金、8年ぶりの下落率 4.1%減、1月勤労統計
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異次元緩和でインフレを目指すという話が出た当初から言い続けて来たことですが、モノとサービスの裏付けのないカネをばら撒いて円安にして起こすインフレが、日本で働く人々を豊かにすることはありません。円安が輸出増大に繋がらない状況下では尚更で、円安による輸入資源の値上がりが、真綿で首を絞めるように国民を貧しくするだけです。
まして今は、輸入に頼る資源価格そのものが上がって交易条件が悪化して、日本が生み出す富が海外に流出している状況です。その負担を企業が吸収すれば消費者物価は上がりませんが、企業が負担を消費者に転嫁すれば、家計の懐が痛みます。それを緩和するため賃上げしようにも、肝心な原資(≒日本が生み出す富)が海外に流出しているのですから、物価上昇分を超えて賃金を上げ続けることは不可能です。従って、実質賃金が下がることは避けられません。そうした現象が、誰の目にも明らかな形で現れ出しただけの話です。
インフレが日本で働く人々を豊かにするのは、企業の生産性が上がってそれを従業員と企業が分け合う形で賃金が上り、需要が増えて物価が上がる場合に限ります。そうした形のインフレは、需要を増やすと同時に企業の生産コストを下げ、賃金と物価の好循環を生み出しますから。
インフレ・デフレは貨幣的な現象ではなく、実体経済の強弱の反映です。インフレになれば経済が成長するといった甘い幻想は一旦脇に置き、国際化とデジタル化が急速に進む中で変化の波に乗り遅れ、ビジネス環境を急速に劣化させた我が国の厳しい現実にこそ目を向けるべき時が来ているように思います。
それぞれの国でどの程度企業が成長し易いかに力点を置くIMDのビジネス環境の国際競争力ランキングで、平成元年にトップとされた我が国が今では34位にまで落ちました。先進国でこれほど急速にランキングを落とした国は他にありません。インフレに耐えられず実質賃金が下がり続ける大きな要因の一つです。それは帰属家賃除く消費者物価が前年比+4.9%も上がれば、名目賃金が+0.8%上がっても追いつかないですね。
なお、1月はパートタイム労働者が大きく増えてますので、パートタイム労働者比率の上昇も平均賃金押し下げに効いてます。物価が上がっているのに賃金に反映されない。
日本から海外へお金が流れているのか、企業が蓄えているのか。
景気を良くするには、お金を回さなければいけないが、日本では貯蓄する文化が根付きすぎている。
ここが根本的な問題だと思う。